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ラグナロク  作者: ピロ
第6章 地下帝国とレンの旅立ち
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襲撃


戻ってきたローグが、拘束した野盗からアジトの場所を聞き出した。

「割とすぐに吐いたぞ」

とローグは簡単に言っていたが、かなりの絶叫が聞こえていた。

平和ボケした日本人の俺の感覚からすると慣れないよな・・・

アジトには案の定捕らえている人もいるらしい。

それからアジトにも同じくらいの人数がいるとのことだった。


討伐証明の頭を切り取ったランスは、頭を袋に詰めて馬車の中に放って投げる。

何度もこういうことをやっていれば、何とも思わなくなるのだろうか?

いや、余り慣れたくはないな・・・


「よしっ。今からアジトに乗り込むぞ」

アドレナリンが分泌されてヤル気満々なのに、あっという間に終わってしまったのでランスは不完全燃焼のようだ。

その証拠にかなり鼻息が荒い。

こうして俺達は野盗のアジトに向かうことになった。



森の中はかなり暗い。

ジャイアントフォレストというだけあって、森には巨木が立ち並んでいる。

全ての木が100m以上ありそうだ。

森の中は地面がフカフカで、歩き易いのがありがたい。

野盗達がやってきた足跡がハッキリ残っていて、素人の俺でもアジトまで迷う事は無さそうだ。

「結構離れた所にあるんだな」

「匂いもしないぞ」

ユキはクンクンと匂いを嗅ぐが、近くに人の匂いはしないらしい。

更に足跡を辿ってどんどん森の奥に入って行く。

ここまで奥にアジトを作る意味があるのだろか?

