♥ 瀬圉家 8 / 本家 8 / 本邸 2 / 応接室 2
衛美
「 衛夛…… 」
衛夛は両手で髪を掻き毟っている。
そんなに私が≪ 厳蒔家 ≫の弓弦さんと婚約を嫌がるなんて…。
衛美
「 ──衛夛、止めて!
掻き毟ったら駄目よ!
禿げちゃうでしょ。
{ …………禿げた衛夛も見てみたいけど… }」
衛夛
「 聞こえてるよ、衛美ちゃん! 」
衛美
「 そう?
──あっ、そうだ!
私ね、衛夛にお願いしたい事があったの! 」
衛夛
「 オレにお願いしたい事?
何かな?
衛美ちゃんの “ お願い ” なら何でも叶えるよ! 」
衛美
「 本当?
有り難う、衛夛♥
あのね、≪ 瀬圉家 ≫が経営してるスポーツジムがあるでしょ? 」
衛夛
「 スポーツジム?
あるけど、スポーツジムがどうかしたの? 」
衛美
「 私の御得意様会員カードをプラチナにしてくれたでしょ。
弓弦さんにもプラチナカードを用意してほしいの 」
衛夛
「 はぁぁぁぁあ?!
衛美ちゃん、何言うのさ!
さっき迄の話を聞いてただろ?
オレは衛美ちゃんを騙してるソイツが嫌いなんだよ!!
何で嫌いな奴の会員カードを用意しないといけないんだよ! 」
衛美
「 私は弓弦さんに騙されてないし!
さっき『 何でも叶える 』って言ってくれたでしょ。
叶えて♥ 」
衛夛
「 …………無理だよ。
プラチナカードの登録も発行も出来ないよ 」
衛美
「 どうして出来ないの?
私にはしてくれたのに 」
衛夛
「 衛美ちゃんは身内だからだよ。
オレの家族だから、衛美ちゃんにはプラチナカードの登録も発行も出来たんだ。
だけど、ソイツは違う!
ただの婚約者だし、オレとは赤の他人なの!
≪ 瀬圉家 ≫の人間でもない奴にプラチナカードの発行なんて出来ないっての! 」
衛美
「 使用人にはブラックカードを発行してるじゃない。
≪ 瀬圉家 ≫の身内扱いしてるんでしょ?
1人分ぐらいどうにかならないの? 」
衛夛
「 衛美ちゃん……、無茶な事を言わないでよ… 」
衛美
「 赤の他人だから駄目なの? 」
衛夛
「 当たり前だろ。
ソイツは使用人でもないんだからな! 」
厳蒔弓弦
「 衛美、私はカードのランクには拘らない。
無理は言わないでくれ 」
衛美
「 弓弦さん、遠慮しないでください!
弓弦さんには御世話になりっぱなしなんですから、少しでも弓弦さんの役に立ちたいんです! 」
厳蒔弓弦
「 衛美の気持ちだけで十分だ。
有り難う(////)」
衛美
「 弓弦さん…(////)」
玄武
『 衛夛は融通が利かないな。
弓弦が≪ 瀬圉家 ≫の人間になれば良いのだろう?
簡単ではないか 』
衛美
「( 簡単って?
どうするの? )」
玄武
『 弓弦と籍を入れてしまえばいい 』
衛美
「( 籍を入れる??
そんなの簡単には出来ないわよ。
婚姻届けもないし、戸籍謄本だって… )」
玄武
『 言うだけ言ってみたらどうだ。
衛夛の反応が見たい 』
衛美
「( 玄武…面白がってないわよね?? )」
玄武
『 衛美が「 弓弦と籍を入れる 」と言えば、衛夛はプラチナカードとやらの登録と発行をしてくれるかも知れないぞ。
要は衛夛に弓弦のプラチナカードを作らせれば此方の作戦勝ちだ。
本当に籍を入れるわけではない。
単なるフリだ 』
衛美
「( 悪い事を考えるわねぇ…。
いいわ、玄武の言う通りにしてみる。
弓弦さんも吃驚しちゃうかも知れないけど… )」
玄武
『 それはそれで見物だな 』
衛美
「 ──衛夛、弓弦さんと入籍するから、弓弦さんのプラチナカード作って♥ 」
衛夛
「 ──は?
何なのさ急に?
ソイツと入籍するってぇ!?
婚約して未だ1週間も経ってないのに入籍する??
衛美ちゃん、大学生になったばかりだよ!
学生結婚なんて駄目に決まってるだろ!! 」
衛美
「 えぇ〜〜〜だって、弓弦さんが≪ 瀬圉家 ≫の人間になって、身内になれば作ってくれるんでしょ?
なるから作ってね♥ 」
衛夛
「 衛美ちゃん、気は確かなの?!
たかが御得意様会員カードの為に──、本気なのかよ? 」
衛美
「 私にとっては “ たたが ” じゃないし!
入籍しちゃえば、弓弦さんは家族になるし、衛夛のお兄さんになるんだからね!
目上の弓弦さんへの言葉使いは直してよ! 」
衛夛
「 衛美ちゃん…… 」
厳蒔弓弦
「 ──衛美、幾らなんでも入籍は早過ぎる。
せめて衛美が大学を卒業して落ちいてからでも遅くはない。
衛夛君も困っているし── 」
衛美
「 弓弦さんは嫌ですか?
迷惑…ですか? 」
厳蒔弓弦
「 いや…迷惑ではないし…………嫌でもないが… 」
衛美
「 入籍したからって、無理して一緒に暮らす必要なんてないです。
私が大学を卒業するまで、弓弦さんは引っ越したマンションで暮らしたら良いですし、私も実家で暮らします。
入籍する前の生活を続けたらいいんです 」
厳蒔弓弦
「 …………それも有り…なのか… 」
衛夛
「 有りなわけ無いだろ!!
衛美ちゃん、入籍したら別々に暮らすなんて事、ばぁばが許すわけないだろ!
親父も母さんも許すわけない! 」
衛美
「 内緒にしたらいいでしょ。
お祖母様にもお父さん,お母さんにも言わなければいいじゃない。
衛夛と弓弦さんと私の3人だけの秘密にするの! 」
衛夛
「 秘密にするって──。
出来ないって!
秘密にするなんて!
バレたらタダじゃ済まないよ!
怒られるに決まってるだろ! 」
衛美
「 その時はその時よ。
内緒にしてた事を怒られるなら、理由を話せばいいだけでしょ? 」
衛夛
「 衛美ちゃん…。
………………はぁ〜〜〜……分かったよ…。
衛美ちゃんには負けたよ… 」
◎ 訂正しました。
弓弦は家族になるし、─→ 弓弦さんは家族になるし、




