自分の家に帰りました。
ヘンリーは小屋から出た後、転移陣無しで瞬間移動する。
口頭魔法、彼はそれをやってのけたのだった。
「ただいま」
誰も居ない家にそう告げる。
誰も知らないヘンリーの家。
王家の者や魔法協会の人間すら知らない家。
しばらく留守で埃被った家を一瞬で綺麗にする。
先ずはリビングに行き、ケルベロスを床に座らせる。
ヘンリーが魔法を解く。
すると、ケルベロスは本来の大きさに戻った。
「この部屋から出てはいけないよ」
ケルベロスが理解した様に頷くと、彼を撫でて部屋から出た。
彼は端にある壁の前に立つ。
何もない壁、ヘンリーはその壁に手を当てた。
呪文を唱えると出入り口が現れた。
その出入り口はヘンリーが入るとスッと消えた。
「さて、上手くいけばいいけど…」
そう呟くと二つの腕輪を分解する。
基本的に原理は変わらない。
だが、どちらかしか機能しないものを少し変えなければならない。
片方の装着者の魔力をもう片方の者が纏わなければならないのだ。
「賭だけど、仕方ない」
ヘンリーは呟くと作り上げた。
一晩の間に完成させる必要がある。
数時間で腕輪を作り替えると、研究室を出た。
試しにケルベロスの前足に付け、自らにも付ける。
「近距離は大丈夫みたいだね」
ヘンリーは一人呟くと、外に出た。
少しずつ距離を伸ばす。
やはり、離れる程ケルベロスの魔力反応は弱くなっていた。
「あまり離れては不味いか」
ヘンリーは再び呟いた。
今回あまり時間が無い為、改良は諦める。
ヘンリーはもう一組、ピアス型の同じ構造のものを作った。
「ケルベロス、君にも役立ってもらうよ」
ピアス型の片方をケルベロスに付けると、ヘンリーはケルベロスを小さくした。
結局、その頃には陽が昇っていた。




