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小さな可能性。
「魔王になってくれるなら会わせよう」
魔王は無茶な条件を付ける。
魔王は魔王になりたくなかった。
魔王になる前、人間界の泉で出逢った少年に一目惚れしてから、時々泉に来ていた。
村の側ではなく山奥の小さな泉。
だが、少年はそれ以来現れなかった。
やがて魔王になって人間界に行けなくなり、やる気の無い日々を過ごしていた。
そんな時勇者として成長した少年、ルディが現れた。
「ルディと居られるなら魔王は辞めても構わない。だが、それは許されない。私と同じ、またはそれ以上の者が現れるまでは。そして、お前は適している」
魔王は真剣だった。
だから、ナリスも反対をし辛くなる。
人間である事を除いてはヘンリーが適任者なのは明白だからだ。
「それは後で考えるよ。それよりも、先にルシアを倒そう。きっと彼等もそろそろ着くだろうから」
彼等、その言葉に二人は疑問を浮かべる。
ここに来る者は限られている。
この城の関係者だ。
だから、到着した者達を見て驚きと納得が交わる。
現れたのは、大量の魔獣を一生懸命退治していた彼達だったからだ。




