37「結論、有罪!」(復活済み)
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;つД`)
間違って消しました…
※大幅見直し中【5/9】
【1。獣王国サイド】
皆さんこんにちは。正義の幼児。皆さんのお家にもいてほしい安心安全の幼児。マイルズでございます。
唐突に獣王国へ送られ……留学を申し付けられ、着いた先では女装の上『食の聖女』として祭り上げられ、絶賛幼女しているマイルズでございます。
「断固として無罪を主張します」
被告人私は無罪を主張します。だって魔法演習場で魔法使っただけじゃないですか! 冤罪です。幼児にも人権を!
「と言っておるが?」
裁判長の獣王様が会議室に居並ぶ面々に問いかけます。
「魔導具関連は禁止って言ったわよね?」
祖母です。笑顔です。背筋が凍ります。
「如何ともしがたいぞ、特に他国ではな……」
祖父です。…私を見てください。昨日私が作った案山子に興味津々で駆動部とかチェックしてます。いい出来でしょ? 褒めてもいいのですよ? 幼児的に。
「あの土属性爆裂魔法は危険だと思うわ」
王妃様です。綺麗な方です。一児の母に見えません。よっ! お美しい! ……ので無罪になりませんか?
「儂は止めたのじゃ……」
ポチ『よよよ』ってしなを作っていますが……貴方、現場にいませんでしたよね?
報告を受けて嬉々として獣王様に報告した(売った)のは貴方でしたよね? ……素早いご対応でした。
「マイルズ様……」
代官のバリナースさん、あきらめちゃダメです。……無言で首を横に振らないでください。
というかなぜあなたがここに? ほう、別件? 祖母に付き添いで転移できた? 興味が……あ、持たなくてよい? さようでございますか……。……話、逸らせないですか……。
「ふむ、沙汰を言い渡す!」
は、早いです。獣王様! まるで結論ありきじゃないですか! もっと審議を要求します!
「却下である。被告人マイルズ。有罪! お尻百叩きの刑並びにお説教1時間の刑を処す! 引っ立てい!」
という言葉を待っていたポチタマが両脇を固めて連行していきます。
「待ってください!『悪意は』『悪意は』なかったのです! たぶん!!」
「『たぶん』と言ってる時点で有罪確定じゃ」
ポチ! するどい!
「あ、追加の刑罰じゃ。ホーネスト、ネロ、マイルズに可愛い衣装に着替えさせて記録の刑じゃ」
んな!?
「はっ、お父様!」
「陛下のお言葉、拝命いたしました!」
タマ、言葉が大人すぎます。そしてお2人、そのいい笑顔は何ですか! いや~~! たすけて~~~。
……はい、お尻叩かれました。ヒリヒリです。そして私の尊厳さんが家出しました。もう帰ってこないかも……。
もう、お婿に行けません!
ポチ……『ではもらってやろう!』ではありません!!
タマ……『嫁でよければ来ますか?』でもありません!!
私の性別を意図的に間違えようとするのはやめてください!!
