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大嫌いな義弟のL♡VEドールに毎晩憑依してしまいます!?  作者: 大福ちゃん


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4/21

4話.わたしのかなちゃん

夜風に撫でられながらベンチでうとうとしていると、ふと懐かしい記憶が脳裏をよぎった。

まだ子供だった頃の、素直で可愛かった夏波の夢だ。

私たち義理の姉弟は本当に仲が良く、近所でも評判だった。

『かなちゃん』『凪ちゃん』と呼び合い、かなちゃんはいつも私にトコトコとついてきては、花が咲くような無邪気な笑顔を向けてくれた。

父親が出ていって以来、母は仕事で忙しく、家でずっと孤独だった私にとって、突然できた可愛い義弟の存在は、何よりの癒しだったのだ。

『凪ちゃん! 抱っこして』

『凪ちゃんだぁーいすき!』

『凪ちゃんさみしいの? ぼく、凪ちゃんのことひとりにしないからね』

(かなちゃん、わたしの可愛い夏波。もう一度、あの子に会いたいなぁ…)

『ねぇ、凪ちゃん、ぼくの――』

「おい、ブス」

「……え?」

鼓膜を刺すような冷たくて低い声に、ふわふわと心地よかった夢の空気が一瞬で凍りつく。

ゆっくりと重い瞼を開けると、そこには眉間にシワを寄せた『現在の生意気な夏波』が立っていた。

「こんなとこでキモい顔して寝てんなよ」

(……せめて夢の中でくらい、可愛い夏波でいてくれてもいいのに……)

まだ寝ぼけて頭が回っていない私は、目の前の不機嫌な義弟に向かって、思わずすがるように口走ってしまった。

「……かな、ちゃん……?」

もう一度、あの可愛いかなちゃんに戻ってきてほしくて。

すると――。

「っ……!!」

生意気な夏波は、ビクッと肩を大きく震わせ、フリーズしたようにピタリと動かなくなった。

怒っているのか、それとも別の感情なのか。その顔は、耳の先まで茹でダコのように真っ赤に染まっている。

挿絵(By みてみん)

「おま、えは……! くそっ! まだ寝ぼけてんの!?」

「え、あ……」

「大人のくせによだれ垂らして寝て、恥ずかしくないの!? ほら、もう帰るよ!!」

ぐいっ! と強引に腕を引かれる。

「ちょっ、引っ張らないでよ!」

私はもつれそうになる足で、足早に歩く彼に必死についていくしかなかった。

***

電車に揺られ、駅から家までの帰り道。

ただでさえ不機嫌だった夏波の機嫌は、なぜかさらに最悪になっていた。ドカドカと足音を荒立てて歩き、時折こちらを鋭く睨みつけてくる。

「……ていうかさ」

突然、沈黙を破った夏波の声は低く冷たかった。

「いい歳して若い男に媚びるとか、恥ずかしくないの? 年齢考えろよ」

「え……?」

いきなりの言葉に、何のことかわからず立ち止まる。

「あんなわかりやすいお世辞、真に受けてさ! あんなのただの社交辞令だって解れよ。勘違いしてニヤけちゃってさ」

「……」

「あー、そっか。わかんないのか。ブス子は恋愛経験ないもんな」

鼻で笑うように吐き捨てられた言葉に、カチンと頭に血が上る。

彼が言っているのは、さっき駅で別れた柴崎くんのことだ。

(恋愛経験がないって…いったい、誰のせいだと思ってんのよ…!)

私の貴重な青春時代を、すべてお前の世話に捧げたからだろうが!

喉まで出かかった怒鳴り声を、私はギリッと奥歯を噛み締めて飲み込んだ。

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