ペイン・ハウス -Last-
「さて、勝負は着いた訳だ。そこでお前らに話がある」
3人に話しかける創矢。
「今、俺らはペイン・ハウスって言うチームを組んでる。誰が本当に強いのか、ランクとか学年、何処の誰かは関係なく、強さを証明するためのチームを。んで、お前ら一緒にやらねぇか?強そうにはみえねぇけど。どうせ、中途半端な事やってんなら、俺らと一緒にどうだ?」
透は内心、コイツらでいいのかと疑問を抱いていた。が、同時に2年の情報網としては都合良さそうだとも思った。
「どんなことをするんだ?」
立っている1人が聞く。
「今年はチーム作り。来年、俺らが2年になる頃から本格的に活動する。活動と言っても、強い奴に片っ端から挑むだけだけどな。ただ、そこで1人だと別にチームがあれば袋叩き、情報も無いよりはあった方がいいだろ?だから色んな奴集めて今年にはチームを作るつもりでいる。どうだ?」
正直、納得したような顔つきをする2人。それもその筈。この学校に長い事、居れば居るほど創矢と同じように、ランクや実力に疑問は抱きやすい。特に、少数で校舎裏に屯するような集まり。周りと、あまり反りが合わない、ひねくれた存在。自ずと、創矢の考えに寄っていくし、その考えには納得出来る。
「俺も同じ事は考えていた。俺も強くなりたいし、自分の力を試したい。チームに入れてほしい」
創矢から受けた痛みが少しずつ引いてきたようで、膝を手で掴みながら、支えにして立ち上がりつつ、ダウンしていた男子生徒が創矢にそう告げる。
「いいぜ。今日からお前もチームだ。残りは?」
立ち尽くす2人に顔を向けながら聞く。
「俺も入れてくれ」
ほぼ同時に2人が答える。
「決まりだな。じゃあ、俺らは今日からチームだ。早速だけど、お前らの名前と"異能"教えてくんね?俺も話す」
ここから1人1人の軽い自己紹介が始まった。
まずは、創矢にやられた男子生徒。名前は岩筋 錬也。"異能"は増強。見た目は普通の体型か少し痩せ型に分類されるような体型。身長172cmと創矢と近いくらいの背丈である。髪型も普通に短く整えているくらいで、ぱっと見は細身の、ひ弱そうな男という印象を受ける。"異能"である増強は肉体を急激に強化出来るらしい。先程もそうだか、痩せ型の体型から、一気にボディービルダーのような体型に変化した。更に、部分強化も出来るので、フックを入れた腕だけを強化、みたいな事も出来るとの事。その上、最大でアルミくらいの強度まで体を硬く出来るらしい。肉体を急激に変化させる関係上、服装は常にゆとりを持っているらしい。そのため、常に上はタンクトップ、下はワイドパンツなどを履いている。服装も服装なだけに、余計に、よく見かけるファッションに少しこだわりがあるだけの細身のひ弱そうな男という印象が強く出ている。
次に、立っている2人の内、まだ会話量の多い男子生徒。名前は丹下 深也。"異能"は抑圧。相手の能力、パフォーマンスを下げる、止める事が出来るらしい。自分のパフォーマンスを上げたり、特殊な攻撃は出来ない、"異能"を使っても生身のまま。身長は166cmと平均より低い。特別喧嘩が出来たり強かったりする訳でもないらしい。だが、"異能"を使って、相手のパフォーマンスを圧倒的に下げられるので問題無いとか。最大で、本人の幼少期くらいの身体パフォーマンスにまで落とせて、"異能"に関しては、初期レベル、相手の実力が低ければ封じ込める事も可能らしい。そして、相手のパフォーマンスが落ちた所で、普段から隠し持ち歩いている、メリケンで殴るのがセオリーとの事。体型は身長に見合った普通の体型であるが、相手の身体パフォーマンスが幼少期ともなれば、成人男性に近い人からメリケンで殴られるだけで、かなりの威力を発揮する。そのため、靴も武器になるようにと、安全靴らしい。他にも、ズボンはカーゴパンツ、上着はジャケットなど、あちこちに武器を携帯出来る服装を好んで着ている。髪型は刈り上げベリーショート。服装からして遠目は完全に小柄な自衛隊である。
最後の1人は咽原 響平。"異能"は喝破。自分の声の大きさや飛距離、範囲などを自在に操れるらしい。その声で鼓膜の破壊や三半規管を狂わせる事が出来るそう。飛距離は最大10m前後。多少相手が離れていても、遠距離から攻撃が出来るので、かなり厄介。しかし、離れていればいる程、自在に声を操れても、相手へのダメージもそれに伴って減ってしまうらしい。特に、飛距離ギリギリだと効果が薄いらしい。普段から"喉"を使うため、喉を少し鍛えていて、普通の人より少し首が太めである。更に、喉のついでに体も少し鍛えているので、全体的に引き締まった筋肉質な体型をしている。身長は170cmと平均的なので、見た目による威圧感は対して無い。どちらかと言うと、好青年に近い。上はロングの薄いカジュアルシャツの袖を捲っていて、下はそれに合わせてという感じだ。髪型も短く整えてあるセンターパートで、見た目は良い印象を受ける。
