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准帰宅部!  作者: 雪差素粒
4月編
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2/3

第2話:高校ダンジョン

4月14日(火)

「...大変だった」

 1年生になって初めての6時間授業を終えた裕靴は、廊下で首を揉んでいた。想像以上に授業が難しく、付いていくだけでも大変そうだった。やはり高校は中学とは桁が違う。

「裕靴く〜ん!」

 彼が少し憂いの含んだ表情を浮かべていると、隣の教室から宴が出てきた。今日も今日とでテンションが高い。

「よう、宴」

 彼は軽く手を挙げる。宴はパタパタとこちらにやって来た。

「いや〜、今日の授業難しかったね」

「そうだな。これから、大分苦労しそうだ」

「特に化学なんて、全然分からなくて」

「確か、亘理(わたり)先生だよな」

「うん。あの先生、ちょっと淡々としてるよね」

「まあ、それはそうだな」

 2人は廊下を歩く。1年生のフロアは、既に喧騒に包まれていた。見ると、運動部のユニフォームに着替えた生徒もちらほら見受けられる。もう決めてしまった生徒も居るのだろう。

「...で、今日はどうするんだ」

「んー、取りあえずは部室探しかな。そこさえ見つかれば、当分は活動ができるから」

「確かに、そうだな。でもそんなに、都合良く見つかるもんなのか...?」

 裕靴の指摘に、宴は首を傾げる。

「まあでも、何とかなるっしょ」

「...何とかなるか?」

 少し不安ではあるが、2人は部室探しへと出発することにした。


*


「まずは、1号館から探す感じか?」

「うん、そうだね」

 裕靴と宴は、高校の中心部にある1号館を訪れていた。ここには正面玄関と1年生教室、講堂や職員室などがある。

「ぱっと見では、空いてる教室は無さそうだが」

「えっと...1階が講堂だっけ」

 2人は廊下をぽくぽく歩く。正面玄関から右へ向かうと、600人近い全校生徒が集まることが可能な講堂があった。試しに2人は、扉を開けてみる。

 中では、卓球部と空手道部が活動していた。数多の視線が2人に突き刺さる。

「ごめんなさいっ!」

 2人は慌てて扉を閉めた。なんか凄い微妙な気分である。そもそも講堂は駅前の一等地(?)でもあるので、空いている筈が無いのである。

「そりゃそうか。講堂は運動部の縄張りだもんな」

「ちょっと邪魔する訳には行かないね」

「...この校舎で空いてる場所って、あとどこなんだよ」

「地下の会議室とか?」

「...流石にまずいだろ」

 裕靴は階段を上がる。宴もそれに追随した。

「1年生の教室は——空いてる訳無いか」

「色々面倒くさいしね」

「じゃあ自習室とかどうだ?」

 宴は踊り場で肩をすくめてみせる。

「無理無理。だって私たち、全然勉強できないし」

「それもそうだな」

 2人は3階まで上がった。このフロアにはコンピュータ室や、自習室などがある。

「コンピュータ室は使えるかな」

 宴はしゃがみ込むと、扉の下から部屋の中を覗き込んだ。端から見れば、完全に変態である。

「何やってるんだよ、宴...」

「見りゃ分かるでしょ。覗き、だよ」

「違法行為をしれっと言われてもな...」

 裕靴は側でつっ立ったまま、彼女の様子を見守る。彼女はほぼ寝転がった体勢で扉と向き合っているので、どうも目のやり場に困った。

「...どうしたの?」

 宴がこちらを向く。その影響で、彼女はなんか変な体勢になった。

「何でもねえよ」

 彼はぶっきらぼうに返す。宴は小首を傾げると「そう」と返して再び扉の下を覗き込んだ。

「裕靴くん」

「何だよ」

「コンピュータ室、パソコン部に使われてる」

「...そりゃそうか」

 彼は扉の脇に視線を向ける。そこには「パソコン部活動中」と書かれた紙が貼られていた。

「...おい」

「ん?」

 宴は起き上がる。ようやく変な体勢が解除された。彼女は立ち上がってスカートに付いた埃を払うと、裕靴の隣で貼り紙を眺めた。

「あ」

「...わざわざ覗く必要無かったな」

「あはは。無駄骨だったじゃん」

 彼女は貼り紙を見て笑った。裕靴も腕を組みながら眺める。

「いや〜、これは盲点だったね」

「...ああ」

 裕靴は曖昧に返す。さっきはヒヤヒヤしたが、彼女は変な体勢だったことに気付いていないらしい。

「ねえ、裕靴くん」

「何だよ」

「さっきから黙ってるけど、何かあった?」

「...何も」

 彼はスタスタ廊下を歩いていく。宴も慌てて追いかけた。

「もしかして、変な妄想してる〜?」

「...してねえよ」

「本当かな〜?」

「する訳ねえだろ」

「捗(はかど)った?」

「だから違うだろ...」

 裕靴は心底面倒くさいと思いながら、宴の質問攻めに付き合った。


「よし、次は2号館だね」

「番号順で攻めていくんだな」

 2人は高校の東側に位置する、2号館にやって来ていた。ここは2年生の教室や図書室、学食や放送室などが所在している。さっきの1号館が玄関ならば、ここは華やかな食堂だ。

