喧嘩と仲裁
荷物をまとめていると双子と樺倉が話していた。
「真由ちゃん、もう治癒魔法合格したの? 早くね?」
「才能あるな、真由ちゃん」
えへへと樺倉が心から嬉しそうに笑っていた。
「あたし、いつもドベだったからちょっと嬉しい。朝霧教官によると最後の実習は病院に行って実習するんだって」
「マジで? 外に出て魔法使うの?!」
「ああ、治すのにわざわざ先輩に怪我してもらうわけにもいかないし、そうなるよな」
双子と樺倉が楽し気に話していると、長谷部が後ろから現れた。
「民間人に魔法を使わなければならないのに、気楽なものだな」
「なんだよ、長谷部。魔力供給上手く行かなかった腹いせか?」
「そのねじくれた根性真由ちゃんに治してもらったらどうだ?」
長谷部はチラリと樺倉を見たが、無視した。
「女子相手にいい気になって飛び回ってる虫を払いに来ただけだ。見てて鬱陶しいんだよ」
双子が気色ばんだところで緑のネクタイをした学生が割って入った。
「なんだかよくわからないけど、ケンカは止めた方がいい。暴力沙汰起こして謹慎にでもなったらお互い時間の無駄だろう」
男子学生は手足が長く、涼やかな目元と通った鼻筋をした整った顔立ちだった。朔也はその声からして外部講義の際、質問していた学生だとわかった。
「それに発色前だったら、これからユニットを組むかもしれない相手とそんなに対立するな。これ以上、何かするようなら教官を呼ぶぞ」
長谷部はその言葉で双子に興味を無くしたように、さっさと結界室を出ていった。その後を榎木がゆっくりと追っていった。
「ありがとうございます」
樺倉が男子学生にお礼を言った。
「大したことないよ。そこの二人も簡単に挑発に乗って暴力に訴えないように。では」
男子学生は去っていった。事の次第を見守っていた樺倉と朔也はため息をついた。そこにみつきがやってきた。
「何かあったの、真由?揉めてたみたいだったけど」
「大丈夫だよ、みつきちゃん。ちょっと話してただけ。それじゃあ、また」
樺倉と満月も部屋を出ていった。残された双子と朔也も寮に戻ることにした。
「本当に長谷部の奴、ムカつくよな」
「ただ話してただけなのに、『鬱陶しい』ときたもんだ」
双子がぶつくさ文句を言うのを聞きながら、朔也は今日の長谷部の言葉に何となく引っ掛かりを感じていた。
「なんか、樺倉と話しているのが気に入らないみたいな感じだったよね」
「そうか?いつも通り嫌味を言うネタにされただけって思ったけど」
「どうせ俺たちのこと極楽蜻蛉とでも思ってんだろ、あんな奴とユニットは組みたくないな」
確かに楽観的なところが双子の長所でもあるが、長谷部にとっては気に障るのだろう。
「何かあったのかな、長谷部……」
「止めようぜ、朔也。あんな奴のこと考えても仕方ない。魔力消費した分、飯で補給に行こうぜ」
「そうしよう」
そう言ってジョーは勢いをつけてベッドから起き上がった。
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次回「防御魔法訓練開始」をよろしくお願いいたします。