(1番喋りそうなお前が1番口数少ないけどな)
と内心、透は呟いた。
この時、当たり前だが、まだ深也と響平は知らない。約1年後に同じクラスの女子生徒に囲まれて、脅された後、創矢に殴られる事を。
最後に創矢自身の"異能"の話があって終わった。透に関しては、自ら話す事が無ければ、誰からも聞かれる事も無かった。と言うより、創矢にやられた直後に、そんな事を軽々しく聞けないと言った方が正しい。透がどの程度強いのかが分からないし、仮に強くて、ここで再度やられるのは御免だからだ。
「んで早速なんだけど、今の2年で強い奴誰なの?それと他に仲間になれそうなの居る?」
創矢の質問に少しの沈黙。少し間が空いてから、錬也が答える。
「俺らの中で、1番と言ったら天羽 翼って言う女子かな?後は、翼と一緒に居る2人。翼はSランク、残りはAランクだっけな?正直ランクも"異能"も、よく分かって無いんだよね」
「なるほどな、もうSランク居るのか。その翼ってのはどんな"異能"なんだ?」
錬也は知っている限りではあるが、翼の"異能"について語る。
「それは強そうだな。後、さっきも言った通り、俺は致命傷を受けたら"異能"は使えない。となれば、向こうも複数人居る訳だから団体戦だな。つか、翼に限らずだけど、1対1以外は基本チーム戦を考えてる。個人で強いのは当たり前たが、チームが弱けりゃ意味がねぇ。強い奴集めても、チームで動けなくて結局潰されたチームとか集団はよくある話だからな」
新メンバーは頷く。
「まぁ、今日明日でいきなり襲う事は無い。さっきも言ったけど、チーム作りが優先だ。で、チームになりそうな当てあんの?」
再度、創矢が聞く。
「はっきり言って、俺らみたいなのは俺らくらいかな?他は少なからず、真っ当に学生やってるよ」
少し諦めた感じで、錬也が言う。
「なるほどな。そうはいねぇか。ま、メンバーは一能に限定してる訳じゃねぇし、来年の1年でもいいし。メンバーはこっちでも、どうにかするとして、そっちはさっきの3人の情報集めてくんね?他にもわかった事あれば、逐一頼むわ」
3人は頷く。
「んで、もう1つ決めたい事があんだけど、どっかに拠点欲しいんだけど、どっかある?」
4人に向けて聞く。
「ぱっと思いつくのは、ここか意外と図書館とか?」
透が、すぐに答える。
「やっぱ、ここぐらいしかねぇのかなぁ?それと図書館は無ぇな」
創矢もすぐに答える。
「図書館良いと思うんだけどなぁ。占拠すれば注目されるし、そもそも、そこまで人の出入り多くないから、すぐに拠点に出来そうだけど」
透が少し推してみる。
「いや、無ぇな。それに図書館拠点は変だろ。他にする」
透が言い終わると、創矢は即答する。正直な所、創矢自身も図書館は一瞬考えた。が、すぐに切り捨てた。何故なら、図書館には和歌が、よく出入りしているからだ。だから、何としてでも創矢は避けたかった。
「まぁ、確かに変っちゃ変かもな。図書館を拠点にするチーム何て聞いたことねぇし。それも、読書集団じゃなくて、はぐれ者集団なんて」
「だろ?」
何とか、図書館を避けられて、内心ほっとする創矢。
「じゃあ、取り敢えず見つかるまでは、教室の隅ってのは?そしたら、すぐに集まれるし」
深也が言う。
「それはありだな」
創矢は納得したような感じで答える。
「安牌だな。俺もそれで良いかも」
透も乗る。他の2人も頷く。
「じゃあ、暫くはそれで行こう。場所はいずれ見つけるって事で。で、お前らの教室空いてんの?」
創矢が聞く。
「俺らは、だいぶ席が固定化しちゃってるなぁ。それに、窓際の隅は翼達居るし。そっちの教室なら空いてる気がするけど、どう?入学してまだ、席固定しきってないんじゃない?」
錬也が聞く。
「だな。俺らの席を今の内に押さえておくか」
結局これを機に、ペイン・ハウスの活動拠点と言うか、居場所と言うか、は向こう1年近く創矢達の教室で窓際の隅となった。
《Sランク》3年 天羽 翼/163cm "異能":羽
《Aランク》3年 兎耳山 音波/161cm "異能":地獄耳
《Aランク》3年 時雨 瞬159cm "異能":?
《-ランク》3年 岩筋 錬也/172cm "異能":増強
《-ランク》3年 丹下 深也/166cm "異能":抑圧
《-ランク》3年 咽原 響平/170cm "異能":喝破
《-ランク》2年 虎杖 創矢/175cm "異能":痛み分け
《Sランク》2年 本田 和歌/-cm "異能":本
《-ランク》2年 荷川取 透/168cm "異能":窃取




