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朝食が終わっても雨のためすることが無い。

今日の分の飴は昨日の夕方売ってきたし、鶏卵や牛乳は雨の中でとってくる気がしない。探索も出来ないし、本当にすることが無い。同じ雨でも昨日は忙しかったが、昨日は異常だったのだ。


今日はのんびりできそうだと思ったところで問題が発生した。


日下部さんが熱を出したのだ。【ステータス】を確認してみた。




『日下部まつり

HP 277/277

MP 300/300

SP 201/283

状態異常:呪い(囚われの森)、病気(熱・呼吸困難)

スキル:火魔法』




状態異常に「病気」の表記があった。でもそれは見れば分かること。毒ではないぞってくらいの情報でしかない。症状も書かれているが、それも見たら分かること。あまり有益な情報は得られなかった。


日下部さんはかなり息苦しそうにしている。何とかしないと。



水上さんが【回復魔法】を試したが改善されない。



『水上柚希

HP 295/295

MP 212/312

SP 250/255

状態異常:呪い(囚われの森)

スキル:回復魔法』



そもそも水上さんの【回復魔法】はHP、SPの回復と怪我の治癒が効果なのだそうなので、病気を治療する効果は無いのだろう。


ソフィアさんの【錬金術】もまだ病気に効く薬のレシピは見つかっていない。


残る手立ては、俺が街に薬を買いに行くことだった。




道行く人に教わった道を辿り、薬屋にやってきた。

薬屋の中に入ると独特の匂いが漂っていた。率直に言うと臭い。

棚に壺やら乾燥した草やらが陳列されている。


店の人間だろう男がすり鉢で何かをすり潰していたので声を掛ける。



「作業中にすまない。友人が熱を出したのだが、何か効く薬はないか。」


「診察か?診に行こう。」


「あ、いや、診察はいい。」



森に連れていくわけにはいかない。



「だが診察せんと薬はだせんぞ。」



それはもっともだが、ファンタジーっぽい世界観なのだし、何でも治る薬とかないのだろうか。



「説明だけで何か用意できないだろうか。熱と呼吸が苦しいようだ。前日に雨に当たっている。」


「雨?まあいい。風邪だろ。用意するから待ってろ。」



男は幾つかの草や液体を取り出して調合を始めた。しばらく待つと黒いペースト状の物質が出来上がり、それを小瓶に入れて渡してきた。



「細い棒につけて舐めさせろ。朝晩1回ずつだ。」


「大丈夫なのか?」


「何がだ?」


「嫌、体に悪そうに見えるから。」


「薬ってのは毒でもあるんだ。飲み過ぎればなんでも体に悪い。」


「そりゃあそうだな。分かった。」



舐めさせる前に雪さんに【食物鑑定】して貰おう。



「2万円だ。」



高い気がするがしょうがない。料金を払って帰る。

薬屋は偉そう。そして怪しい。これで日下部さんが回復しなかったら二度と利用しないだろう。


金はまだあるためもう少し買い物を続けたいところだが、日下部さんが心配なので一旦帰る。美咲さんが待っていたのか、俺の転移ポイントの近くにいた。



「お帰りなさい。どうだった?」


「薬屋で容態を伝えたら薬を調合してくれたよ。これなんだけど、細い棒の先に付けて舐めろって。不安だから雪さんに【食物鑑定】して貰えるかな?」


「分かった。雪ちゃーん!」



雪さんが駆け寄ってきて美咲さんと話し出す。



「何?」


「これ、薬なんだそうだけど、鑑定して貰える?」


「分かった。【食物鑑定】。食用不可、不味い。微量なら気管支拡張効果。」


「あっ、ちゃんとした薬なんだね。よかった。」



美咲さんが俺に向き直る。



「大和君ありがとう。ちゃんとした薬みたいだから日下部さんに舐めさせてみるね。」


「うん。少量で試してみてね。」


「そうする。」



日下部さんについて俺が出来ることはこれくらいだな。後は天に祈るくらいしかない。

俺は神の存在を信じていなかったが、悪魔に出会い、神の力を使ったと言われたので、今は神の存在を知っている。でも祈るかは別の問題か。存在は知っていても、神が祈ったら助けてくれるような存在だとは思えないな。でも祈るのは只か。



「日下部さんの病気が治りますように。神様お願いします。」



祈ってみた。

当然ながら何も起きないが、もしかしたら俺たちを異世界に連れてきた神様が何とかしてくれるかもしれないしな。


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