魔王の脅威、再び
【前回のあらすじ】
《クリシス》
魔王アイリスは私達を標的を向けた。
私とレイとハルで敵うだろうか……?
レイとクリシスは、アイリスに対して猛攻を仕掛けたが、全て見切られているかのように避けられる。おまけにハルの魔法による援護も跳ね返され、身体能力強化魔法もアイリスの無化によって消されてしまう。
「くっ…、流石に魔王を名乗るだけはあるな……。もしかしたらレグルス以上かもしれないな……」
「おい、それだったらオレら勝ち目無くねぇか?レグルスの相手でさえやっとだったんだぜ?」
「おまけに、クリシスは分からないけど、俺とレイはあの頃よりかはだいぶ強くなっているにも関わらずこれだからな……」
そう3人で会話していると、
「作戦はまとまった?」
と言い、アイリスは自身の氷から鎌を生成してレイ達に向けた。
「あぁ!真っ向からぶっ潰すだけだ!」
「それはレイだけだ!」
「来るぞ!レイ、ハル!備えろ!」
クリシスがレイとハルにそう言った次の瞬間、アイリスは鎌を振りかざして氷の巨大な刃光を飛ばしてきた。3人は難なく避けたが、闘技場への被害は尋常じゃない程に広がり、民家や城壁まで破壊した。
「武器を振った時の光弾でこれか!?なんて破壊力だ……」
「まともに食らえば、真っ二つだな……」
「うげっ!?マジか……。じゃあ避けつつ攻撃するって感じか?」
「そうなるな……。レイ、クリシス!行くぞ!」
3人は再び、アイリスに向かって戦いを挑んだ。
ーーーーーーーーーー
同じくして、レンはスペクターと互角の勝負をしていた。
「ハァ…、ハァ…。畜生め……!!」
(早いとこ、こいつを倒してアイリスを倒さないと……!でも、スペクターはこれ程までなんて……。クソッ、急いでるっていうのに……!!)
レンは姿を捉えようと何度も試みたが、スペクターの透明能力に翻弄され、隙だらけになっている。その時、セトの近くで何かの足音がして、セトはレンに叫んだ。
「レン!!俺の近くだ!!」
レンはセトの叫びを聞き、セトの所に向かって大火炎を放った。
「ちょっ!?こっち負傷してんだよ!!」
セトは慌てて逃げていった反面、スペクターはなんと透明化を解除した。
「なっ!?」
レンが驚いた次の瞬間、スペクターはレンの放った大火炎を投げ返してきた。レンはなんとか受け止めて空に打ち上げたが、かなり辛そうな表情をしていた。
「ふぅ……、投げ返すなんてありかよ……」
そのレンの近くにセトが寄ってきた。
「俺を殺す気かよ……」
「ご、ごめん……」
「ったく……、まあでも慣れたけどよ」
そう言うと、セトは両腰に挿したナイフを抜いた。
「俺がこいつの相手をする!お前はさっさとアイリスと戦ってこい!」
「えっ?」
「お前、どうしても自分でアイリスを殺したいって顔してるぞ。顔が顔だから、分かりづらいけどよ」
「セト……。分かった、そいつは任せた!」
レンは、セトにスペクターを任せ、アイリスの元に向かった。
「レイ!ハル!クリシス!そいつの相手は僕がする!!だからさっさと逃げ……、っ!!」
レンが見た光景は、衝撃的だった。なんと、ハルとクリシスはアイリスによって重傷を負って倒れ、レイは重傷を負いながら、首を片手で絞められていた。
「おや、遅かったね。こいつあとちょっとで殺せるから、次は君だよ」
アイリスはレンに悪意のない笑顔を見せながら言った。
「その汚い手をレイからどけろ!!」
「人間の手だって汚い奴は汚いじゃないか。ボクはまだマシな方だとは思うよ」
アイリスがそう言うと、レイが苦しみながら口を開いた。
「よく言うぜ……。卑怯な事しかできねぇ……弱虫のくせによ……」
すると、アイリスはレイの右腕に氷の槍を突き刺した。レイはあまりの痛みに悲痛な叫び声を上げた。
「君には分からないよ。ボクの執念はね」
「やめろ!!」
レンはそう叫びながら、アイリスに自身の剣を投げつけたが、軽く跳ね返された。しかし、レンは投げつけたと同時にアイリスに向かって走っていたため、跳ね返された剣をキャッチしてアイリスの首に向かって斬りかかった。
しかし、アイリスには効いていなかった。アイリス自身の防御の高さもあるが、それ以上に此処にきてレンの刃がない剣の悪い部分が出てしまったのだ。
「クソッ!やっぱこの剣じゃ……!」
レンはそう呟いたが、アイリスは間髪入れずにレンを蹴り飛ばした。
「痛いじゃないか。そんな剣でボクを殴りつけるなんてさ」
そう言いながら、アイリスはレイを投げ飛ばしてレンに近づき、レンの首元に鎌の刃を向けた。
「そんなに師匠の元に行きたいのかい?なら、1名様ごあんな〜い。行き先は、あの世だね」
アイリスは愉悦に浸った表情で鎌を振りかざした。
(畜生……。こんな所で……、師匠の仇も討てずに……!!)
「師匠の仇に殺されるなんて……!!」
レンは倒れ伏しながら、そう言った。レンの目には涙が浮かんでいた。
「畜生……、畜生オオオォォ!!」
その時のレンの叫びには、アイリスに対する怒りと殺意以外に、自分の非力さへの怒りも混ざっていた。
そして、アイリスがレンを鎌で殺そうとした時、
「じゃあ、あの世の旅を楽しん……、ぐうっ!?」
アレクシアはアイリスを両手剣で思いっきり斬りつけた。
「……危ない所……、でしたね……」
「アレクシア!?何やってるんだよ!危ないぞ!!」
レンはアレクシアにそう言ったが、
「目の前で大事な人が死ぬ時に……、危ないなんて言っていられますか!?」
アレクシアはそうレンに言った。アイリスは邪魔された事に怒り、アレクシアを思いっきり膝蹴りした。
「がはっ……!?」
「余計な事をしてくれたね!!」
アレクシアは膝蹴りされた衝撃でふっ飛ばされた。
「ボクは女性にも優しくない!君から殺してあげようじゃないか!!」
そう言いながら、アイリスはアレクシアに向けて氷の槍を放った。
「……!!」
レンがアレクシアを庇おうと、アレクシアの元に駆けた次の瞬間、
「……アレクシア!!」
それよりも速くハルはアレクシアの前に立ち、アイリスの氷の槍の餌食になった。
「ありゃ、間違えて違う奴を殺しちゃった」
そう言うと、アイリスは氷の槍をハルから引き抜いた。
ハルが刺された際の血飛沫を浴びたアレクシアは、あまりのショックでしばらく時が止まったような感覚に襲われた。
少しして気がつくと、目の前には腹部に穴が空き、大量に出血したハルが倒れていた。
「……お兄……様?」
アレクシアはハルの元に行き、ハルの顔を見た。まるで一瞬で魂が抜けたような表情で吐血しているハルの顔を見て、アレクシアの目からは涙が止めどもなく溢れ出した。
「あ…、あぁ……」
今アレクシアは、目の当たりにしている状況を整理できずに、脳がハルの死を拒んでいる。
「お兄様アアァァァーーー!!!」
アレクシアは慟哭してしまった。
ハルトマン・アルターレ 享年:16
死因:魔王アイリスによる殺害
【ちょっぴり用語解説】
《無化》
その名の通り、放った対象の魔法による強化をかき消す魔法。
最後まで読んでくれてありがとうございます。
ようやく戻せそうだ。




