髪がなければシャンプーはいらない
女目線でやったことないので、変です。
雨穴「この語り、何か変?」
第三話始まりす。
四日前①(私目線)
別に洒落た言葉などいらなかった。後先考えずに行動してしまう私に咄嗟に神から告げられた言葉はあの「シャンプーの話」だった。しかし、話の内容は我ながらひどいものだった。なにが「シャンプーとは結婚できない」だよ。じゃあ石鹸とでも結婚してろよ。
だから、今でもあの話をしてしまったことを後悔している。私はなんてことをしてしまったのだろう、と。
「福ちゃん」
祖母が話しかけてくる。相原福美だから「福ちゃん」。それにしても、20代後半にして「福ちゃん」と某有名子役(今は子役ではない)のように言われるのは新鮮であったが、あまり気にすることはないと自分では思っている。
「そろそろ、あんたも結婚しなさいよ。あんた今年で28だろ?」
「わかってるよ、わかってるってば。でも、もうちょっと待ってよ」こないだ振っちゃったからさー、と言っても「あぁ、そうなのね」とも言われるわけがなく、私は言わないようにする。
私は祖母と二人暮らしだ。幼い時に両親を失っている。祖母は30を過ぎてからようやく結婚したようで、妊娠もけっこう大変だったようだ。なので、私に対しては「早く結婚するんだよ」と腐るほど言われた。お母さんに言っていたかは知らないが。
◇
ピーンポーンと品のないチャイムが鳴り、私は目を開ける。ちらっと時計を見ると、その針はもう夜11時を回っていた。こんな時間には宅配便は来ないだろう、と考えているともう一度チャイムが鳴るので祖母が「うるさいわね」と言いながらドアを開ける。私は再び目を瞑った。
特に見る必要はないと思ったからだ。どうせ、クレームだろう。
しかし、何事も予想していた通りにはならないので、今回も予想していなかったことが起こった。祖母が目を充血させ「福ちゃん、福ちゃん」と呼んできので、私はしばしば玄関に行く。
やはり、何事も予想していた通りにはならない。「警察ですけど」と言った男は美形で、そこら辺のアイドルです、と言われたら信じてしまうような顔立ちだった。
「あなたが相原福美さんですね」しかしそんな美形な顔立ちと、言っている言葉は釣り合わない。私は即座に何をやらかしたのか、何をしてしまったのかを考える。考えても思いつかない。強いて言うならプロポーズをしてきた元カレを振っただけだ。プロポーズをしてきたら振ってはいけない、と言う法律でも作られたのだろうか、と呑気に考えるものの美形な顔立ちの青年に腕を掴まれたので、私は「え?」となってしまう。
「ちょっと署まで来てもらいたい」え?
私はパジャマ姿で警察署まで行かないといけないのか。私はこれ以上ない絶望を感じてしまった。
◇
結論から言うと私は警察署まで連れて行かなかった。そもそも、美形な顔立ちの青年は警察ではなかった。
「ごめん」といきなり言ってきたので私はまたまた「え?」となってしまう。警察官が庶民に「ごめん」と言うことがあるのか。
「いや僕、警察官なんかじゃないんだ」もう今日はだめだ。頭がパンクしている。
その後美形な顔立ちの青年は自分がただの新人サラリーマンであることと、自分の名前が「二矢悠真であることをそれぞれ順番に語った。
「そこでお願いがあるんだけどさ」
「もしかして、また警察署まで着いてこい、なんて言わないよね」
「いや、その、一目惚れしちゃったんだ。付き合ってください」
今日あったことを日記で綴るとしたら1ページやそこらでは収まらないだろう。日記を書く習慣がなくて本当に良かった。と安堵した。
え?なんすか?




