嫌な予感
緑珪へと来てから一週間ほどグループごとに分かれての訓練を行った。射撃訓練と飛行訓練、そして連携攻撃のフォーメーションの講義と、ハードなスケジュールをこなすことになった。特に白と黒のユリグループは、リーダーである長谷部によって、常に極度のプレッシャーにさらされていた。長谷部は特に樺倉のことになると、熱くなる傾向にあり、その度に厳しい言葉が飛ぶ。その度に樺倉はつい委縮してしまい、失敗するという悪循環に陥っていた。
「ユリグループは大変だな」
昼食の時、ジョーがしみじみと朔也を労わった。
「ケンとジョーのアネモネの方は良い感じだね」
「まぁ、二人とも先輩だから、上手いことやってくれてるな」
「俺たちが多少無茶なことしても、フォローが絶妙に上手いんだよな」
そこに五十嵐がやってきた。
「ダリアもやっとグループとして機能するようになってきたよ。ただ、土屋くんと広田くんの相性が悪くて……」
なるほどと朔也と双子は、すぐに事情を察した。フィーリングと運動神経の良い土屋に対し、広田は理論と合理性を求める。さらに残念なことに、どちらも精神的に幼稚な上に口が悪い。グループリーダーである五十嵐が珍しくため息をついている。体型は変わらないはずなのに、若干やつれた様に見える。ケンが鬱々とした空気を変えようと、食堂に置いてあるTVの電源をつけた。
「うわっ。なんだ、これ?」
「山火事だな……最近、乾燥していたから延焼しているみたいだ」
ケンの声に五十嵐が落ち着いて答えた。
「すごい火の手だね。ヘリコプターも何機も飛んでる」
「そうだな、でも、火災じゃ俺たちもなんにもできないな」
朔也が呟くと、ジョーもそれに同意した。しかし、その時、左手の端末が振動とアラームを鳴らした。
『警告 周辺の地域に蛟が発生しました。担当地区のユニットは速やかに現場に急行して下さい』
「嘘だろ?!」
「……まさか、とは思うが、あそこじゃないだろうな」
驚く双子と朔也を見ながら、五十嵐が最悪の展開を想像した。そして、その予感は的中した。
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