第十二夜:世界を照らす
リオの素性が明らかになります……!
リオ視点です。
「……!」
シンシアから手を握ってきたことに、胸が高鳴る。
まさかシアが手を握ってくるとは思っても見なかった。
きっと、今までの日々はとても辛いものだったんだろう。
レイリアとオリアナがいた頃は2人に大切に育てられたと推測できるが、2人がいなくなってからの日々は……想像すらしたくない。
毎日、苦しそうに、悲しそうに泣く彼女の声を聞いていた。
たとえどんな日々でも、彼女にとってその日々は涙が止まらなくなるほどに耐えがたいものだったと知っている。
胸がぎゅっと締め付けられているみたいに苦しくなって、喉の奥がツンとする。
苦しいのは彼女の方なのに。
ずっと前から泣いていることを知っていたのに、どうしてもっと早くに会いに行かなかったんだろう。
そうしたら今頃、シアがこんなに苦しそうに顔を歪ませることだって、無かったかもしれないのに。
そう考えても時は過ぎてしまった。
わたしは悠久の命を持つ者。太陽の眷属の末裔であり、この世界の始まりから終わりまで、全てを照らし続ける使命がある。
どれだけ辛く暗い闇があろうと、それを照らすのがわたしの使命だ。
きっと、彼女はわたしを置いて旅立ってしまうだろう。
それで良い。
彼女が天寿を全うするまで、わたしにとっては蝋燭の燈のように短い時間でも、シアのとっては先の見えない迷路のような人生を、照らし続けよう。
わたしが生きてきた長い時間の中で、一等美しく、生涯忘れることの出来ない大輪の花のような笑顔。
今まで照らしてきた人々と同じように、わたしを置いていく彼女。
旅立つ時は、またあの呼吸を忘れてしまうほどの美しい笑顔を浮かべてほしいと思う。
彼女がわたしを置いていってしまっても、私は一生、初めて見せた笑顔と最後に見せる笑顔を忘れられることはないだろう。
そして、それがどれほど美しいものだったか語ることもできやしない。彼女の美しさは、言葉なんてちっぽけなもので語れることなどしないのだから。
その笑顔を胸に刻んで、わたしはまた、彼女のいない日々を照らし続けるのだ。
わたしの命は想像もできないほど長い。
これまで出会い、たくさんの思い出を紡いできた人の子たちはほとんどがもうこの世界にいない。
それでもわたしは覚えている。どれほど時が過ぎようと、思い出は色褪せることなくわたしの心を照らしている。
私がこの世界を去ったとして、その時にわたしを覚えている人はきっといないだろう。
どれだけ親しくなろうと、皆同じように時が来ればわたしを置いていくのだから。
——最後にはきっと、本当のひとりぼっちだ。
いや、誰の記憶にも残ることの出来ないわたしは、すでに本当のひとりぼっちなのかもしれない。
それでも太陽の眷属の末裔、リオ・ベネット・ガルシアは、この世界の始まりから終わりまで、世界を照らし続ける。
最後まで読んで頂き、ありがとうございます。
小説を書くのは今回が初めてだったので、色々調べながら書き進めてきました。なんとか一章を終わらせることができてホッとしています。
ここからはシンシアとリオが仲を深めていくほのぼのした話を書いていきたいと思っています。いずれは2人で街に行ったりするところを書きたいですね。
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