アレクシア、怒る
【前回のあらすじ】
《レン》
アイリスの首を狙って斬ろうとしたが、僕の今使ってる剣じゃ斬れなかった。
それ以上に、また一人アイリスによる犠牲者を増やしてしまった。
ハルの死体にしがみつきながら泣き叫ぶアレクシアを尻目に、アイリスはレンにもう一度狙いを定めた。
「さて、とんだ邪魔が入ったね。今度こそ、君をあの世に送ってあげよう……」
アイリスはレンにゆっくりと近づいてきた。
「クソッ……」
(あの時、逃げれば良かったんだ……!怒りに任せてアイリスに仕掛けたりしなきゃ……!)
レンはそう思いながらアイリスを睨みつけた。
「じゃあね、トルネシアの英雄殿?」
そう言って、アイリスは笑いながらレンに鎌を振り下ろした。
すると、アイリスの死角から何かが飛んできて、アイリスの鎌を弾いた。
「チッ……、2回目の邪魔は流石のボクもプツンとキレちゃうよ!?」
そう大声で言いながら飛んできた方向を見た。何と、飛ばしたのはアレクシアだった。そして、飛んできた物は、アレクシアの両手剣だった。
「なっ……、これは何かの冗談かな……?まさか、君があの剣をあれ程のスピードで投げつけたって言うのかい?」
アイリスは珍しく少し動揺していた。
(冗談でも何でもない……、間違いなくアレクシアだ……!飛んできた方向から見て、一番アレクシアがその方向に近い……。けど、そもそも両手剣を投げ飛ばすなんて僕やレイみたいに怪力でもない限り、そんな事出来ないはず……。ましてや、あんなスピードなんて、僕でも出来っこないよ!)
レンはそう思いながら、立ち上がって再び剣を構えた。
アレクシアは、口を開く直前まで俯いて表情が見えなかったが、
「……よくもお兄様を……。よくも、お兄様を……!!」
と言いながら顔を上げると、アレクシアは涙ぐみながらアイリスに怒りを露わにした。
「おや、別に怒ることないじゃない。すぐに君もお兄さんの所に連れて行ってあげるよッ」
アイリスが笑顔でそう言った瞬間、アレクシアの怒りは爆発した。アレクシアは素早くアイリスの後ろに刺さっている両手剣を抜き、アイリスに斬りかかった。
(なっ……!?この一瞬で後ろに……)
アイリスはそう思いながら防御の構えを取ったが、取るのが遅かったか、アレクシアの剣が直撃した。
しかし、アレクシアの怒りがそれで収まることはない。
「……お兄様を、返せ!!返せ!!返せぇぇぇぇ!!!」
アレクシアは咆吼しながらアイリスに力任せの攻撃を繰り返す。どれもアイリスにクリーンヒットして、アイリスをよろけさせている。
「げほっ……、嘘でしょ……?このボクが、人間の小娘にフルボッコにされるなんて……」
アイリスは吐血しながら、何とか立っていた。そのアイリスの前に、レンは立ち塞がった。
「もう十分だよ、アレクシア!後は僕がケリをつける……!」
そう言って、レンはアイリスに剣を構え、アイリスを睨みつけた。しかし、レンの後ろからアレクシアが怒りの籠もった低い声で、
「ボクが殺します……。お兄様を奪った屑はボクが……」
とレンに言った。レンは、アレクシアから到底出ない強い言葉に驚いたが、すぐに構えをやめてアレクシアの方を向き、アレクシアの肩に手を置いた。
「気持ちは十二分に分かるけど!アイリスは師匠の仇なんだから、僕がケリをつけないと……」
「いいからさっさとどいて下さい!!!!」
アレクシアは、今まで出したことが無いほどの大声でレンに訴えた。レンは、アレクシアの表情を見て、しばらく考え込んだ。
(アレクシアがアイリスを殺したい理由も分かる……!だけど、これ以上関係ない者を殺させるわけには行かないから僕が……。でも、この剣じゃ無理なんだ……!一旦引くのもあるが、そうしたら今度はこのネルケディラの住人たちを危機に脅かす……!どうすればいいんだ……、考えろレン・フリューゲル……!)
すると、アイリスがすぐに回復してレン達にこう言った。
「ちょっと〜?殺させてくれないならボクもう帰っちゃうんだけど〜?」
レンにとって、この事は師匠の仇を逃がす事に繋がる。だけど、準備を整える時間もできる。レンの考えの中に、アイリスの自主逃亡も入ってしまい、レンの頭は混乱した。
すると、アイリスは隙だらけになったレンに重い蹴りを食らわせた。
「ごはっ……!?」
「バカだね!?そんなんするわけないじゃないか!君だけは、確実に仕留めるよ!!」
それを見ていたセトは、仕留められそうになるレンを見て、そんな事させまいと立ち上がった。
(んな事させるかよ!!もうボロボロであの力も使えないけど……)
「やるしかねぇ!!」
そう言いながら、セトは自身の中にある魔力を集中させた。
「ハアアァァーーー!!」
レンはいち早くそれに気づき、セトに大声で言った。
「セト!!普通の状態で極火炎を使うつもりか!?止めろ!!どうなるか分かってるはずだ!!」
「うるせぇ!!お前を助けるためなんだ……。もうこれしかねぇんだよ!!」
そう言いながら、セトは自分の魔力を全て左腕に移して、左腕を後ろに逸らした。
「食らいやがれアイリス……!!極……火炎ァァァァ!!」
セトの叫びと共に、巨大な火球はアイリスに向かって放たれた。それはアイリスが壁を作るよりも早く、アイリスに着弾した。それと同時に、巨大な火柱をあげ、レンはその火柱の圧で倒れそうになったが、セトが既で止めて助かった。
「ありがとうセト……。けど、もう無茶はするなよ……」
「何言ってんだよ……。このくらいなんてへっちゃ……ら……」
セトは莫大な魔力を消費した影響で倒れた。
しかし、倒れる時に見た光景は、セトを驚かせた。それは、アイリスが火柱の中からボロボロの状態で平然とした顔で出てくる様子だった。
「ふぅ……、今のはかなり効いたよ……」
最後まで読んでくれてありがとうございます。
もっと頑張って頭を絞るぞ。




