脱走の時、キーレンとオネラス。
「あ~あ、逃げるんだ」
オネラスは言う。
今は路地裏、固定転移魔法陣へ向かう為に人気の無い所に入った所だった。
「オネラス、デリオルオ!」
わざわざ買い物に見せかけたというのに無意味だった。
視線の一つ、それがデリオルオのものだと直ぐにわかる。
「デリオルオ、ナリスを止めな」
オネラスが言うと、返事をせずにナリスに突進する。
「キーレン、魔法陣へ!」
そう言うと、ナリスは魔法陣から出る。
この魔法陣は固定転移魔法陣へ向かうものだ。
ナリスを止める、その命令だけのデリオルオはナリスに直行する。
「おっと、行かせないよ」
ナリスとは逆に魔法陣へ向かうキーレンをオネラスは止める。
「彼を倒すのは難しいよ。なんせデリオルオはヘルグラムの部下、そして爺さん達の道具だからね」
キーレンは立ち止まり、睨む。
「彼、デリオルオには意志が無い。命令を聞くだけ。だからナリスを止めろと言ったからそうしてるだろう?」
確かにそうだ。
キーレンの事が眼中に無い。
「ナリス、殺られるよ」
「なら、命令であんたが止めろ」
キーレンは言う。
キーレンは魔法陣へ向かいたかった。
だがナリスが心配だし、キーレンの側にオネラスが居る事で動きようが無い。
「さて、ここで問題です。何故キーレン、君に情報を喋ってるでしょう?」
突然のクイズに、キーレンは困惑する。
「知るわけ無いじゃないか」
キーレンが吐き捨てると、がっかりな顔をする。
「仕方ないなぁ、答えは君が気に入ってるから。面倒は嫌いだけど面白い事は好きなんだよね。君が仲間を連れてきてどうするか見たいなぁ。君の主が眠ったままか、覚醒したかどうかも含めて」
そこでキーレンはハッとする。
眠ったまま、オネラスはそう言ったのだ。
「オネラス、解かなかったのか!」
キーレンは怒る。
「どうする?今戦う?」
からかう様に言う。
だが、今は余裕が無い。
「早く行ってください!」
ナリスは叫ぶ。
ナリスは防戦一方だった。
「君が行かないからナリス殺られちゃうよ~」
更にオネラスが追い打ちをかけた。
「ここから去れば、ナリスは勝てるのか?」
「かもね」
からかうだけで戦う意志の無いオネラスに問う。
彼は嘘をつく。
だけど、ナリスは信用できる。
その彼女が行けと言っている。
キーレンは右手を握りしめると、オネラスを通り過ぎて走った。
「ナリス!」
「転移!」
ナリスが叫ぶと魔法陣が光る。
その直前、オネラスも魔法陣に乗る。
そのままキーレンはオネラスと共に路地裏から消えた。




