【15】
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【お知らせ】
この話以降、予告なくグロ・残酷・流血表現が入る可能性があります。
ご注意ください。
魔物にトロールという種族がいる。
トロールは強い力と強靭で巨大な体を持ち、人々に森の巨人として恐れられていた。
高い再生能力を有し、好んで人間を襲うことから見つけ次第討伐が推奨されている魔物であり、冒険者組合では体は再生速度が速いため首より上を狙うように指導している。
頭も再生能力の範囲内であり、再生速度は他よりも緩やかなものの、こちらも重大な被害を受けない限り再び再生してしまう。
なので知能の高くない魔物にしては、トロールの討伐難易度はわりと高めである。
また、トロールの生活臭は途轍もなく酷い臭いがすると、冒険者の間では有名な話だった。
時は少し遡り、学園見学より八日後。
シェリスティーナに土産話をする五日前まで話は戻る。
デュークハルトは紅騎士数名を護衛に連れ、猛スピードで馬を駆っていた。
妹のシェリスティーナに見送られ、朝早くに領都カルダナを出立した彼等は一路、北北西に位置するハインリッヒ侯爵領を目指していた。
目的地であるハインリッヒ侯爵領は、隣接するクロイツェン侯爵領を突っ切った先だ。
ドリトスリア国と隣接するハインリッヒ侯爵領のダフネの森。
この森は北東がドリトスリア国と接しているが、そちら側は険しい山脈になっているため、実質的には出入りする人間はハインリッヒ侯爵領側からのみとなっている。
深部にはあまり強くないとはいえ魔物達が生息しているため、森自体は広くないのだがあまり人の出入りはない。
周囲には彫刻で生計を立てるザルツ村の他には何もなく、森自体も普段は木こりが浅い部分で木材の調達をする程度だ。
そんなダフネの森の近くの村にトロールの子供が出現。
目撃した木こりは慌てて大きな街へ駆け込み、衛兵に報告した。
冒険者組合に調査が依頼され、その結果、森で大量のトロールとその集落が見つかり大騒ぎとなる。
この分ではまだまだ増えるだろうとの結論に至り、一刻も早い対処が求められた。
危機感を募らせたハインリッヒ侯爵は、クロイツェン侯爵領を跨いだ先のカルラフォード大公領へ早馬を走らせた。
近隣で最も力のある者達の手を借りるために。
必要とあらば一時的に現場の指揮権を委ねたい、との異例の宣言を添えて。
炎翼騎士団の力を貸してほしいとの応援要請が届いたのが五日前。
明け方に早馬に乗った騎士がカルダナの街門を叩き、事態を知らせた。
これに応えたデュークハルトは炎翼騎士団から討伐のために部隊を編成。
副団長のラインフォルト・ラグリアを責任者として、二番隊と六番隊をその日の朝のうちに送り出した。
一見、優男に見えるラインフォルトだが、炎翼騎士団の副団長を長年務めてきた男だ。
デュークハルトからしても、彼が赴けば大丈夫だろうと安心できる人物であった。
カルラフォード大公領の領都カルダナにある炎翼騎士団。
交差した剣を翼で抱いた火の鳥を騎士団の団章に掲げ、紅の騎士服を身に纏い戦場を駆ける騎士達――通称・紅騎士。
彼等の所属する炎翼騎士団は、他領の領主が所有する私兵の騎士団と比べて少々特殊だった。
それもそのはず、創立者が“覇王”セレンティーナなのだから。
普通は騎士は騎士団、魔術師は魔術師団というように別々に所属するのだが、炎翼騎士団には両方が混在し所属している。
何故なら創設者のセレンティーナ自身、魔術の名門と武の名門の両親の血を継いだ剣技も魔術もお手の物な元公爵令嬢だったのだから。
その影響で炎翼騎士団には魔術を組み込んだ剣技を扱う者が多数存在する。
また、本来は非戦闘員の治癒術師なども所属しており、その全員に戦闘の心得があると言うのだ。
勿論、普通の騎士や魔術師も所属しているが、その“普通”も他とはかなり異なる。
領主邸に隣接する形で炎翼騎士団の関連施設が建設され、セレンティーナ自身が訓練場に立って騎士も魔術師も指導した。
彼女を慕い、彼女の元に集い、彼女が鍛え、彼女が作り上げたのが大公家の騎士団――現在の炎翼騎士団だ。
セレンティーナに仕え従い、彼女亡き後は幼いデュークハルトを主と仰ぐ、実力主義を基本としたセブンフォード王国屈指の騎士団だ。
ただ、ちょっと変わっていたり、癖の強い者が多かったりするのだが…。
分かりやすく時系列に。
≪≫…学園見学からの経過日数
≪当日≫シェリスとデューク、学園見学
↓
≪1日後≫侯爵が協力要請を出す
↓
≪2日後≫↓早馬
↓
≪3日後≫明け方、早馬がカルダナ到着
↓朝、炎翼騎士団派遣
↓ (副団長、二番隊、六番隊)
↓炎翼騎士団移動中
↓
≪8日後≫デューク、早朝に馬を駆りダフネの森を目指す
↓
↓
≪13日後≫夕方前、デューク帰邸
↓
シェリス、デューク、ゼノン、応接室でお茶




