番犬はヘンリーに懐いてます。
「面倒くさいなぁ」
ヘンリーは呟く。
彼も又、長いこと歩かされていたのだ。
「そろそろ歩くのも飽きたんだけどねぇ」
ヘンリーは言うが、返事は無い。
ドン、ドン
地響きの様な足音がする。
「やっと現れるか」
ヘンリーは呟いた。
巨大な鬼の様な形相の緑の身体の男は、ケルベロスを連れて鼻息荒くヘンリーを威嚇する。
「やっぱり番犬か……」
ヘンリーはため息混じりに呟く。
「お前、私に刃向かうのかい?」
番犬、ケルベロスの目を見て言う。
すると、ケルベロスはヘンリーに向かっていった。
ヘンリーはしゃがむと犬をあやす様に撫でる。
「なっ!どういう……」
魔族の男は現状を見て驚く。
ヘンリーを襲うため向かった筈のケルベロスが尻尾を振っていた。
「久しぶりだね、ケルベロス」
ヘンリーは自らのペットを撫でる様にケルベロスを撫でた。
「君も可哀想だね。こんな所でこんな事させられるなんて」
ヘンリーは同情する。
「君、名前は?」
「人間に名乗……」
「そうか、虐められたいのか。じゃあケルベロス、ちょっと痛めつけよう……」
「ガルスだ!」
緑の男、ガルスは恐怖を感じて名乗る。
〈ガルス……バンデュラスの息子か〉
「じゃあ、主の名は?」
「ヘングレム、ヘルグラム四世と名乗っている」
一度相手が従えば後はヘンリーの独壇場だった。
「じゃあ、ヘングレムの所へ案内してもらおうか」
ヘンリーの笑顔にガルスが恐怖を抱いたのは言うまでも無い。




