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【コミカライズ続き復活済み】【Web版】おっさん(3歳)の冒険。  作者: ぐう鱈
2章:あえて言おう、桃太郎の桃を拾えるお婆さんは大物である!と

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36「なぜこうなった森の中6 魔宝技師ぽい人見参!」(復活済み)

※大幅見直し中【5/9】


 こんばんは、マイルズです。

 私は今部屋の中にいます。

 え? 普通? うん。そうだね。

 で、何をしているかと言うと夜間に明かりをつけず魔導実験にトライする予定です。

 秘密実験なのです。何かワクワクしませんか? なお、今回の主役はこの拳大の石です。


「マスター、魔法道具の作成はリーリア様より禁止されておりますが?」

 いいのです。これは魔導実験であって魔法具作成ではないのです。


「屁理屈ではないでしょうか?」

 ないのですよ?

 魔導実験は普通なのですよ?

 学術的好奇心という名の勉強なのですよ?


 ……という事で、やってみましょう。

 夕方訓練場脇でやってしまった爆発事故。いささか問題になりまして…。


 1つ目は爆発させてしまった事。

 これについては母のお説教は30分で終わりました。

 基本的に『爆発は危ない』『安全第一』とのことでした。幼児ですしね……。


 2つ目は魔法力で岩にした事象(爆破)についてです。

 後で知ったのですが岩は魔法回路つまり、魔法力で影響を起こしやすい物質ではあるとのことです。

 しかし爆発する事象は稀有なケースらしくて何をしたのか祖母と母がタッグを組んで根掘り葉掘り聞かれ、再現実験までさせられました。


 あれ? 私の身の安全の話は何処に?

 と思ったら安全対策は万全だと祖母が胸を張っておりました。

 ……どこの世界も学者ってやつは……。まぁ私も途中楽しくなってしまい。あの時は咄嗟に『気』を使ってしまったのではないかと思い付き、提案をしてやってみました。結果無事?爆発しました。


 その後、『気』という超難易度の高い稀有な技術が必要ということで頭を抱えながら議論している母と祖母を横目に、実験が終わったと認識した獣王妃様がやって参りまして、今回の騒動に対する情報隠ぺい工作についての苦労話を伝えられました。

 うーん。幼児に何を言っているの?

 うん。罪悪感パないっすね。え? うん。貸し1つですね。覚えておきますとも……。


 で、現在、大きめの石で再現実験をしようとしています。ワクワクしますね。

 なぜ小石でやらないのか、理由は2つあります。


 1つ、夕方の実験で把握したのですが爆発する事象は『容量超過に伴う破裂』でした。だから安全性を考えれば大きい方が良いのです。


 2つ、生成過程で魔法力による圧力加減を記録する為に小石では調整が難しいのです。気を使わないのであれば爆発はしませんが小石ではすぐ分解されて砂になってしまいます。


「この実験って、ここでやってもバレないですよね?」

「結界魔法具が3重に張られています。即座に見つかります」

 何ですと!


「驚いてらっしゃいますが、獣王国の貴族のお嬢様方が集まる寄宿舎です。警備もそれ相応とご認識を」

 なんですと! 嫌なのです! 断固やってみたいのです!


「ダメです」

 やーーーりーーたいのですーーーーー!


「マイルズ、遊びに来たのじゃ。ん? 何ぞ? 駄々をこねておるのか? 幼児らしくて良いの~。 おっと、その石は危ないな。儂が預かっておこう」

 ひょいっとポチに石を持ち去られました。

 ……ああ、私の大事な実験素材(モルモット)が持っていかれた。

 なんでしょう、魔法力を使って遊んでいないとストレスがたまるのです。お家では毎日農業魔法使っていたのに……。……あ、お家でも指定以外の魔法を使ったら怒られましたね。しょうがないですね。


      ◆◇◆◇◆


「魔道実験をしたいのです! できれば魔石を使って魔法具も作りたいのです! 普通の生活に飽きたのです!」

 実験したいのです!

 魔法回路を魔石に組み込んで色々作りたいのです!

 想像力ばかり膨らむのです!

 しかし皆さんは自制しろとおっしゃる。無理なのです。幼児は我慢できないのです!

 そして幼児は甘えるのが仕事なのです! 我慢は毒なのです! 心は大人? 体は子供なので無理なのです!


