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ルシネルの弱点。
「クリスフィア様、此方へ」
ユーフェミアの耳だけに、声が届く。
その途端、ユーフェミアはその場から消えた。
「あれはルシア様、孫自身がした事。馬鹿な子供だ」
男、バウルは呟く。
「姿をクリスフィア様に合わせるべきでしたな」
ユーフェミアを姫だっこしたバウルは、老人ではなく青年だった。
ユーフェミアは動こうとする。
だが、それは出来なかった。
「何をした!」
「あなた様が逃げぬ様、動きを制限したまでです」
実際バウルがユーフェミアを下ろすと、自らの意志とは別に隣に立つ。
「我々はここで見ていましょう。ルシア様は此方に向けて攻撃できはしない」
確信があるのか、バウルは余裕だった。
一般家屋の屋根の上、この家は誰の家だろうと思う。
「これは娘の家、ルシネルの住む家に御座います。家の中では我が娘が魔法で眠っている」
ユーフェミアの思考は読まれ、親切にもバウルは答える。
「それはルシア様、ルシネルの弱点の様です。馬鹿な主だ」
バウルのそれは、主である筈の者を見下していた。
ユーフェミアは、彼らを見上げる。




