♥ 依頼場所 1 - 2 / 平地 2 / 退魔師という仕事 2
衛美
「 結界で守られてるなら安心ね?
──あの蒼白い炎が輪入道なの? 」
玄武
「 衛美には眼鏡を通して妖かしの一部を見えるようにしている。
全てが見えると発狂し兼ねないからな 」
衛美
「 は…発狂…って……。
玄武と弓弦さんには何が見えてるんですか? 」
厳蒔弓弦
「 蒼白く燃えるタイヤの中央に男の顔が付いている。
顔の表情はタイヤによって様々だな。
衛美は見えない方がいい 」
衛美
「 ……本当に顔がタイヤに付いてるんですね…。
で、でも…この数をどうやって退治す────きゃっ!?
──なっ…何の音ですか?? 」
急にドンドンッドンドンッ──って何かが激しくぶつかる音が聞こえて来た。
然も、かなり近い!
衛美
「 げ、玄武……これって何の音なの?? 」
段々音が多くなって来ている。
蒼白い炎が近付いたり遠退いたりしていて不気味!!
玄武
「 結界に体当たりしている音だな。
邪魔な結界を破りたいのだろう。
向こうから寄って来るとは好都合だ。
──鬼神降臨!
──朱雀! 」
結界を破る為に輪入道が体当たりを続けているらしい。
そんなの全然お構い無しな玄武は、手に持っている扇子を上に上げると何かを叫んだ。
“ 鬼神降臨 ” って何??
“ 朱雀 ” って……四聖獣とかの “ 朱雀 ” なの??
霧の中で何かがキラリ──と光る。
何の光なのか私には分からないけど、いきなり空から大量の羽根が雨のように降って来た!
大量の羽根は蒼白い炎へ目掛けて降っていて、刺ささっている羽根が真っ赤に燃えだした。
蒼白い炎を飲み込んで、赤い炎が激しく燃えている。
まるで消しても消えない業火の炎みたい。
彼方此方で派手なキャンプファイヤーを見ているみたいな光景。
衛美
「 ──玄武、これって…どうなってるの?? 」
玄武
「 式神の酉を鬼神化させた。
朱雀は全体攻撃が得意でな、業火の羽根を輪入道へ降らせた。
輪入道の体力を減らしているところだ。
羽根の炎が紫色に代われば、弓弦にトドメを刺してもらう 」
衛美
「 体力を削ってる──って……そんな事が出来るの? 」
玄武
「 野良式神が捨てられいたタイヤを取り込んで実体化した妖かしだからな。
式神の攻撃は効果抜群だぞ。
羽根が刺さった部分からタイヤの空気が抜けている。
空気の抜けた輪入道は地面に落ちて身動きが取れなくなる。
弓弦の広範囲攻撃で地面に倒れた輪入道を一網打尽にするわけだ。
この平野に居る野良式神は全て消滅する 」
衛美
「 …………そ、そうなの……。
後は弓弦さんに任せるのね? 」
玄武
「 高見の見物だな 」
キャンプファイヤーのように激しく赤々と燃えていた炎の色が段々紫色に変わって来た。
トドメを刺す合図の色。
弓弦さんは魔喰いの弓の矢先を天上へ向けると勢い良く矢を射った。
光──法力が集まっていた矢が空に消えた数秒後、天上に巨大な魔法陣が現れた。
魔法陣がバッと光ると無数の矢が地上に向けて降り始めた。
私は今、大量の弓の矢が降っている光景を目の当たりにしている。
矢の雨って恐怖い!!
結界がなかったら、身体中に矢が刺さって死んでるところよね!!
衛美
「 …………これが弓弦さんの法力の力…… 」
弓弦さんの広範囲攻撃は、リアルにエグかった。
中々降り止まそうもない矢の雨が降り注いでいる。
衛美
「 …………弓弦さん、この矢の雨って…どのぐらい降り続けるんですか? 」
厳蒔弓弦
「 込めた法力が尽きる迄だな。
時間は私にも分からないが、そんなに長くは続かないと思うが… 」
玄武
「 大した威力の技だな。
これで『 大した事ない 』と言うなら謙遜のし過ぎだ。
広範囲攻撃の出来る弓弦は戦力になる 」
衛美
「 …………矢の雨を降らせるなんて恐怖いぐらいです!!
これで主力にならないんですか?
嘘みたい… 」
厳蒔弓弦
「 兄達の法力はもっと強力だ。
技の種類も豊富で、威力も私の倍はある。
刀使い,斤使い,槍使い,鞭使い等の近距離攻撃も遠距離攻撃も出来る者ばかりだ。
皆、強力な広範囲攻撃も全体攻撃も出来るからな、弓使いの出番はあまりないんだ 」
衛美
「 そう…なんですか?
退魔師組合って強い人が多いんですね… 」
玄武
「 そろそろ方が付く。
切り上げるぞ 」
衛美
「 もう?
結構早いわね。
30分も掛かってないわ 」
厳蒔弓弦
「 矢の雨も止みそうだな 」
天上の魔法陣が消えると矢の雨も降り止んだ。
輪入道に刺さった筈の弓矢は法力が尽きると同時に消えたみたい。
消える矢って凄いんですけど!!
衛美
「 玄武、輪入道はどうなったの?
蒼白い炎は見えなくなったし、霧も晴れて来てるし…… 」
玄武
「 安心しろ。
平地に居た輪入道は全滅した。
依頼は達成した。
依頼主へは式神を向かわせる。
明日の正午までに報酬は口座へ振り込まれるだろう 」
衛美
「 ねぇ、もし振り込まれなかったらどうするの?
請求するの? 」
玄武
「 報酬を支払わない企業は容赦なく潰すに決まっている。
依頼人に渡した契約書には【 20●●年●月●日●曜日の正午までに報酬の全額を【 四星玄武退魔所の口座へ振り込む 】と書いてある。
依頼人もサインをしている。
この契約を破棄する行為は死を招く事になる 」
衛美
「 死を招く??
どういう事なの?? 」
玄武
「 言葉の綾だ。
気にするな 」
衛美
「 気になるわよ!!
そんな言い方されたら! 」
厳蒔弓弦
「 これでこの平地で “ ドリームタウン ” の再建設が始まるわけか 」
厳蒔弓弦
「 次の依頼場所へ向かうぞ 」
衛美
「 休む間も無いのね。
私は何もしてないけど…… 」
玄武は実体化を解くと、転移陣を発動させた。
次の依頼場所は何処なのかしら??
未だ、4時30分も残ってるなんて、終わるまで先が長そう……。