「これはちょっと困ったものじゃの」

「はあ、ご迷惑をおかけしております……」

「しかし何としたものか、やらせてみるか?」

「いえ、それには及びません。マスターもごね続ければ、やがて疲れてふて寝、そのままお休みになり、ご起床されればお忘れになりますので後はお任せください」

「うむ、では任せたのじゃ」

「はい」

 そういってポチは出ていきました。

 権三郎は私を見守っています。

 うむ、本当に私があきらめるとお思いなのでしょうか?

 少し考えが甘いですね……。やり方は1つではないのですよ……。何事も。


      ◆◇◆◇◆


 翌日。私は魔法演習場におります。

 50列ほど並ぶ幅10m長さ20mの射撃場です。

 射撃ポイントは分厚い壁に阻まれ練習中の人を覗けないようになっております。

 また失敗時の安全対策を各種結界で施されているので未熟な学生にも安心安全! 各家あまり練習過程を披露したくはないが、その威力から『練習場所が容易に存在しない秘術』などがあるのでその対策であるとか。ふむ、完璧じゃないですか。私が遊ぶのには!


 この自習時間である午後を利用して、色々遊ぶのです!

 実家では変態王子で遊べていたのにここでは我慢の日々!

 ……さぁ楽しむのですよ! 標的の方を見れば魔法の標的にする大岩まで豊富にあります。


ブ――――

 ブザーが鳴り響き、同時に魔法が一斉に止みます。

 少しすると皆、石や岩を運びターゲットポイントに据える。または魔法の効果を確かめるためにターゲットに近づき魔法の結果を考察しています。

 私も同様に大型の岩を権三郎に運んでもらいます。

 私自身が土魔法で運ぼうとしたのですが権三郎に止められました。最近造形を替えてイケメンの外面になった権三郎ですが過保護が日に日に増しています。

 困ったことです。

 ちなみに『造形を変えた』のは私といつでも一緒にいられるようにしたとのことです。……全くもう(照)。


 さて、先ほど使おうとした土魔法ですが、農業魔法の基礎魔法なのです。

 先日祖父から案山子魔法をインストールされた際に使えるようになりました。

 そう、権三郎を作った時のアレです。

 まあ、相も変わらずだれも使い方を教えてくれなかったのでこっそり試行錯誤したのですがね……。

 ……教えたらアブナイ?

 全くもう。こんな可愛らしい幼児が危ないことするわけないじゃないですか!


 ……権三郎の視線が厳しいのは気のせいでしょうか?

 ……さて、私たちはターゲットである岩を置き魔法発動場所で待ちます。

 他の人たちより早めに戻ったので権三郎が出してくれたお茶を片手に再会の合図を待ちます。


ピ――ピ――

 時間が来たので退避することを促す警報音が鳴り響きます。

 やがて全員が標的を置く場を離れたところで係員の獣人と安全対策の盾を装備した簡易案山子が状況を確認して回っております。


ピ――――

 係員が居なくなって少ししてから開始の笛が鳴ります。

 各レーンから思い思いの魔法が飛んでいきます。満員のため壮観な景色です。うん、戦場で魔法使い部隊とはやり合いたくないですね。これは怖い。

 さてさて、一応私のほうからも一撃放っておかないと怪しまれますね。では魔法を……おっと、せっかくならあの魔法を試してみましょう。

 私は岩に向かって手をかざします。


「封印された魔法はダメですよ、マスター」

 知っております。なので今回はビームなのです。

 そう、連邦の白い悪魔が画期的兵器だったのはビーム兵器のおかげ!

 たしかミノフ〇キー粒子を収束・加速して発射していたはずです。ミノフ〇キー粒子は魔法変換直前の魔法力がその役割をしてくれそうでしたので『圧縮→収束→加速』という魔法発動工程を分け、小規模出力の術式を生成してみたらビーム魔法が完成しました! ということでさっそく……権三郎その手は何でしょうか? え、封印ですか? 横暴が過ぎませんか?


「ここで注目されては実験もできないですよ?」

 うぐ! 忘れていました。

 そうでした今回の目的はオリジナル魔法を打ってすっきりするためではありませんでした……。

 いえ、それも目的かもしれませんが……。


「仕方がないですね。では適度に……電磁投射砲にしましょう」

「アウトだと思います」

 何故ですか!?

 もはや子供の自由研究でも可能なほど広まった、簡単原理の高威力魔法ですよ?