「...学食か」

「そう言えば、ここでご飯食べたことないね」

「今日は弁当だったからな」

「私も〜」

 学食を窺うと、そこには人が殆ど居なかった。まあ放課後の微妙な時間なので、無理もないだろう。

「ここで活動とか、どう?」

「...学食でか?」

「うん」

「...大分カツいだろ。だって学食のおばちゃん達の視線もあるんだぞ」

「そう?」

「そうだろ。それに広々していて、落ち着かないし」

 宴は腕を組んで考え込む。

「それもそっか」

「ああ」

 学食での活動を阻止できた裕靴は、安堵の溜め息をついた。あとこの建物にあるのは、図書館とかか。

「じゃあ、次に図書館とか行かないか?」

「良いよ。図書館なら、落ち着いて活動できそうだし」

 2人は廊下を歩き、図書館へと向かう。室内は間接照明が程よく使われており、どこか落ち着いた空間だった。

「...悪くないな」

 裕靴は小さな声で呟いた。ここなら読書や勉強に集中できるだろう。さらに人もそんなに居ないし、まさに理想的な空間だ。

「良いね、ここ」

 宴は値踏みするような視線で周囲を眺めていたが、満足げに頷いていた。彼女もこの空間を気に入ったのだろう。

 2人は図書室の隅っこにある椅子に腰掛けると、荷物を置いた。しばらくここで様子を見ることにしよう。だがざっと見た感じ、先生も居ないしこっそりサボるにはうってつけの...

「...失礼」

 扉の方を見ると、そこには筋肉質な男性教師が立っていた。片手に分厚いファイルを抱えている。

「...あれ、誰だっけ?」

 宴が囁いてきた。先生に「あれ」は良いのか。

「生徒指導の志布志(しぶし)先生だろ。勉強してる振りをしようぜ」

 2人は数学の教科書を開くと、シャーペンを動かして勉強中を装う。それが生きたのか、先生は2人の前を素通りして隣の棚に向かった。

「...先生も本を借りるんだね」と宴。

「そうだな」

 2人が勉強する振りを続けていると、棚の向こう側から声が聞こえてきた。

「...君たち、携帯は禁止だったと思うんだが」

(...おいマジかよ)

 裕靴は溜め息をついた。この高校では勉学に集中する目的で、学内でのスマホ使用は禁止されていた。確かに授業中にSNSを見たりする奴も居るので、有効だとは思うんだが。

 しかし、最早スマホの下僕と化した深刻な依存者の中には、校則で禁止されていてもそれを使用する者も居るのである。きっと棚の向こう側の奴らも、そうなってしまったのだろう。

