魔王城のキーレン。
「初めまして、俺の名は…」
「イヴリーズ、魔族は皆知ってるよ」
自己紹介しようとして、イヴリーズは自らの名を相手に言われてしまう。
言ったのはキーレン。
二人には不穏な空気が流れた。
「何の用?」
キーレンは魔王に対して明らかに不機嫌だった。
「俺が君を招きたいと言ったばかりにすまない。きっと無理矢理連れて来られたのだろう」
魔王の謝罪に、キーレンは驚く。
明らかにイメージと違ったのだ。
漆黒の長い髪、漆黒の瞳、漆黒の翼、勇者を捉え監禁。
悪逆非道な魔族の中の魔族、そう思っていたのだ。
姿はその通りだが、悪い魔族というよりも、優しいといった方が正しいかもしれない。
いや、それもフリかもしれないが。
だが、家臣達はキーレンと魔王の面会にいい顔をしていない。
「君には、会ってほしい者がいる」
イヴリーズが言うと、更に家臣がざわつく。
「魔王様!まさか勇者に会わせるつもりですか!」
「そうだ」
玉座に座ったままイヴリーズが家臣に答えると、苦みつぶした顔をした。
家臣は明らかに良しとしてないのだ。
道具だとしても魔王は魔王という事か、キーレンはそう思った。
「ナリス」
「はい」
出て来たのは女性。
魔王が呼んだという事は、信頼されているのか。
「彼の元へ向かう」
「はい」
「キーレン、我々について来なさい」
こうしてキーレンは、魔王イヴリーズと女性ナリスに案内され勇者の元へ向かうのだった。




