誰の従者か。
「私は死んだ筈では?」
クリスフィアは老人に問う。
バウルは彼女に跪くと、その答えを言う。
「はい、その通りでございます。あなた様の魂は人間の女性になり、私が記憶を復活させたのです」
それをクリスフィアは聞くと、首を傾げる。
「あなたは、何故そんな事をなさったの?」
クリスフィアにとって名すらしらなかった者。
そんな人物がどんな目的で目覚めさせたのか意味がわからない。
「小さな頃、あなた様に恋焦がれておりました。庶民なので遠くからしか見てはおりませぬが。ですからあなた様には昔の様に正当な血筋として魔王の妻に、次に魔王になる孫、ルシネルの妻になって頂きたい」
「あなたの孫?」
「はい。そしてルシネルは前魔王ルシアの魂と記憶を受け継ぐ能力者です。あなた様と同じ様に」
だが、クリスフィアは釈然としない。
「同じ経緯というだけで?私は、結婚相手は自分で決めますわ。それ以前に、魂が私であってもこの身体は私のものではない。違いますか?」
それは正論、クリスフィアはユーフェミアでもある。
つまりは、本質はそういう人物だという事だ。
そして、それはおしとやかだと思っていたバウルのイメージを裏切る事にもなる。
思い通りにいかないバウルはそう感じた。
「バウル、こんな所で何をしている」
突如子供が現れる。
城近辺に居ないのを不審に思い、ルシネルが自らやって来たのだ。
「ルシア様」
バウルは跪く。
それを一瞥すると、クリスフィアに目を向ける。
「何故、ヘルグラムの仲間がバウルと一緒に居る?」
「わかりません。私は目覚めた時にはここに居ましたから」
「?」
ルシネルは彼女に違和感を感じた。
「お前、誰だ?」
「クリスフィア・ロレンツ」
「…バウル、説明しろ」
ルシネルに言われ、バウルはクリスフィアにした説明をもう一度するのだった。