ああ、尊厳さんの寂しそうな後ろ姿が見えます……。だんだん小さくなっていく……ぐすっ。
―――獣王と周りの大人たちの視点―――
おかしな空気だった。
獣王と王妃は愉快な表情だったが、人間側の3名ルカス、リーリア、バリナース、それぞれ英雄、賢者、公爵領代官と地位ある大人だが一様に困り顔である。
「ルカス殿の孫は面白いな。愉快愉快」
獣王は豪快に笑う。王妃も合わせて愉快そうだ。さもありなん。獣人はその起源からして知的好奇心の強い種族だ。マイルズがもたらした珍事は今のところ被害が発生していないので楽しい催しのようなものと理解されている。ただし人間側が情報開示すればの話だが。
対して人間側はどこまで開示してしまおうか悩みどころだった。
まず、ルカスが確認した『マイルズが作成した案山子』は想定外の出来であった。
従来の案山子スペックを超越した権三郎2号機と言っていい。
あまりにかけ離れたスペックをもつこの案山子について、情報開示も何もルカスですらなぜそうなったのか理解できていなかった。
ちなみにそれはマイルズが隠そうとした特大魔石が既存の構造・システムに大きく影響しており、これまでの案山子基盤は一緒だがその上に乗っている構造が特大魔石に合わせて大幅に違う、つまり別物と化していたのだった。
ただでさえマイルズの影響を受け変化を起こしている権三郎、これの解析も完全に終わっていないの状況である。
今回マイルズの作成してしまった2号機に関しては更なる要素が追加されており難しい……。これをどう取り扱っていいのか、半端な情報を開示してしまうべきなのか王国側として判断に難しいところだ……。
通常の案山子はルカスの魔法力をもってしても直径5~10cmの制御用魔石を作り出し制御装置として埋め込むのがやっとである。それすら異常な魔法技術であるのに……マイルズのこれだ。
直径約40cmの魔石。リーリアが所持している国宝級の魔石と同じサイズ。大国獣王国でさえ片手で数える程度しか存在しないそれを『個人で生成し』さらには『一族の秘匿魔法である案山子』に埋め込んでいるとか……正直ルカスは情報の精度以前に伝えるべき内容なのか扱いに困っていた。
次にリーリアの想定外だ。
これは簡単である。土魔法で爆薬を錬金して炎系上位魔法である爆裂魔法と同等の魔法を作ってしまったのだ。これは何を意味するかは明白である。下位属性である土属性魔法使いの再評価につながる。あと、爆薬の解析が進めば異世界人の兵器のような発展も考えられる。
今までは再現性の難しさから研究が進んでいなかった異世界人の武器が再現されてしまうかもしれない。力のないものが力をもつ。それは戦争の火種になる。異世界のように力の自覚や影響力がない人間が、ほんの少しの鍛錬で人を殺せる。
今の世界では強き者は善悪の区別あれど『長い時間自分に向き合い紡ぎだした結果としての強さ』として過程を踏んだことである程度の抑止効果を持っている。さらにレベルシステムの影響で神々からの制約も受ける。それ故によっぽどのことがない限り、この世界の強者は安易に力を振りかざすことがない。
それが分別のつかぬものが安易に力を行使できるようになってしまえば……弱者がその身の丈に合わぬ力を手にしてしまえば……無意味に拡大する大量虐殺する戦争が起こる。
現在の常識では理解が追いつかない戦争へつながる。人類は大きな痛手をおい、やっと理解できるレベルの。……そうなるのではないか……とリーリアは懸念していた。
結局、ルカスは魔石の事を語らず。逆にリーリアは魔法の内容を開示した。この魔法が普及してしまったときに一番の被害を受けるのは弱者からの嫉妬を向けられやすい上位種であり、力の制御や分別を持った文化人である獣人であるからだ。
「ふむ。興味深い話であるな」
「全く、我が孫は手がかかる……」
一旦話が落ち着いた。人間側の重苦しい空気が軽くなったのを感じつつ、バリナースは話を持ち出す。
都市グルンドで起こった事件の話を……。
【2。領都グルンドサイド】
〜〜時はマイルズが実家のある領都グルンドを離れた時にさかのぼる。〜〜
――【グルンド所属のモヒカンハンター】の視点――
「はぁ!!!!!!!!!!」
