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【10】

短いですが、投稿。





ラグナとの出会いから三ヶ月。

私は相変わらず領主邸で自由に過ごさせてもらっていた。




ラグナが去った後、私が“精霊姫の証”を得たという事実がお兄様によって、いの一番に邸の使用人達に伝えられた。

邸の使用人達は各責任者やセバスが(ふるい)にかけてお兄様のお眼鏡に適った、言わば精鋭達だ。

最近知ったことなのだが、使用人達は皆が何かしらの武術や剣術、魔術や護身術などがある程度できるらしい。

それがこの邸の使用人としての最低限の条件だと言う。

何故ってそれがお兄様やセバスの方針であり、古株の使用人達の常識でだったからだ。

お兄様には「シェリスを危険に曝すだけの者はいらないよ」ときっぱり言われた。

相変わらず大事に護られている私である。

そしてお兄様が“精霊姫の証”の件を告げたその日から、邸の警備がより一層厳重になった。






私は三歳を過ぎ魔力が一応の安定を見せたため、好奇心のままに前世の知識を実践しようとした。

簡単な魔術を発動しようとしたところ、魔術陣や媒介がないにも関わらず魔力の行使が出来てしまった。

部屋でのちょっとした練習のつもりだったが、予想外の出来事にミリアが慌ててお兄様を呼びに飛び出して行く事態に。

調査の結果、私の魔法・魔術の適性は生活系統と治癒系統のみということが判明した。

攻撃でも防御でもない、珍しい治癒系統に私はそれなりに満足している。

ただ前世の私は適性が攻撃系統、しかも得意系が雷という完全攻撃型だったので何がどうなって治癒系統になったのかさっぱりだ。



そんな私でも前世や日本の知識を生かして出来ることがいくつかあった。

その中の一つが魔術・魔法の改良なのだが、これが何気に凄い!

改良した魔法をお兄様に試してもらったところ、なんと見事発動。

必要なことを理解してもらうために一度説明しただけなのに、媒介や魔法陣もなく、お兄様は魔力行使が出来てしまったのだ。

しかもお兄様の得意系は氷なのに雷魔法を難なく発動してみせた。

改良してる私自身、治癒系統以外は全く発動できたものがないのに…。

ちなみに何人かの使用人にも試してもらったが、結局誰一人として発動できなかった。

さすがお兄様、本当に規格外だわ。


そんなこんなでお兄様、サクサク魔法を使えるようになって種類も威力も格段にアップ。

既に前世のお兄様より強いのではないだろうか。

このまま突き進ませていいのか?

ちょっと強くなりすぎじゃない?という不安はあるけれど、いざという時に力がなくてお兄様が死んでしまうよりは断然いい。

現実逃避と言うなかれ、歴とした私の本音だ。



私の心情を他所にお兄様は「何日か留守にするね」と言い何処かへ出かけると、宣言通り四日後に帰宅した。

満面の笑みでとんでもないお土産を携えて。

そして報告された内容に私は絶句する。



「先日、ヴァジリスタ陛下にお会いして魔導士の称号を頂いて来たよ」


「…は…ぃ?」



今、何か途轍もないこと言った。

私のお兄様が何かとんでもない内容をサラッと口にした。



「国王陛下に現在世界で唯一の魔導士だと認めてもらえたよ」



魔導士って聞こえたよ、確かに聞こえたよね?

国王陛下が認めたって…それ、もう覆らないよね?

あぁ、既に私が止めるとかそういうレベルの話じゃなかったらしい。

もう開き直ろう、開き直ったっていいでしょ。

お兄様が身を護る術が増えたんだから、良いことのはずよ。

喜ぼうじゃないの!



「お、おにいさま(お兄様)、おめでとうございます…?」


「ふふふ。シェリスありがとう」



それはそれは眩しい笑顔を見せてくれるお兄様。

もうこれでいいじゃないか、お兄様は喜んでるんだし。

うん、何も問題ないよ。



…今度こそ私は現実逃避したのだった。



それが二ヶ月前の出来事。







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