「...校則に従い、携帯は没収とする。あと、君たち全員には注意書が発行されるからな」

 先生はそこまで告げると、何枚かの紙をファイルから取り出して生徒たちに渡した。生徒たちの舌打ちが聞こえる。

 目の前で起きた検挙(あくまで比喩だが)に裕靴が固まっていると、宴が彼の袖を引っ張ってきた。

「...ゆ、裕靴くん」

「...ああ」

「...ここは、やめとこっか」

「...同感だ。心臓が持たない」

 2人は改めて、「校内で堂々とサボる」ことの無謀さを痛感していた。


*


「...気を取り直して、次は3号館だな」

「うん。切り替え、大事だからね」

 2人は2号館と渡り廊下で繋がっている、3号館に立っていた。この建物には3年生の教室と音楽室、美術室や家庭科室などが位置している。

「正直言うと、一番有望なのが3号館なんだよね〜」

 宴はそう呟きながら廊下を闊歩する。

「そうか? 別に普通だと思うが...」

 裕靴は周りを見渡した。確かに物静かではあるが、音楽室では吹奏楽部、美術室では美術部が活動している筈である。

「この辺にはね、隠れたパワースポットがあるの」

「...神社とかじゃあるまいし」

「いや、本当なんだって〜。昨日校内図を調べた時に、ここなら行けると思ったんだよ」

「...どこなんだ、それは」

「和室」

 宴は右手の人差し指を立てる。だが「パワースポット」とか言ってた割には、意外とそうでも無さそうだった。

「...そうか? そもそも先客が居そうなんだが...」

「いや、和室を使う部活なんて無いっしょ」

 2人は和室の扉の前にやって来た。本当に誰も居ないのだろうか。

「...いや、一応ノックしとくか」

「えー。別に誰も居ないって」

「保険だ、保険」

 裕靴はそこまで言うと、扉を軽くノックした。だが2人が数分待っても、全く反応が無い。

「ほら〜。やっぱり誰も使ってないって」

「意外と空いてるもんなんだな」

「そうそう。教室確保なんてちょろいわ」

 宴が扉を開けようとした時、扉が内側から勢い良く開いた。彼女は「ぐへ」と鼻をぶつける。

「あ、書道部の見学ですか?」

 扉の内側に居たのは、眼鏡を掛けた男子生徒だった。右手には「希望」と達筆で書かれた半紙を掲げている。

「書道部はこの和室で活動しておりまして。初心者大歓迎です。ぜひぜひ、お二人とも中へお入りください」

 男子生徒が手招きしていると、「ちょっと待った!」と云う声が聞こえた。和室の奥から、髪を赤い紐で結んだ女子生徒が出てきたのである。

「新入生は、収斂高校競技かるた部が頂く!」

 さらに面倒くさいことに、彼女の隣からも着物に身を包んだ女子生徒が出てきた。

「茶道部、いかがでしょう。時を忘れて日本文化を楽しめますよ」

 裕靴は、和室の前に立ったままドン引きしていた。先客が居るとは思っていたが、まさかこんなに混沌としていたとは。そもそも6畳やそこらしかない和室で、3つもの部活が同時に活動できるのだろうか。きっとローテーション制なのだろう。

 隣の宴はと言うと、興味無さげに部屋の中を眺めていた。先客が居ると知った途端、やる気が失せたらしい。分かりやすいもんだ。

 裕靴と宴が死んだ魚の目をしているのを見て、和室を使っている部活たちは揉め始めた。

「とにかく、最初に声をかけたのはうちなんで」と書道部。

「いやいや、ここは一番部員数の多いうちが」と競技かるた部。

「いや、うちの方が一番興味を示してくれましたから」と茶道部。

 裕靴は頭がキリキリと痛むのを感じた。これでは埒が明かないではないか。それに自分たちは、和室を部室にできないと分かれば十分だった。

「...戻るか」

 彼は小声で宴に尋ねた。彼女も首を縦に振った。

「余計な争いに巻き込まれたくないしね」

 2人は「失礼します」と頭を下げると、言い争っている彼らを尻目に和室の扉を閉めた。あまり文化部のことを悪く言うつもりは無いが、到底和室は使えそうにない。

「...なあ、宴」

「ん?」

 廊下を歩いていた宴は、裕靴の声に振り返った。

「結局、和室はパワースポットだったな」

「うん。でもパワースポットってことは、確かに人気もあるんだよね〜。ちょっと忘れてたな」

 彼女は鞄を持ち直すと、仕切り直しだと言わんばかりに両手をパンと叩いた。

「まあ、そんな時もあるって。次は何とかなるよ」

「...そうだと良いな」

 裕靴はそう呟きながら、次の建物へと向かった。


「宴。ちょっと良いか」

「ん、どうしたの?」

「...少し言いにくいんだが」

「うん」

「なんで4号館を素通りしたんだ?」

「え?」

 宴は階段の途中で立ち止まった。素通りして当然だ、と言わんばかりである。

「いや、4号館にも何かあるかもしれないじゃねえか」

「何も無いよ」

「...?」

 裕靴の脳内は、ハテナマークで埋め尽くされていた。ついさっき、4号館を通ってきたばかりなんだが。もしかして、この学校には「4号館」が存在しないのか? 「4」は「死」に通じるから?

