仇敵
【前回のあらすじ】
《レン》
こんな所で見つかるなんて……、僕の師匠の仇……。
魔王アイリス……、絶対にこの手で殺してやる……!!
レンは怒りに任せたまま、アイリスに素早く近づき、そのまま殴り飛ばした。アイリスは強く闘技場の壁に埋められる程に強く叩きつけられ、少しの間、気を失いかけた。
しかし、レンの怒りがそれで収まることはなく、壁に張り付いたアイリスを遥か上空に投げ飛ばし、アイリス目掛けて高く跳び上がり、アイリスを地面に目掛けて殴り落とした。アイリスが地面に激突した時のあまりの勢いで、闘技場のリングは粉砕された。
「い……いきなり何なのさ……。卑怯とは思わないのかい……?」
アイリスは起き上がりながら、レンに向かって言った。
「黙れ……!黙れ黙れ黙れェェェ!!」
レンは、既にアイリスの声すらも拒絶する程に激昂しており、その勢いでアイリスに目掛けて無数の火炎を放った。
アイリスは防壁を直ぐ様張り、レンの火炎の雨を防いだ。普段のレンならそれに気づいてすぐに次の行動をするのだが、今のレンはそれすら気づかない程にアイリスへの怒りに突き動かされており、闘技場を破壊しているのにも気づかずに火炎を放ち続けた。
「レン!!闘技場ごとアイリスを葬る気か!?考え直せ!!」
オルフェウスは大声でレンに言ったが、レンには届いていない。
そして、レンはアイリスに対して極電撃を放とうと雷を右手に纏わせた。
その場に残っていたクリシスは、その事に気付き、
「あれは……!くっ、すぐに防壁を張れ!!死にたくなければ目一杯張るんだ!!」
とアイリスに対して警戒態勢をとっていた兵士に対して命令した。そして、クリシスも[ダイヤモンドランパート]を張り、
「死にたくなかったら中に入れ!!」
と、レイ達に向かって言った。レイとハル、そしてセトを抱えたアレクシアはその[ダイヤモンドランパート]の中に入っていった。しかし、オルフェウスは入らなかった。
「お、おい!オルフェウス!早く入れ!!死んじまうぞ!!」
レイがそう言うと、オルフェウスはレイ達の方を少し向き、
「安心しろ、あれで俺は死なない」
と言った。
そして、レンはアイリスに対して極電撃を放つ寸前にまで達していた。アイリスはボロボロになりながら上を向き、まるで魔力が雷の天体のようになっているレンを見つめた。
(まさか、ここまでボクが押されるなんて……。たかがレグルスを倒したくらいの虫けらの分際で……!!)
アイリスは、分かりやすく屈辱を受けた表情を浮かべた。
そして、レンの怒りの籠もった極電撃は、今まさにアイリスへと放たれたと思ったのも束の間……、
「ギガ…!ボル……」
(ドガッ!!)
レンは、何者かに後ろから思い切り殴られたような感覚に襲われた。次の瞬間、アイリスの屈辱的な表情は、少しずつ不気味な笑みに代わり、そしてそのままレンに向かって無数の氷の矢を生成してレンに放った。レンは咄嗟の判断ができずに、正面から食らってしまった。
「アッハハハハハ!さっきの威勢は何処に行っちゃったのかなぁ!?ちょっとは反撃したらどうだい!?」
アイリスはそう言って笑いながらレンに氷の矢を放ち続けた。
それを見ていたレイは、いても経っても居られなくなり、[ダイヤモンドランパート]から飛び出してアイリスに向かって斧を持って突撃した。
「ちったぁ、よそ見しやがれ!このクソったれ!!」
そう言いながらレイはアイリスを力を込めて打ち上げた。そして氷の矢が止み、レンは地面に落ちた。レイは直ぐ様レンの元に駆け寄り、レンを起こそうとした。
「おい、大丈夫かよ?」
すると、レンは起こそうとしたレイの手を払い、立ち上がってレイにこう言った。
「悪いけど……、今は僕の手助けはしないでくれ……!!」
それを聞いて、レイは内心「はぁ?」と思ったが、レンを目を見た途端に、その思いは消えた。
「……ハァ、分かったよ」
そう言い残し、レイはハル達の元に戻った。
レイがハル達の元に戻ると、ハルはレイに詰め寄った。
「レイ……!どうして止めなかったんだよ!?あの状態じゃもう戦えないだろ!?」
「今はそんなん言ってる場合じゃねえみてぇだぜ。あのバカは」
そう言いながら、レイはレンの方を見た。
「バカはそっちもだろ……」
そう呟いて、ハルもレンの方を見た。
「何をしたんだ……?」
レンはアイリスに怒りの籠もった声でそう聞いた。
「いや何さ、ちょっと後ろがお留守だったから、こいつにちょっかいかけてもらったんだよ」
アイリスがそう言うと、透明になっていた魔物が姿を現した。
「……スペクター!?何であんな上位の魔物がこんな昼間に……!」
ハルは思わず声が出た。
「スペクターって何だよ?」
「夜にしか姿を現さない魔物だ。しかも、熟練の冒険者ですら手を焼く強敵だぞ……!」
「はぁ?そんなんアリかよ……」
すると、スペクターはアイリスに対してこう言った。
「アイリス様、こいつは私めが。あなた様は奴らを」
スペクターは、なんとレイ達に指を指した。
「アイリスの相手は僕だ!!お前と遊んでる暇はない!!」
レンはスペクターにそう言いながら、スペクターに向かって剣を抜いて斬りかかった。
すると、スペクターは再び姿を消した。レンは足を止め、周囲を見渡した。
「何処行った?まだ僕の近くにいるはずだ……」
レンは何とかスペクターを見つけようとした。
その頃、アイリスは既にレイ達と交戦していた。レイとハル、そしてクリシスの総攻撃にアイリスは顔色一つ変えずに捌いていた。
「くっ、3人で対処すればどうにかなるかと思ったが……、これじゃ完全に誤算だな……」
「ホントだぜ、オレの攻撃が全然当たらねぇ……。一度食らった技はもう食らわねぇってか!?」
「それは何回かやらないと分からないだろ。とにかく、まず俺たちはこの状況を何とか打破するぞ!」
「おう!」「ああ!」
ハルの言ったことに、レイとクリシスは賛同し、気を取り直して戦闘態勢に入り直した。
「おや、前座として少しは楽しませてくれそうかな……?」
アイリスはくすくす笑いながら言った。
最後まで読んでくれてありがとうございます。
構成は纏ってるんだ……!後は形にさえ出来ればぁぁぁ……!!




