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キーレンの心残り。
「ルディ様、ナリスです」
案内されたのは牢ではなく部屋だった。
「はい、どうぞ」
青年の声がするとナリスは扉に手を当て何か唱え、その後ドアを開けた。
まず魔王イヴリーズが入る。
「イヴリーズ!」
ルディは魔王を見ると抱きついた。
その行動にキーレンは驚くが、ナリスはニコニコしている。
「ルディ、お客様がいる。やめなさい」
イヴリーズはルディを優しく引き離す。
ルディは客、という言葉に入り口を見た。
「初めまして、ルディ・ハイオです」
ルディはキーレンに近づくとニコリとした。
ルディの両親に確かに似ているが、あまり強さは感じられない。
どちらかというと弱そうに見えた。
「ルディさんに自己紹介して下さい」
ナリスに言われ、一歩前に出る。
「フルネームは長いので省きますが、キーレンです」
「彼はヘルグラム様と旅をしているそうですよ」
ナリスはそう付け加える。
だが、ヘルグラムという言葉にルディは疑問を持った様だ。
「お前と一緒に来た魔術師だ」
イヴリーズの言葉でルディは漸く理解した。
「ヘンリーは、皆は元気にしてる?」
まるで元々から友達だった様に気軽に話しかけてくる。
「はい、ヘンリー様は元気です。ですが…」
それは起きるのを見守らず来てしまった事、それだけが心残りだった。