気合とともに俺の得意技を発動させ、クマ型モンスターの頭を切り飛ばした。
2級ハンターからすればこの程度造作もないことだ。
さて俺はこれから『このモンスターに捕食されようとしていた遺体』を調べなければならない……。
……ただの大型モンスター討伐依頼かと思えば嫌な役目が回ってきたものだ……。
俺は殺されて放置されたであろうその遺体を探る。近寄るとまだ温かさの残る遺体は幼い獣人だった。
……まだモンスターや獣に齧られた跡はない。死因は腹部への一撃、魔法力器官を一突き。……獣人とはいえ油断し、隙を突かれれば殺される……。しかもこの遺体視たところ10歳前後の子供……。痛ましいものだ……。
……痛ましいと思う俺に油断と隙が生まれる。
キンッ
近くで金属をはじき返す音がした。
「油断した……すまん逃げられた」
スキンヘッドの相棒がすまなそうに近寄てくる。その手には見たことのない獲物が手にされている。
「いいさ、おかげで色々と情報が出てきた」
「ああ、この胸糞悪い事件を起こした屑野郎を早めに追い詰めたいものだな……」
短く言葉をやり取りすると俺は遺体を布で丁重にくるみ持ち帰ることとした。腐敗が進まぬように苦手だが冷却魔法を遺体にかけている。
沸々と怒りが湧き上がってくる。
幼い子供を狙い犯行を起こした屑共に。
遺体を回収しようとした俺たちを始末しようと手を出した屑共に。
いいだろう、トップクラスのハンターコンビである俺たちがその喧嘩を買ったよ。
この胸糞悪い状況に立ち会わせたお前達に絶対の復讐を誓おう。
事件を隠そうと潜んでいた卑怯者どもに破滅を誓おう。
見知らぬ娘よ、お前の無念も晴らしてやる。
……だからせめて、魂の安息を望んでくれ。怨念にとらわれこの地にとどまるのはやめてほしい。
世の中は優しくない。死はあふれている。暴力は見慣れた。
俺たちハンターの世界で人死はありふれた光景だ。
だが、それは覚悟を決めたものの死だ。
この娘は違う。
だからこそ俺たちが誓おう。君の復讐を。
俺は娘の遺体を、相棒はモンスターの遺骸をそれぞれ抱えて森を駆ける。
やりきれない想いと、襲撃者への怒りを胸に。
――【領都グルンド代官】バリナースの視点①――
私の目の前に今、10歳程度の獣人女児の遺体がある。
いや正確には獣人女児の『人間形態の休眠体』がある。
獣人が人より高位存在と定義されるには明らかな理由がある。そもそもの在り方が違うのだ。
獣人は元々別次元に生息する『獣型の高位精霊』だった。
いつの頃かは不明だが、『獣型の高位精霊』達は人類種を発見した。
後に語られた話だが、物理次元(以下『物理世界』と呼称)こと我々の人間が認識している世界と別次元、彼ら曰く魔法次元(以下『魔法世界』と呼称)から人類種たちを観測、その在り方に興味を持ち物理世界では体が不定形だった『獣型の高位精霊』が獣人として肉体を作り出し、現在の獣人種が発生したと言われている。
興味とはもちろん『獣型の高位精霊』達が人類種その存在に興味を持ったということ。
目的は『獣型の高位精霊』達が存在の格を上げる可能性を秘めた生命体であろうとという好奇心である。
『獣型の高位精霊』達が更に興味を持ったのは後の世に神からもたらされた魔法の影響が大きい。
人類種達が魔法を行使する際、『獣型の高位精霊』達が存在する魔法世界を経由し事象に介入する。その魔法という手法はを神より授かった。神は『獣型の高位精霊』達の上位存在である。彼らが興味を深めるには十分な理由であった。
人類種は魔法を行使することで『魔法体』と呼ばれる『魔法世界』に存在するもう一つの体を知覚した。
同時に『魔法世界』の先住民である『獣型の高位精霊』達は人類種の『魔法体』知覚の様子をみて、人類種を知的生命体として正式に認識した。
しかしそれはほんの数百年前の話である。
獣人の歴史は長く、登場当時は原生生物としてのリンクから始まった。
その後原初人類などを観察し急激に知性体として覚醒していった。
そして物質界にて獣人たちは文化・文明を発展させることに高い興味を示した。
そして人類種との交流を始めた。
だが獣形態では超越した力をもつ原初の獣人種は人類種から見ると超常現象としてしか見えなかった。
