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【13】

お久しぶりです。

長らくお待たせしてしまい、申し訳ありませんでした。

短いですが、続きです。




今は喪に服さなければならない期間だが、それはあくまで形だけ。

だって、私にもお兄様にも使用人達にも父の死を悲しむ気持ちがないのだもの。

他の人が聞けば薄情と言われるかもしれないが、私達にはあの父の死を悼む理由がないのだ。

ただ、お祝い事も自粛しなければならないためお兄様の大公位継承のお祝いも、邸の中で私とお兄様と数人の使用人とでささやかだがお祝いした。

十三歳のお兄様にそんなものを背負わせてしまってごめんなさい、という気持ちを隠して。





父の死から二ヶ月。

十月になり、守護結界の外の国々は冬を前に寒さを増していた折、建設中だった学園が無事に完成したとの知らせを聞く。

都市部分はまだ未完成だったが、商業地域を中心に学園と一緒にお兄様の案内説明で見学させてもらった。


新しく出来た学園は王都の貴族学園のような無駄に豪華な装飾などは抑え、その分が各学科の専用設備の充実に充てられているようだ。

全学科共通の基本授業以外は貴族科、騎士科、魔術科、官吏科、商業科、従仕科と六学科に別れ専門的な内容を学ぶことになるらしい。

私は貴族、騎士、魔術師の三学園の内容を一つの学園で学べたら合理的なのに、としか言っていない。

それなのにお兄様は役人、商人、執事やメイドの養成を新しい学園で行おうとしている。

十分な広さと実用性を兼ね備えたここならば、きっと若き学生達の良き学び舎となるだろう。


驚いたのはこの学園都市、私の暮らすカルラフォード領・領都カルダナから馬車で三十分程の場所に建設していたことだ。

さらに説明の最中にお兄様の無茶振りがあり、学園都市と学園に私が名前を付けるという冷や汗を流すような一幕も。

おかげでお兄様の説明もそこそこに私は頭を悩ませる羽目になった。



カルラフォード大公家の紋章は翼を広げた火の鳥だ。

これを始めて見た時は不死鳥を連想したが、家名を考えてみれば前々世で言う迦楼羅(かるら)だと思い至った。

大公家の家名と紋章はファビス前国王が決めたものだが、何か意図があってのものだろうか?

いろいろと考えては却下し、どうせならカルラフォードに因んだものがいいだろうと無理やりに結論付けた。


そうして私のなけなしの知識とネーミングセンスを使い捻りだしたのが、学園都市カルディア、アクィラ学園だ。

お兄様に言うととてもいい笑顔で即座に採用。

あれだけ苦悩した命名は、お兄様の決定によってあっさりと幕を閉じた。

どうかこの命名が、どうか私の黒歴史にだけはなりませんように…。




その後は、警備兵や衛兵の詰め所など防衛関係の場所も周った。

お兄様が通うことになる場所だもの、安全確認は大事。


この世界では街の警備や治安維持は衛兵、もしくは警備兵の仕事だ。

よく貴族が騎士団を有していたりするが、国家所属の王都の騎士団以外はどの領地に属する騎士団も全て私兵になる。

うちの領地にも炎翼騎士団(えんよくきしだん)という騎士団が存在していた。

ちなみに領主邸に隣接する形で炎翼騎士団の関連施設が立ち並んでいる。

時々、お兄様は騎士団の訓練場へ混ざりにいっているらしい。

邸内の警備やお出かけの護衛のみならず、お兄様の外出時もそこから即座に騎士達が来てくれる。

お兄様が学園に通う時も、きっと炎翼騎士団の紅騎士(あかきし)達が護衛をしてくれることだろう。



学園都市は広く、結局は全てを見ることが出来ずに夕暮れを迎えた。

帰りの馬車の中、新しく出来ていく学園都市カルディアの感想を語る私にお兄様は終始笑顔だった。






あれから一週間、私はまた邸での引き籠もり生活に戻っていた。


それについては三歳児で、しかも大公令嬢なので誰一人として文句を言わない。

それどころか使用人達は挙って引き籠もりを推奨するの勢いだ。

まるで、邸地外は危ないからお嬢様は出せません、と言わんばかりの。

元々、庭を散歩するくらいしか邸から出ないのだが…。


何をそんなに気にしているのかと侍女やメイド達に聞いてみれば「絶対に攫われます」「きっと目も当てられない…」と嘆きだした。

彼女達の中でどんな想像がなされているのかはさて置き、お兄様にも当面は街へ降りないようにと言われている。

近々また時間を作るから一緒にまた出掛けようと、お兄様が約束してくれた。


なので私は喜んで引き籠もり、今日も読書に精を出している。







私は知らなかった。

お兄様は何か急ぎの用が出来たとかで、数日間は邸を留守にすると言い、翌日の朝早くに出かけて行った。

もちろん早朝であろうとしっかりとお兄様をお見送り。

いい子で待ってるから早く帰ってきてほしいの、とお兄様にお願いして。







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