「いや、だってさ」

 宴は心底面倒くさそうに説明を始めた。

「4号館には何があるの?」

「体育館があるな」

「他には?」

「柔道場と剣道場」

「まだあるでしょ」

「グラウンドも近いな」

「それに屋上にテニスコートもあるし、プールも隣にあるよ」

「...まあそうだが」

 裕靴は踊り場で立ち止まると、壁に寄りかかった。宴も隣に立つ。

「つまりさ、運動系の種目がオールスター勢揃いって訳なの」

「確かに」

 裕靴は右手を顎に当てる。言われてみれば、体育関連の場所は全てこの辺りにあるような気もする。それに保健室がそこにあることが、その仮説を補強していた。

「だから、私は4号館には行かない」

「体育、苦手なのか?」

「大っ嫌い」

 宴は吐き捨てるように答えた。余程体育のことが嫌いらしい。

「確かに俺も、あんまり好きじゃないけど」

「体育なんて、苦手な人にとっちゃ地獄に等しいでしょ」

 裕靴にはよく分からなかったが、彼女にとって体育が宿敵であることは理解できた。

「...まあな。じゃあ5号館に向かうか」

「それが良いと思う」

 彼女は少し棘のある声で答えた。まずいな、機嫌を悪くしてしまったみたいだ。

「なあ、宴」

「何」

「5号館には、有望な場所はあるのか?」

「...どうだろう。あんまり分からない」

「確か、理科室とかがあった気がするんだが」

 2人は階段を下りていく。ようやく5号館に繋がる渡り廊下に辿り着いた。

「あと、技術室とか倉庫、書庫があったはずだよ」

「...海沿いの倉庫街か?」

「あと屋上にソーラーパネルが数枚」

「なんで知ってるんだよ」

「航空写真を見たから」

 裕靴はツッコミが浮かばなかった。この女は頭が良いんだか悪いんだか分からない。

「どうしたの、急に黙り込んで」

「...いや、そこまでするんだなと思って」

「そりゃ何でもするよ。だって学校でサボりたいじゃん」

 真顔でそんなことを言う宴を見て、裕靴は思わず苦笑した。

「確かに、そうだな。俺がお前に賛同したのも、それが理由だし」

「だから裕靴くん。もうちょっとだけ、付き合って欲しいな」

 宴は両手を胸の前で合わせた。部室が見つかっていないことで、彼女も焦っているのだろう。そろそろ夕方も近づいていた。

「...分かった。でも5号館を探したら、今日の探索は終わりにしよう」

「そうだね。じゃあ、もう少し頑張ろ」

 宴は右手を宙に突き上げると、やや駆け足で5号館へと向かった。裕靴も彼女に続いて建物に入る。


*


「おい、あれ見ろよ」

「...あれは、もしかしたら有りかも」

 2人は人通りの無い廊下を歩いていた。5号館の中でも理科室や技術室の周辺は比較的整っていたが、一本脇道に入ると埃が積もりクモの巣まである始末だ。

 そしてそんな廊下の突き当たりに、その部屋はあった。扉の窓から中を窺うと、本棚や古い地図、実験道具などが置かれている。部屋の名前は、「第三資料室」。いかにもミステリアスだ。

「ねえ、裕靴くん」

「...ああ」

「この部屋、誰にも使われていないみたいだね」

「そうだな」

「それに、そこそこ広そうだし」

「掃除すれば、使えそうだな」

「おまけに、こんな辺鄙(へんぴ)な場所ならサボってもバレない」

「絶対来ないだろうな」

 2人は顔を見合わせる。お互いの顔には、勝ち誇ったかのような笑みが浮かんでいた。

「勝ったね」

「この展開はアツいな」

 宴は第三資料室の扉を開けようとする。だが、当然ながら鍵が掛かっており中には入れなかった。

「...開かないか」

「そりゃ、流石にセキリュティがあるだろ」

「いや〜、無防備に開いてるのを期待したんだけどね」

「どういう設定だよ、それ」

「いやまあ、開けゴマ的なやつで」

「呪文で開いたら苦労しねえだろ」

「まあ、部屋を見つけられただけでも十分過ぎるし」

 宴は床に置いていた鞄を肩にかけると、裕靴の方を振り返る。

「裕靴くん、行くよ」

「そうだな」

 2人は来た道を戻る。それにしても、本当に空いている部屋が見つかるとは思わなかった。これで明日からは、「准帰宅部」としての活動もやりやすくなる。

「明日から、どうしようかな〜」

「まずは掃除だろ。見た感じ、めちゃくちゃ埃が積もってたからな」

「うわ、そうじゃん」

「きっと何十年も使われてなかったんだろ」

「だね。じゃあ箒(ほうき)セットが必要かな」

「百均のやつか?」

「教室のやつをパクっても良いけど」

「...それはまずいだろ」

「行ける行ける」

 宴は嬉しそうにこちらを向いた。部室を見つけることができて、かなり機嫌が直ったようだ。裕靴は安堵すると同時に、もう後戻りはできないことを悟った。まあ、創部を誘われた時点で逃げられないとは思っていたが。

「なあ、宴」

「どうしたの?」

「ここまで来たんだから、もう止められないな」

「それは、勿論。もしこれでコケても、その時は一緒に怒られようね」

「...そうだな」

「裏切らないでよ〜」

「流石に裏切らねえよ」

「もしそんなことしたら、どうなるか分かってるよね...?」

 宴はいつになく低い声で裕靴を脅迫する。非力な男子高校生の彼には、それだけで十分過ぎた。

「...分かったよ」

「よし、偉い偉い」

 宴は背伸びすると、頭一つ分背の高い裕靴の頭を撫でた。彼は目を瞑る。

「...おい、やめろ」

「裕靴くん、髪の毛サラサラだね〜」

「...うるせえ」

 彼はそう言いながらも、内心ではかなり動揺していた。同級生の女子から頭を撫でられるなんて、勿論初めてだった。

「あれ〜、ちょっと顔が赤いね」

「赤くない! 光の加減だ!」

 見苦しい言い訳をする彼を、宴は笑いながら眺めていた。

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