表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『解任請負人』  作者: 二交代の看護師
第三部 ホスピス編
88/108

第88話 【依頼内容】


夜。


ホテル。


榊は一人で資料を見ていた。


高梨から受け取った資料。


訪問計画。


実績一覧。


記録。


どれも違和感はある。


だが決定打はない。


違法とも言えない。


そんな時だった。


スマートフォンが鳴る。


メディカルリンク本社。


「榊です」


電話の向こうから声がする。


「進捗はどうですか」


事務的な声だった。


「調査中です」


「対象者は」


対象者。


榊は少しだけ黙る。


その言葉を久しぶりに聞いた気がした。


「高梨真由です」


「問題行動は確認できましたか」


榊は窓の外を見る。


問題行動。


内部資料の持ち出し。


匿名通報。


会社批判。


確かに会社から見れば問題職員だ。


「まだです」


榊が答える。


電話の向こうが少し沈黙する。


「依頼主も急いでいます」


「……」


「対象者は外部通報を検討している可能性があります」


榊は目を閉じた。


そうだった。


自分は何をしに来た。


調査員ではない。


監査人でもない。


解任請負人だ。


依頼内容は最初から決まっている。


高梨真由の解任。


それだけだ。


電話が終わる。


静かな部屋。


机の上には高梨の資料。


その横には依頼書。


榊はゆっくりと依頼書を開いた。


依頼目的。


組織運営を阻害する職員への対応支援。


対象者。


高梨真由。


榊はしばらくその文字を見つめていた。


そして小さく呟く。


「面倒な依頼だな」


初めてだった。


解任対象に同情したのは。


しかし。


それでも仕事は仕事だった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