それともこの足跡はフェイクなのかもと疑問を持ちだした時、暗い森の奥に明るくなった一角が視界に入る。



「ゴシュジンサマ。タブン、コノサキにテキがイル」

「ミレーヌ。本当か?」

「ウン。ヒトノケハイ、スルッテ」

ミレーヌが俺の服の裾を掴んで教えてくれる。

「馬車の中でも思ったけど、こんな離れていても分かるって凄いよね」

「うん。精霊使いの能力侮れないね」


「お前等はここにいろ。俺が先行して様子を見てくる」

ミレーヌの情報を確認する為に、ローグが様子を見に行くことになった。

その間少しの間休憩になるが、悠久の探索者達はすかさず装備のチェックを始める。

流石は街で唯一のAランクパーティだ。

「俺達も装備の確認をしよう」

「うん。分かった」

「ハイ」

俺達の着ているのは現代の兵士が着ている軍服だ。

ワンタッチで外れるバックルとか、この場所で見せる訳には行かないから、しっかり固定されているか、稼働領域が遮られていないかを確認する。

「ミレーヌ。こっちに来てくれ」

それからミレーヌの腕には簡易的な盾を装備させているが、その下に連射式のクロスボウを仕込んである。

「問題無いな。敵に接近されたら迷わず使うんだぞ」

「ワカリマシタ」

悠久の探索者の前で使う訳には行かないが、ミレーヌの弓では接近戦になった時に攻撃が間に合わない。

そうなったら見られても構わないから、迷わず使うよう指示している。

たとえバレてしまってもミレーヌの方が大事だからな。


「ユキも大丈夫そうだな」

「うん。オイラの剣は魔法が掛かってるから大丈夫だぞ」

ユキの装備は魔法の掛かったショートソードを2本持たせている。

「へぇ、なんか凄い装備だよね・・・」

ミーシャがユキの装備を見て感嘆の声を上げる。

「そうなの?」

「だってコレ見てよ。魔法の掛かった剣が2本だよ」

ユキのショートソードは、壊れない魔法の掛かったアインシュバルトの剣と、もう1本は薄っすらと青白い光を帯びていた。

鞘から抜くと冷たく、氷の属性が掛かっていることが分かる。

名前はアイスエッジ。

ショートソードとダガーの中間くらいの大きさで、分類としては曖昧だが刃が厚く造られているからショートソードの扱いになっている。

そして魔法を唱えなくてもアイスランスの魔法を打つことが出来る優れものだ。

ただし獣人は身体能力に優れているが、魔法の属性が低いので、ユキは一日に2回しか打つことが出来ない。


「あんちゃんに買ってもらったんだ」


ユキは自慢げにミーシャとロロナに見せつける。

「いいなぁ~。ユキやミレーヌが羨ましい。私があと5歳若ければ買ってもらえたのかなぁ?」



悠久の探索者の中で俺はロリコンが確定してしまっているのかもしれない・・・



「ソレハチガウ。ワタシガゴシュジンサマにアイサレテルから」

ミレーヌはジト目で、顔の表情がほとんど変わらない。

だが鼻息は荒いので興奮している時はすぐに分かる。



装備の点検が終わって、話が脱線しだした時にローグが戻ってきた。

「どうだった?」

「ああ。やつらのアジトがあるな」

ローグの話によると、洞窟の中にアジトがあるようだ。

見張りは二人で、中の様子は分からないらしい。


「オイラにもやらせてくれよ」

ユキが見張りの攻撃をするのに立候補する。

「ユキ。大丈夫なのか?」

ミレーヌは見た目が子供でも大人だ。でもユキは間違いなく子供だからな。

つい心配になってしまう。

「さっき何もしてないからな。今度はオイラにもやらせてくれよ」

「レン。俺から言わせてもらうが、こいつはなかなか強いぞ」

俺が口を挟もうとするとローグが割って入ってくる。

「分かった。無理はするなよ」

「うん。分かったぞ」


「ワタシガ、サキにヤルヨ」

ミレーヌが精霊に頼んで、見張りのいる場所の音を消す。

そして左の見張りをミーシャが弓で射貫き、右の見張りをユキのアイスランスとローグのダガーが仕留めた。

「倒れても音がしないのはスゲェな」

ランスは感心して口笛を吹きつつ、アジトに突っ込んで行く。

「俺達も続こう」

ユキとミレーヌは頷いて俺に続いてアジトに向かって行った。


「何かあったのか!?」

見張りの喋っていた声が急に聞こえなくなって、疑問に思った野盗の一人が様子を見にやって来た。

そして殺された仲間を見つけてしまう。

「テ、テメェ等は誰だっ!!」

「へっ!!正義の味方だよっ!!」

ランスが野盗に突っ込み、串刺しにして蹴り倒す。

その横からローグとユキが洞窟内に突入する。

「聖なる神よ。我らに祝福を与え給えっ!!」

ロロナの神の祝福を受けると、体の力が湧き出してきた。

おそらくフィジカルエンチャントと同じ効果があるようだ。

洞窟の中はランタンが吊るしてあって視界は確保できるようだ。



広い空間に出ると、野盗達が捕まえてきた女性達を犯している最中だった。

酒を飲んで女達に夢中な野盗達は無防備なまま剣を突き立てられていく。

俺も気は乗らないが反撃しようと立ち上がってきた一人の男の首を切りつけた。

溢れる血が噴き出して、下にいる女性の顔に掛かる。

「ち、ちくしょう・・・」

俺が殺した男が抱いていた女性と目が合った。

血だらけになってよく分からなかったが、どこかで見た事がある?

だが犯されている女性を見つめるのは気が引けて俺は目を背けた。


「おいおい。こいつ追放されたガルドじゃねぇか?」


ランスが殺した男の一人が、俺とユキに絡んできた暁の牙のリーダーだった。

「ホントね。こいつ等野盗にまで落ちぶれたのね」

ミレーヌが軽蔑の眼差しで見つめている。

よく見ればユキを人質に取った男もその中にいた。

「私達は冒険者ギルドから彼等の討伐依頼を受けてきました。あなた達はもう大丈夫ですよ」

ロロナの信仰する神の紋章を見て、犯されていた女性達は喜びの声を上げる。

よく見ると奥の方にも檻のような場所が何ヵ所かあって、その中にも女性が何人もいた。

「そういえばさ、あいつ等の中に女性がいなかった?」

そうだ。確かに一人いた。

ユキが床に這いつくばって食事をしていたのを軽蔑した眼差しをしていたあの女だ。

そうだ。さっき俺と目が合っ・・・・


「死ねぇぇぇえええええええ!!!!!」



喜びを上げる女性達の中下を向いてうな垂れていた女性が、突然短剣をもって俺に向かってきた。

気を抜いて丁度剣を収めた所だった俺は、完全に無防備になっていた。



駄目だ、間に合わない・・・



そう思ったが、痛みがやってくる事は無かった。

「・・・だ、大丈夫か?・・・・」

俺の目の前にユキが立っていた。

ユキの背中にはナイフが突き刺さっている。

「・・・・ユ・・・ユキ?・・・な、何で・・・」


「・・あ・・あんちゃん・・・だい・・・じょうぶ・・か?」


ユキは震えながら声を出し、意識を失った。


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