当時の人間からすれば精霊や神の類。これほどの格の差があると満足なコミュニケーションが取れなかったそうだ。
そのため『獣型の高位精霊』達は問題解決の為、人の型をした分身体を作り出した。
結果として力が分散し人類との交流が可能な程度に力を弱くすることに成功し、獣人達はその後人類種との交流を深めていった。
時が過ぎ人型の分身を作った『獣型の高位精霊』達の中から『分身体のさらなる存在分化』を進ませた個体がポツリポツリと現れ始めた。
ここで初めて正式に、世界の住人である『獣人』が誕生した。
しかしそれを肯定するものばかりではなかった。
原初の高位精霊達の多くは『行き過ぎた急激な変化』に危機感を覚え、一人また一人と『魔法世界』へ帰っていったそうだ。
残ったものたちも急激な変化への危険性を考慮し変化した。
『魔法世界』獣型の高位精霊である本体と、『物理世界』に住む獣人と言う存在を明確に線引きをした。
こうして物理世界に残った獣人たちは魔法世界と物理世界で存在の分化を果たし、さらに物理世界では人形態・獣形態の2つの命をもつことに至った。
その結果『獣型の高位精霊』から作り出された物理世界の高位獣人に死と言う概念はない。
物理世界で人形態・獣形態の肉体の破損されても魔法世界で休眠中の『獣型の高位精霊』の元に帰り、再度『転生』を果たす形で生命体として物理世界に定着すると言われている。
しかしこれは王族や高位貴族の獣人の話である。
高位獣人によって更に作り出された中位・低位獣人は死が存在する肉体を持っていた。
物理世界の生物として作り出された彼らは一定以上の損壊で人と同じ死を迎える。
だがそれでも『人形態・獣形態ともに死を迎えたときに限る』という異常な条件付きではある。
今回の事件に当てはめると『人形態の死ではあるが、獣形態が無事なため獣人にとしての死ではない』と言うことになる。
つまり目の前の少女は人間形態の損壊が激しいため休眠状態と言う事だ。
人間形態に関しては、我が配下の中でも『回復魔法』属性に特化した部下に再生を行わせている。
だが魔法力生成器官を奪い去られており、再生させるための体組成情報の読み取りに困窮している。
腐敗し始めた体の状態を死亡直後に戻すことで時間稼ぎをしている状況だ。
このままでも復活は可能だが、幼い個体と言う事もあり獣形態へ意識を移すということもできず休眠状態へと移っていた。意識を取り戻すまで時間がかかる見込みだ。
……これが非常にまずい状況だった。
被害者の両親は低位獣人の中でも力を持つ存在だった。
獣人とはその進化の経緯から子供を大事にする種族だ。
被害者が声を大に仲間内に訴えれば過去人間によって行われた蛮行を思い起こさせる可能性がある。寿命の長い獣人に『また子供を狙うのか蛮族め』と思われても致し方ない。
しかしそれはルカス様、リーリア様の存在のおかげで獣王陛下はじめ獣人たちが人間との関係を見直そうとしている途上にある現状で、多大なる努力を水泡に帰してしまう可能性を秘めている。
この事件は種族・地域・文化の安定を覆すほどの危険をはらんでいる。
被害者の親御さんにはつい先ほども『まだ、犯人は見つからないのか!』『実はお前らも犯人と繋がっているのではないか!』『なぜ娘の再生に時間がかかる! 貴様ら、実験動物にしているのではあるまいな!』と散々騒がれた。
何とかなだめすかしご納得いただいたが、早めに蹴りをつけなければ不味い。
……なお我が一族で調査中だが、また『異世界人』の痕跡が伝えられている。
これは非常に厄介だ。
狂信者でなく異世界人であるのであれば、この事件を起こしたのは魔導士型異世界人の可能性が高い。
しかも選民思想に染まった聖職者の可能性がある。
交戦的な魔導士型異世界人が都市に潜んでいるのは非常にまずい。都市内では我ら『レベル神』の加護であるレベルの恩恵を受けている人間は力を大きく制限される。
非常にまずい。
更なる一手を打たれ、獣王国さらには魔王国の逆鱗に触れるようなことをされれば……せっかくルカス様がもたらした平穏が崩れてしまう……。だが、犯人の足取りが見つからなければ次の手を打てない。
ルカス様に、ご当主様に任されたこの都市を守り切らねばならない。
私は小さく決意を呟くとルカス様への報告へと向かった。