 欧米なんかでは車ぐらいなら打ち抜けるものを自作している一般市民もいるぐらいお手軽兵器なのに……。

 雷魔法を使えるようになったので、その辺りの小石とシールド魔法+雷魔法で簡単高威力♪なのですよ?


「高威力の時点でアウトです」

 なっ何ですと。……ではプラズマ砲も……。


「名前を伺う限り無理ですね」

 ほほう、では何があるというのですか!


「普通に土魔法で石をぶつけることをお勧めします」

 電磁加速……。……だめ? ……ロマン…。


「実習にロマンはいりません」

 一刀両断でした。なので仕方なくやる気なしに石を飛ばします。

 どおおおおん

 あ、しまった。魔法力で生成した岩の内部構造を爆薬にしちゃった。テヘ♪


「『テヘ』ではありません。注目浴びましたよ」

 せっかく衝立があるのに、生徒たちが私のブースへ集まってきます。

 ……うん。……まぁ。そうなるよね。なので、一芝居うちましょう。


「ふう疲れました、少し休むとしましょうか。権三郎」

 権三郎が椅子を引いて、私を抱えお座りさせてくれます。そして優雅にお茶を飲みます。

 今私は女装中です。可愛らしい食の聖女なのです……(吐血)。

 ……権三郎、聖女の秘術とか言ってごまかして……。


「皆さま、今マスターが放ちました魔法、我が家の秘匿魔法の一端にございます。ご興味がお有りの方は国を通してからお越しくださいませ」

 権三郎の笑顔に皆一様にひきつった笑いで各自のブースに戻ってゆきます。

 魔法使いの間で各家の秘匿魔法について積極的に知ろうとすることは宣戦布告行為です。つまり、今私が使った魔法を見て伝えて警戒する分には問題ないですが、探ろうとすると潰すよ? 国単位で問題にするよ? ということです。権三郎、恐ろしい男。あ、アンドロイドか。


 私の周りが落ち着いてきたので実験に戻りましょう。

 私は土魔法でターゲットポイントの岩を再生すると権三郎に直径30㎝程度の岩をもってきてもらいます。そして昨日の実験同様に魔法力のみを流します。すると熱を持ったように白く光を放ちました。でもそれだけです。

 うん、昨日も思いましたがこれじゃない感が半端ありません。

 何がダメなのでしょうか……。魔法力の種類でしょうか……。

 昨日祖母と母の前で検証したのは今使った魔法にする前の純粋な魔法力。

 それに対してレーザ魔法やそのほかの勝さんの知識魔法は先ほど示した通り『圧縮→収束→加速』などの通り魔法力を術の途中で事象を付与して段階的に変化させていくことができます。加熱や荷電、液化、気化などの魔法力の状態が影響しているのでしょうか……。それともやはり神の御業に近いと言われる『気』が関連しているのでしょうか……。どんな魔法回路を組み込むべきか……うーん。

 そんなこんなと悩んでいるうちに  


ブ――――

 ブザーが鳴り試射終了の時間です。私はお茶をしてお休みの体裁をとっています。念のため標的である岩を確認します。標的はまだ健在ですね。次ぐらいに1発撃って替えますか。

 そんなことを考えていると


ピ――ピ――ピ――――

 開始の笛まで鳴っていました。次は目立たないように普通の魔法、雷撃魔法です。


ドン!

 極めて常識的に収まりました。気持ちと思考を落ち着かせるため、お茶をすすりつつ、実験の継続を考えます。

 そんなことを何度繰り返したでしょうか。気づけば実習場は夕闇に包まれておりました。

 もう最後の思索です。時間的に次はありません。

 ……そもそもです。私はあの時、本当に『気』を使ったのでしょうか……。

 いえ、そもそも私は何を作ろうとしているのでしょうか……。

 作って何か意味があるのでしょうか……。

 作ってから考えるべきですね……。


 目的を再定義しましょう。

 私の目的は、あの一瞬目撃した白い魔石です。そう人工魔石だったはずです。

 まず魔石とは何なのでしょう? 

 魔石とは魔法力だまりが『何かのきっかけで物質化』したものと言われているそうです。

 物理法則外の魔法物理の法則と現在仮定されているのですが、魔法力と術理や世界の魔法法則の影響により生物として創造された、と考えられているモンスターなどは体内ではモンスターが必要としない魔法力が不純物として蓄積され、体内で圧縮、硬質化して魔石化していると想定されています。

 まるで胆石です。魔物が凶暴なのはこれが原因?

