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魔法銃士の少年は美少女アイドルとともに竜の歌の夢を見る  作者: 三ツ矢 鼎
第一部 魔法学園編
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黒の聖銃士

 いつも通り左手の携帯端末によって朔也は目を覚ました。それから二十分かけて四苦八苦しながらもコンタクトレンズを入れることに成功した。それからブレザーに身を包み、朝食に出た。

 食堂には烏羽(からすば)寮の者たちはおらず、遠くに白の聖銃士に囲まれたみつきや緑の聖銃士と共にいる広田の姿が見えた。どうやら、寮によって違いがあるらしい。


 朔也は一人で朝食を済ますと、午前の射撃場に向かった。そこには既に鷹山が射撃場を整備していた。


「早いな、真山。発色したそうだな、おめでとう。どんな銃を選んだんだ?」

「これです」


 なるほどと朔也から手渡された銃をじっくりと検分(けんぶん)した。


「攻撃性の高い銃だ。真山の特性にも合っている。ただ発色して魔力が高まっているうえに、銃の威力も強いからきちんとコント ロールするように」


 鷹山は聖石銃を真山の手に返した。やがて須夜崎を除く六人がばらばらと集まった。


「射撃訓練開始」


 鷹山の号令と共に標的のパネルが立ち上がる。朔也は出来る限り力を抑えて引き金を引いた。模擬銃よりも大きな反動が朔也にかかる。一瞬よろめき、ゴーグルで標的を確認すると頭部の中心からかなり左に寄っていた。口径も以前よりも大きな穴が開いていた。


「真山、まずは中心に当てることに集中しろ。口径の調節はその後だ」


 はいと朔也は返事をして銀色の聖石銃を再び構えた。朔也は訓練時間いっぱい射撃を続けた。それを横で見ていた面影と漆原が言葉を交わす。


「……噂に聞いてたけど、本当に魔力量が高いんだな」

「本当。後ろの土壁がもうボロボロ。三時間休憩なしで撃ち続けてるけど、疲れる様子が全くないわ」

「よし、訓練終わり」


 鷹山の合図を聞くと烏羽寮の面々はさっさと訓練場を後にした。朔也もそれに遅れて訓練場を出た。



「どうでしたか、鷹山先生」


 片付けをしていた鷹山の後ろにいつの間にか須夜崎がいた。


「須夜崎か。あの銃、お前の見立てだろう」

「バレましたか」


 須夜崎は悪戯が発覚した子供のように笑った。


「あんな強力な銃を寄越すのなんてお前くらいだろう。発色してますます魔力が強くなった。おかげで整備にてんてこ舞いだよ」

「それはそれは。だけど彼は最後まで残っていてもらわないといけないから、少しばかりの老婆心(ろうばしん)ですよ」

「……長が研究所の連中とつるんで何を画策してるんだ?」


 その言葉に須夜崎は無邪気な笑みを深めた。


「ご存知でしたか。それはまた時が来たら。では彼らのことよろしくお願いします」


 鷹山は一瞬眼前が暗闇に包まれ、視界が戻るとそこには須夜崎はもういなかった。


 黒の聖銃士たちの午後は座学だった。気が付くと漆原がいなかった。


「漆原さんならユニットに出動要請が出たのでいませんよ。よくあることなので、あまり気になさらず。時々は単なるサポタージュの場合もありますが」


 墨村がずらりとネイルケアの道具を並べながら事も無げに答えた。それから教室に入ってきた九郎座は如何にもめんどくさそうにプロジェクターと手元のタブレットを接続した。


「あぁー、もう、何十回も聞いたやつもいると思うが、恒例の戦闘時の陣形、フォーメーションの確認だ。寝たい奴は寝ても良し。それじゃあ始めるぞ」


 プロジェクターに蛟と書かれた丸が出現する。


「基本、ユニットは六色六人体制だ。何故なら蛟が発色するまで何色になるか分からないからだ。何色になっても対応できるよう、ユニットというシステムを取っている。では次に発色したという前提で話を進めていく」


 赤と青、黄と緑、白と黒の六つの丸が現れた。


「各色、相克する色が決まっている。耳にタコができているだろうが、赤と青、黄と緑、白と黒……蛟の急所である額の核を破壊できるのはそれぞれ相対する色だけだ。それ以外の色の魔弾でもダメージを与えることはできる。しかし、同じ色の攻撃は双方無力化される。つまりお前らだと黒の蛟にダメージを与えることができないが、防御魔法を使う場合、完璧に相手の攻撃を無力化することが可能ということだ」


 蛟を現す丸の色が黒に変わる。


「この時、一番効果的な布陣はどうなるかわかるか? 面影ぇ、もう少し静かに寝ろ」

「……んぁ?」


 面影が欠伸をしながら目をこするという器用な真似をした。


「まぁ、いい。長谷部、答えろ」

「白の聖銃士をアタッカー、黒の聖銃士がブロッカーになるというのが一番効果的かと思われます」


 長谷部は淀むことなくさらりと答えた。


「そういうことだ。そのため。それぞれ相棒として相克する色の者と組む。三つのペアに一つのユニット。これが基本的な戦闘フォーメーションである。そしてその色を含むペアがフロントに立ち、残りの二組は援護という陣形をとる」


 加えてと九郎座が言葉を区切った。


「ユニット六名では劣勢の場合、援軍として超攻撃型ユニットとして単色だけでユニットを組むことがある。これは長がリーダーとなって即席で二人から三人の支援員で結成する。まぁ、大概手が空いてる聖銃士が選ばれるな……っと」


 九郎座が説明を続けようとした時、九郎座のくたびれたスーツの胸ポケットからコール音が鳴った。


「こちら、九郎座『クロユリ』の出動要請? あいよ。全員戦闘準備! トンボとゴーグルを装備して飛行訓練場に集合!」


 九郎座が低い声でがなると眠っていた面影もネイルのケアをしていた墨村も一斉に移動した。


お読みいただきありがとうございます。


次回「クロユリ部隊」をどうぞよろしくお願いいたします。

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