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ゴッドフリード 〜英雄目録〜  作者: Flance_Pang
第二章:第二の魔王と魔皇帝の降臨

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解き放たれる『獣』

【前回のあらすじ】

《アイリス》

え?ボクがあらすじ紹介するのかい?全く、なんでボクが……。まあ、いいだろう。

ボクはオルフェウスとレン・フリューゲル共々ネルケディラを極寒の国に変えた。

……これでいいでしょ?知りたかったら前回でも読みなさい。

アレクシアの咆哮は周りの空気すらも揺るがし、闘技場に大きなヒビ割れをそこら中につけた。流石のアイリスも、これは予想外だった。

「こっ……この力!?もしかしたらレン・フリューゲルや他の虫けらよりも……!?」

咆哮が収まったかと思うと、アレクシアは身体を低くして今にも飛びかかりそうな体勢になった。

「……フーッ!!……フーッ!!」

アレクシアは歯ぎしりをしながらアイリスを睨めつけている。

「いやいや、落ち着くんだアイリス。いくらレン・フリューゲルよりも危険とはいえ、彼女は仮にも非戦闘要員だ。さっきボコボコにされたのは偶然かもしれない。いや、むしろそうであって……」

アイリスは独り言を呟いていた。しかし、アレクシアはそれを許さずに独り言を遮るように攻撃をしかけた。

アレクシアは、アイリスの腹部を思いっきり殴り飛ばした。アイリスは防げずに闘技場や民家の壁を破りながらふっ飛ばされた。

「このパワー……!偶然じゃない……!?」

そして、今度は城壁にぶつかりそうになる寸前で、アレクシアはアイリスの背後に素早く回り込み、大きく上に蹴り飛ばした。上空に打ち上がったアイリスめがけて、アレクシア自身も大きく跳び上がり、アイリスを攻撃しようとした。

アレクシアの両手には、まるで熊のような鋭い爪を思わせるエーテルが纏わりついた。

「グルルルルル……!!ガアアアァァァ!!」

アレクシアは咆哮しながらアイリスに近づいていく。同時にアレクシアの顔の前には、巨大な獅子の牙のようなエーテルが張られている。

「……!?このままじゃボクの計画がパァになっちゃう……!!かくなる上は……」

アイリスは、鎌を振りかぶると回転しながら氷を纏ってアレクシアに向かって落下した。迎え撃つようだ。

「名付けるとしたら、『タナトス・ファング』!!といった所かな?」

そして、2人の攻撃は激しくぶつかり合った……、なんてアイリス相手に思ってはいけない。

「……かかったね?」

アイリスはぶつかる寸前に目にも止まらぬ速さでアレクシアの横に周り、胴体めがけて引き裂こうと鎌を振りかぶった。

(理性の無いケダモノで助かったよ……。じゃあ、殺してあげよう……!!)

アイリスは悪い笑顔でアレクシアを攻撃した。

しかし斬りかかる寸前に、突然アレクシアの目『だけ』はアイリスを捉えた。急にアレクシアはアイリスの方向に目を動かしたのだ。その反応速度のまま、アレクシアはアイリスを地面に蹴り落とした。

アイリスは勢いよく強く叩きつけられ、陥没した地面に頭がめり込んだ。

「ぐうぅ……。このボクに対してなんと不敬な事を……」

なんとか頭を地面から抜いたアイリスは、上からの殺気に反応して即座に上を向いた。なんと、アレクシアは先ほど不発に終わった突撃を確実に当てようと真っ逆さまに急降下してアイリスに突撃している。

「……嘘でしょ!?だが、こちらが地上ならまだ分はある……!」

そう言うと、アイリスは地面に手を当てて魔法陣を展開した。

「罠にかかるといい。氷塊棘(レイズ・スパイク)!」

そしてアイリスは、アレクシアが地面に近づくタイミングを見計らった。自分だけくらわないように、発動寸前に逃げる算段だ。

そして、そのタイミングが来た。獣のように怒り狂っているアレクシアにはアイリスしか見えていない。地面に罠が張られている事にすら気付いていない。アレクシアはアイリスを激しく引き裂こうとしたが、寸前にアイリスに逃げられ、地面に着陸しようとすると、事前にアイリスが張った魔法陣が強く光り輝き出し、魔法陣から飛び出した氷の剣が、アレクシアの身体を無慈悲に突き刺した。

最悪なことに、刺さった時の音で気絶していたレイが目を覚ましてしまった。

「う……、頭がイッテェ……」

何とか身体を起こして音のした方を向くと、血だらけのアレクシアがいた。

「なっ……!?」

レイはそれに気づくと、寒さで震えているレンとセトの元に来た。

「おい!起きろ!!冬眠してる場合じゃねぇぞ!!」

レイの呼びかけに、レンとセトは何とか気がついた。

「レ……レイ……。寒い……」

「俺達……ホントに凍え死んじまいそうだ……」

「おいおい……。アレ見てもおんなじ事が言えんのかよ!?」

レイはアレクシアを指さした。

「ア……、アレクシア……?まさか、君まで死んで……」

「……あの野郎、ハルに続いて……!!」

レンは顔面蒼白になり、セトはアレクシアまで殺そうとしたアイリスに対する怒りで立ち上がった。

「おい!!無理して動くんじゃねぇ!!ヤバめの風邪ひいた奴が寒中水泳するみてぇなもんだぞ!!」

「それでも動かねぇよりはマシだろ!!これ以上好き勝手されたら、今度は俺かお前がやられるかもだぜ!レイ!!」

セトとレイは言い争いを始めたが、レンはハルに続いてアレクシアまで死なせてしまった罪悪感でしばらくは動けなかった。

そしてレンがこれ以上はやらせまいと動き出そうとした時、何か妙なエーテルの流れを感じた。

(何だ……?この変なエーテルの流れ……。ノエルの[妖刀抜剣]とは違う嫌な……、いやむしろ禍々しいに近いかな……)

そうして考えているうちに、全身を突き刺すような寒波が段々と弱まってきた。それと同時に、レン達の前から異様な熱風が吹き始めてきた。

「熱っつ!?急に熱くなってきやがったぞ!?」

セトはとてつもない寒暖差に思わず大声を出した。

(待って……。このエーテル、流れが強くなってる!?誰なんだ……?いや、流れがどんどんと勢いを増している……!!こんな激流みたいな流れのエーテル、一体誰が……)

レンはそう考えながら、エーテルの流れの元を探していた。そして、そのエーテルの流れの元を見つけた瞬間、レンはハッとして、

「レイ!セト!伏せて!!速く!!」

と大声で2人に呼びかけた。同時に、無数の剣が突き刺さって血だらけのアレクシアの手が強く握りしめられた。レイとセトが言われた通り伏せようとすると、アレクシアを中心に物凄い勢いの突風が吹き荒れ、アレクシアに突き刺さっていた氷の剣は全て砕け散った。

「ウガアアアアアアァァァァ!!!」

そして、自由になったアレクシアは立ち上がり、再び咆哮を上げた。

【ちょっぴり用語解説】

〈タナトス・ファング〉

急降下している状態で鎌を振り、その勢いで縦に回転しながら敵を狩る即席技。

〈氷塊棘(レイズ・スパイク)〉

この魔法をかけた地面に触れた瞬間、地面から無数の氷の棘が触れた敵を突き刺す罠の魔法。しかし、魔王であるアイリスが使えば棘は巨大な剣となり、敵を見るも無惨な姿に斬り刻む。


最後まで読んでくれてありがとうございます。

マジで遅れてしまいました。申し訳ありません。

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