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村からの出立とそれを眺める魔族。
「ヘンリー様、お気をつけて。キーレン、主を頼んだよ」
次の日、一行を見送るシェバルトは告げる。
勿論主とはヘンリーの事。
シェバルトはアニエと一緒で幸せそうだ。
「もし他の家臣に会ったら、やはり助けて下さい」
シェバルトは言うと、ヘンリーに頭を下げる。
「勿論、事件が起きたら解決するわ!」
何故かアンリエッタが言う。
「頼もしいお姫様ですね」
シェバルトは苦笑いしたのだった。
そうして、旅立つのだった。
その様子を別の場所から眺める者達が居た。
「やはりシェバルトは駄目か」
「さすがに平和主義者は甘いな」
「魔族ともあろう者が嘆かわしい」
現魔王の家臣でもあり、前魔王の家臣でもあった者達は口々に言う。
「仕方ないよ。所詮その程度だもの」
唯一の若者、その場には似つかわしくない少年とも少女とも取れる魔族の子供は言う。
「ヘルグラム、今はヘンリーだっけ?彼は厄介だよね。勇者は追い返し損ねちゃったけど他はせっかく追い返したのにさ、また来ようとしてるんだもん。死んで欲しいよね」
悪意の無い瞳でさらりと言う。
「ほんと、魔王も勇者に付きっきりでさ、嫌になっちゃう」
思い通りにいかないいたずらっ子の様に言った。
「そろそろ時間だ、帰るね」
その魔族の子供はそう言うとスッと消えた。
後には家臣達だけが残った。