 まぁ、そこはおいておきましょう。

 ではどのように魔法力が物質化してさらに硬質化するのか? 土魔法のように物質に変換? でも魔石という物質の構成がわかりません。現代科学のように分析して体系化しているのではないので、現状は知る術がありません。もしかしたら祖母辺りが知ってそうですが……。聞いてしまうと根掘り葉掘りされたうえにお説教コースです。それは避けたい。


 見方を変えましょう。

 元の世界での石、特に希少鉱石はどのように生成されるのでしょうか。超重力による圧力? ダイヤモンドは地下深いところでマントルによる高圧力によって生成されると聞いたことがあります。

 昨日はどうだったでしょうか……爆発させることを目的に魔法力を際限なく投入しましたね。


 ……なるほど、それか!

 圧力ですか。単純な魔法力の量ではなく、魔法力の性質でもなく、ましてや『気』を混ぜることによる爆発作用でもない。魔法力を注入する際に圧縮して押し込む。それですね!


 私に確信めいたなにかが下りてきました!

 って言ってもこの感覚は本日で5度目なのですけどね!

 4回は間違いでした。ですが、失敗は成功の母です! れっつとらい!


 まず、岩の内部に向けて制御なしの魔法力を、意識的に高濃度にして送り込みます。

 手ごたえがありました。これです。この感覚です。

 じわじわと広がっていく魔法力の反応を感知しつつ表層まで浸食する直前で止めます。内部の安定化を図るため魔法力注入を止めます。

 注入した魔法力を継続的に維持するように圧力をかけ続け、10分後ほど続けますと内部から薄く白い光が放たれ始めました。

 やがて岩の表層部分が魔石のような材質に変化していくのを感知できました。

 さらにしばらくして光が収まると、川で拾ってきた魔石のような魔法力を内包しつつ安定した石の感覚が私の魔法力を通して感じられます。

 ……ふう、どうやら成功のようです。


「マスターお時間が……」

 そしてどうやら帰宅時間ぎりぎりのようです。

 そこでハタと気づきます。

 私の手元には子供の頭ほどの魔石があります。通常こぶし大の魔石でも巨大な魔石! と言われる所、その何倍も大きなものが……。あ、これは……やっちまった!

 まずい! お説教アンド強制帰国ルートが見えます……。


 何か、何か! 隠すものは! はっ!! そうだ!! 木を隠すなら森と言います!!

 咄嗟に手近な岩に手を置き案山子製造魔法を発動します。権三郎を参考にしたので、もう可動域とか動作部分に関しては祖父に劣らず完成の域です。一気に身長160㎝程度の人型を作成しました。


 なかなかの力作に満足です。

 ……あ! そうでした!! 目的を思い出した私は魔石を作りたてほやほやの案山子頭部へ格納します。これで証拠隠滅完了のはずです! 

 私は急ぎ権三郎に抱えてもらい新しくできた案山子の頭に魔石をかくのう…のーー!

 格納扉作り忘れました!

 どうしましょう!?

 もう一回作るべきでしょうか。それをするには時間が……そもそも石が……。


「えい」

 苦し紛れに魔石を案山子の頭にぶつけてみます。

 魔石の表層の石が砕け中から半透明の白い石が出てきます。が、そんな物をじっくり見ている暇はありません。


「えいや」

 掛け声を変えてみました。するとズニュと音を立てそうな勢いで案山子の頭部に魔石が入っていきます。うわっ。きもっ。


「権三郎。この子動きますか?」

「……マスター、基本行動に必要な魔法回路を組み込みましたので動くかと」

「ではあなた、私たちについてきてください。一緒に帰りましょう」

 そういうと新しく作られた案山子はゆっくりとうなずき、権三郎の後ろに続きます。


 これで何とかお説教は回避……。

 できませんでした。

 帰宅が遅れたことを怒られました。

 無断で案山子を増やしたことも怒られました。

 獣王様を経由して祖父と祖母がお説教に派遣されました。

 何か隠している……いえ、なんでもありません。被告人は黙秘いたします!


 ……しかし権三郎は黙秘してくれませんでした……。

 根掘り葉掘り聞かれた上に2日連続のお説教でした……。

 さて、明日はどんな暇つぶしをしましょうか……。

 ああ、街中に出してもらえればこんなことしないのにな~(棒)


 チラチラ

 あ、目をそらされた。


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