ユニット会議 指名
ざわざわとした喧騒が講義室に満ちる。そこに後から入ってきた雨森がマイクで声を上げた。
「静粛に。今からユニット会議を始めます。まずは司令を紹介します。奥から順に伊藤司令、飛鳥司令、鈴宮司令です」
伊藤と言われた男性は軽く会釈し、飛鳥は名前が呼ばれた時きっちり傾斜三十度でお辞儀をして、鈴宮に至っては尊大に手をひらひらと振った。その様子を飛鳥が咎めるような視線を向けた。
「それではまず赤と青の聖銃士から発表してもらいます。呼ばれた候補生は前に出てきてください」
そう言って雨森は伊藤にマイクを渡した。
「ええと、赤は沢村さん、青は佐藤さん」
伊藤の声を聞き、沢村が驚いた顔をして立ち上がりながら堀川を見た。伊藤は飛鳥にマイクを渡した。
「まず、赤の聖銃士、渡辺さん、青の聖銃士、江原さん」
丁寧な言葉づかいで名前が呼ばれた学生が壇上へと上がっていく。それから飛鳥のマイクをぶんどるように鈴宮が名前を呼んだ。
「赤と青、天地謙、譲! こっちに来なさい」
ケンとジョーはハイタッチをして小さく朔也たちに手を振って、前に駆け寄っていった。
「次に黄と緑の聖銃士を……伊藤司令お願いします」
伊藤が恐々と鈴宮からマイクを受け取る。
「黄は小林さん、緑は山本さん」
二人の候補生が階段状の座席を下りて、前の方に集まる。
「黄の聖銃士として榎木さん、緑の聖銃士、広田さん。どうぞこちらに」
階段を降りていく二人に対して、壇上ではケンとジョーがにやりと笑いを交わしていた。飛鳥が手渡すマイクを鈴宮が奪い取った。
「黄、土屋華恋! 緑、五十嵐颯太!」
「えっ、ウチ?! マジかぁ!」
土屋と見られる女学生が騒がしく駆け降りていった。逆に前方に座っていた五十嵐は静かに歩いていく。
「では最後に白と黒の聖銃士を伊藤司令からお願いします」
雨森が粛々と進行させていく。いよいよ朔也のユニットが決まるのだ。
「それでは白、綿貫さん、黒……幽谷さん」
名前が呼ばれると幽谷はこちらまで聞こえるほど大きなため息をついた。壇上に立つ姿を見るとどうやら安堵の溜息だったらしい。綿貫と握手していた。飛鳥が軽く息を吸い、一呼吸おいて声を上げた。
「では発表します。白、鶴来さん、黒、長谷部さん」
みつきが驚いた顔をして樺倉と朔也の方を見た。立ち上がって壇上に行こうとしたその時、
「異議あり!」
鈴宮が高らかに手を上げていた。
「アタシのメンバーも白、鶴来、黒、長谷部よッ」
「なっ!?」
会場は一瞬でざわついた。しかし最も動揺したのは飛鳥だった。
「ちょっと貴方、さっきの事前会議の時は違うこと言ってたじゃない!」
「あぁれぇ? そんなこと言ったかな?」
あくまで鈴宮はとぼけるつもりらしい。
「事前会議は事前会議。本会議は今よ。仕来り通り、くじ引きで決めましょう?」
ぐっと飛鳥が口ごもる。
「それでは指名権をくじ引きによって決めます……二人ともどうぞ」
雨森がくじの入った箱を二人の間に置いた。
「せーので行くわよ!?」
こくりと飛鳥が頷く。
「「せーのっ!!」」
二人は紙切れを取り出し、同時に開いた。丸が書かれた紙を掲げたのは鈴宮だった。
「鶴来はアタシが貰うわ」
「……では私は長谷部さんと樺倉さん、こちらへ」
鈴宮は高らかな声で宣言した。
「アタシのユニットの最後のメンバーは真山、あんたよ! さぁ、来なさい!」
朔也は一瞬夢でも見てるかと思った。みつきと同じユニット、それもバディーになるなんて思ってもみなかった。壇上に上がるとケンとジョーが背中を同時に叩いた。
「やったぜ、俺たち同じユニットだ!」
「朔也まで一緒になるなんて、やっぱり俺たちツイてるな!」
もみくちゃにされる朔也にみつきがそっと手を伸ばして来た。
「これからよろしくお願いします。真山君」
「……よろしく」
みつきの手は温かく、それはまるであの最後のライブのオマージュのようだった。
「では、これでユニット会議を終了します。それぞれのユニットでミーティングに入ってください」
雨森が講義室を去った。鈴宮は腕を組み、仁王立ちのポーズを取った。
「さッ! さっさとミーティングに行くわよ。南棟三階のA室に集合」
鈴宮はヒールの音も高らかに、颯爽と講義室を出ていった。六人はまるで従者のようにその後に続いた。
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ユニット編いかがでしょうか。
次回「新ユニット」をどうぞよろしくお願いいたします。




