♥ 大学 1 / 昼休み / 中庭テラス
──*──*──*── 中庭
──*──*──*── テラス
講義が終わって昼食をする為に中庭へ来た弓弦さんと私は、テラスで昼食をする事にした。
境戸君にはLINEで送信済み。
別に来てくれなくていいけど、友達候補だから一応連絡はした。
テラスは他の学生も利用していて賑やか。
弓弦さんは大学の敷地内にある図書館でアルバイトがあるから、図書館関係者を証明するスタッフ専用のパスを首から掛けている。
私の為に大事なアルバイトを放ったらかして、聴講生をしてくれているけど、良いのかしら…。
何か申し訳ないよね…。
実体化してない玄武は「 気にしなくていい 」って言うし。
厳蒔弓弦
「 境戸君がストーカーなのか?
見えないんだが… 」
衛美
「 境戸君がストーカーだって言ってるのは玄武です…。
……でも、境戸君には何か……何なのか分からないんですけど…、何かを感じたんです。
玄武からは “ 不安要素 ” って言われました。
それが何なのか……私は確かめたいんです 」
厳蒔弓弦
「 境戸君に不安要素か…。
境戸君とは親しくなる必要がありそうだな 」
衛美
「 弓弦さん……巻き込んじゃって御免なさい… 」
厳蒔弓弦
「 気にする事ない。
衛美も≪ 瀬圉家 ≫の人間だ。
気になる事があるなら解明すればいい。
境戸君とは蕁麻疹繋がりで打ち解けられそうだしな 」
衛美
「 弓弦さん、蕁麻疹持ちだったんですね… 」
厳蒔弓弦
「 黙っていて悪かった 」
衛美
「 いえ、いいんです。
御互い触れない者同士なんですね。
安心しちゃいました(////)」
厳蒔弓弦
「 そうか。
それは良かった。
──境戸君は来ないようだな。
衛美、先に食べてしまおう 」
衛美
「 はい。
午後の講義は14時からですから、ゆっくり昼食が出来ますね 」
弓弦さんがテーブルの上に今朝作ってくれたお弁当を広げてくれる。
重箱じゃないから昨日みたいな豪勢なお弁当じゃないし、量はも少なめ。
だけど、家庭的なお弁当も美味しそう。
衛美
「 ──いただきます! 」
衛美
「 ──御馳走様でした。
弓弦さん、境戸君、来ませんね。
何かあったのかしら? 」
厳蒔弓弦
「 もう1度、LINEしてみたらどうだ?
メッセージが入ってるかも知れない 」
衛美
「 そうですね 」
弓弦さんに言われて、スマホを取り出すと、境戸君からメッセージが来てないか確かめてみた。
衛美
「 メッセージは入ってないです 」
厳蒔弓弦
「 そうか。
もしかしたら、気を使ってくれているのかも知れないな 」
衛美
「 あのしつこい境戸君がですか?
ないと思いますけど…… 」
厳蒔弓弦
「 衛美、午後の講義は何を受けるんだ? 」
衛美
「 えぇとですね── 」
厳蒔弓弦
「 ──つまりだ、笆谷部准教授は、○○○○は◇◇◇◇で△△△△が☆☆☆☆だと言いたかったんだが、分かるか? 」
衛美
「 えぇと……どうして△△△△が☆☆☆☆になるんですか? 」
厳蒔弓弦
「 ◎◎◎◎が△△△△で◇◇◇◇は○○○○だからだ 」
衛美
「 …………☆☆☆☆と◇◇◇◇は何が違うんですか? 」
厳蒔弓弦
「 ☆☆☆☆は△△△△と◇◇◇◇と○○○○だ。
◎◎◎◎は○○○○で△△△△が◇◇◇◇だから◎◎◎◎なんだが──、分かるか? 」
衛美
「 …………弓弦さん……何語を話してますか? 」
厳蒔弓弦
「 日本語だが? 」
衛美
「 専門用語が多くて外国語に聞こえます… 」
厳蒔弓弦
「 そうか…。
衛美には口答よりも書いた方角が分かり易いかも知れないな。
ノートを貸してくれるか? 」
衛美
「 は、はい…(////)」
私が講義で使っているノートと筆記用具をすと、弓弦さんはノートに何かを書き出し始めた。
書道を習っていて、美文字を書けるようになる為に毎日、字を書かされていたから、標準的な読める字を書ける私だけど、弓弦さんの字は美文字だった。
達筆だったら読めなかったと思うわ。
字だけでも惚れちゃいそうなんですけど……。
今日日は美文字男子がモテるのよね。
汚文字男子はモテなくなって、何時からなのか、美文字はモテる男のステータスになっていた。
まぁ、一時期は美文字ブームも来てたし。
弓弦さんにノートの中身を見られる日が来るなんて思ってなかったから、不意打ちを食らった気分。
美文字とは言えないまでも汚文字でなくて本当に良かったぁ〜〜(////)
字の書き方を教えてくれた玄武のお蔭ね。
実は玄武も綺麗な字を書けたりする。
平安時代には身寄りのない子供達を屋敷に集めて、読み書き,計算を教えてみたい。
寺子屋みたいな事をしていたのね。
厳蒔弓弦
「 衛美、これならどうだ。
分かるか? 」
私が考え事をしている間に、弓弦さんがノートに何かを書き終えたみたい。
ノートを見せてもらったら、見易くて分かり易い内容で、講義で聞いた内容が簡潔に纏められていた。
衛美
「 凄い……弓弦さんはノートの書き方が上手なんですね 」
厳蒔弓弦
「 復習をするのもノートの取り方は大事だからな。
コツを知って慣れる事だ。
自分が後で復習し易いように、自分に見易いノートを心掛ける事だ。
板書を丸写しする必要はないし、大事なポイントを絞って書くといい。
慣れるとキーワードや要点だけを簡潔に纏めて箇条書き出来るようになる 」
衛美
「 そう…なんですか?
何か難しそうですね… 」
玄武は平安時代の式神だからノートの取り方も纏め方も知らないのよね…。
厳蒔弓弦
「 共に講義を聞くからな、衛美にも出来る簡単なノートの取り方を教えよう 」
衛美
「 本当ですか!?
有り難う御座います(////)」
結局のところ昼休み中に境戸君が中庭へ来る事はなかった。
弓弦さんと中庭を後にして、午後の講義へ向かった。