初めての研修
パリピー=パーティーピープル 賑やかな人たちです。
それから一週間後、Sユニットは再招集をかけられた。ミーティング室に集められた六人は鈴宮の到着を待った。
「アンタたち、これから研修に行くわよ」
「研修ってどこでですか?」
五十嵐が鈴宮に質問した。
「南西部、黒玖の都よ」
この大陸には七つの都市からなり、元王都であった扶桑の都を中心に六つの都市がある。北西に赤珱(セキオウ)の都、北東に青瑜(セイユ)の都、東に緑珪(リョッケイ)の都、南東部に白珈(ハッカ)の都、南西部に黒玖の都、西部に黄琥(オウコ)の都である。それぞれが独自の文化を形成している。
「この前の模擬試合で分かったと思うけど、アンタたちはただ発色したというだけで、聖銃士としてはまだまだよ。そこでアンタたちに戦闘のいろはをアタシ自ら叩きこんであげるのよ。ビシバシ鍛えるから覚悟してなさい! それじゃあ、明日から研修開始よ。いつ帰れるかはアンタたちの訓練の進捗状態を見て決めるわ。以上、解散」
翌日には荷造りをして私服に着替えた朔也たちはバスに乗り込むことになった。バスは十五人ほどのマイクロバスだが、トイレ付に座席はリクライニングもきく上に冷蔵庫がついた値の張る代物だった。朔也は双子たちの傍に席をとり、五十嵐は前方に真っ先に座った。そこにレーシーなブラウスに黒いリボンを結んだ清楚な服装に身を包んだみつきが乗車してきた。
(私服のみつき……可愛いな)
朔也は座席の陰に隠れるようにこっそりみつきを見つめた。みつきはちょうど真ん中の辺りに席を取り、荷物を隣の席に置いていた。
そこにピンク色に染めた髪をパーマあてて、ばっちりアイメイクを施した少女が乗り込んできた。肩を出したニットと膝上二十センチのスカートに編み上げブーツはギャルファッションそのものだった。
(確か、土屋さんって言ったっけ。どうしよう。僕、絶対苦手な感じの女子だ……)
大股でみつきのいる席までくるとピタリと止まった。
「ちょっと、あんた、席二つ取って邪魔なんだけど?」
じろりとみつきを睨みつける。
「あら、ごめんなさい。土屋さんでしたっけ? 席でしたら、他に空いているのでそちらをどうぞ。もし、私の隣が良かったら荷物どかしますけど?」
土屋はじっとつけまつげを付けた瞳で、にっこり微笑むみつきと視線を交わす。一触即発の雰囲気に朔也と双子が息をのんで見守る。
そしてぷはっと噴き出した。
「ああ、ごめんごめん。これから女子二人でやっていくのに、言い返してこないような奴だったら仲間とかマジ無理だと思ってたから。いいじゃんいいじゃん、ウチ、向かいの席に座らせてもらうわ。ウチ、土屋華恋。つっちーでもカレンでいいよ。そっちは?」
「鶴来満月。ああ、びっくりしました。いきなり喧嘩売られてるのかと。これからよろしくお願いします」
「いやいや、あんた結構度胸あるって。全然ビビんなかったじゃん。つるぎみつきか。つるるんかな。よろしく」
「土屋君、また騒ぎを起こそうとしてたのか?」
そこには五十嵐が綺麗に七三分けされた髪を整えながら現れた。
「あんたには関係ないよ、残念イケメン。まさか、バディーになるなんて予想してなかったわ」
「イケメン……それは僕の容姿を褒めてくれてるのかな? ありがとう」
「本当に人の話聞かないんだよね。頭良いのか馬鹿なのかわかんない」
「土屋君が座学で追試受けているとき、教えてあげたじゃないか」
「あんたが頼んでないのに隣であーだこーだ言い出したんじゃん!」
はぁと疲れたようにみつきの向かいの席にどさりと土屋は腰を下ろした。
「もう行っていいよ、ラッシー。こっちはこれから女子トークするから」
「うむ。それじゃあ、またあとで。それからラッシーは止めてくれ」
そういうときびきびとした動きで五十嵐は自分の席に戻っていった。
それを見届けると土屋はくるりと向きを変え、朔也たちの方を振り返った。
「土屋華恋でーす。双子なんだよね? どっちがどっちなの? そっくり過ぎてわっかんない」
「赤がケンで青がジョーだ」
「オッケー。覚えた。入れ替わりとか変なことしないでよ、こんがらがっちゃうから。で、そっちの陰キャっぽいのは?」
「真山朔也です……」
ギャルやパリピが苦手な朔也は小声で名乗った。
「ふーん、さくたんね。なんか、あれ。顔は結構かわいいのに。前髪切った方がよくね? 今度ウチが切ってやんよ。ウチ、マジウマだから」
土屋が白い歯を見せて笑うと、席に座った。みつきと好きな雑誌や使っているコスメについて話し始めた。
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次回「鈴宮の経歴と出発」をどうぞよろしくお願いいたします。




