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私は親友と一緒に転生しました  作者: Black Spice/ブラック・スパイス
魔法の習得
7/11

悪い決断

 買い物は予想以上にうまくいった。いや、かなりうまくいった。


 買い物が終わる頃には両腕がいっぱいになり、ようやくマリアダが本当に喜んでくれると思えるものを見つけた。


 馬車での帰り道は静かだった。


 穏やかだった。


 ギルドの混乱、登録の失敗、アンリットについての奇妙な話――それら全てが今は脇に追いやられていた。


 誰もそのことに触れなかった。


 私も、レイナも。しばらくの間、全てが…普通に感じられた。


 屋敷の門が軋む音を立てて開いた。二人の衛兵は何も言わずに脇に寄り、馬車を通した。


 車輪は砂利の中庭を転がり、入り口の前でゆっくりと止まった。


「彼女、気に入ってくれるかな?」


 私は手に持った贈り物に目を落としながら尋ねた。


 レイナはかすかに微笑んだ。


「何をあげても喜んでくれるわよ」


 私は彼女を見た。それから贈り物に目を戻した。


「……でも、そういうことじゃないんだけど」


 小声で呟いた。


「何か言った?」


「いいえ」


 返事はすぐに返ってきた。


 その考えをじっくりと噛み締め、彼女のあらゆる反応を想像する間もなく、ドアが開いた。マリアダは既に外に立っていた。


 待っていた。


 まるでずっとそこにいたかのように。


 馬車のドアが開き、私たちは降りた。マーカスは何も言わずに馬車を脇に寄せ、いつもの停車場所へと導いた。


「ただいま」


 レイナは気だるそうに片手を上げた。


「おかえりなさい」とマリアダは答えた。


 しかし、何かがおかしい。


 彼女の姿勢は緊張していた。その下には、不安が影のようにまとわりついていた。


「……いかがでしたか」


「散々だったわ」


 レイナはためらわなかった。


「受付の人が思ったより鋭かったの」


 マリアダは身を硬くした。


「つまり……あの子のことに気づかれたということですか」


 レイナは立ち止まらずに彼女の横を通り過ぎた。


「そうかもしれない。何とも言えないけど」


 マリアダは振り返り、目でレイナを追った。


「もしそうなら、私たちは…」


「何もしないわ」


 その言葉に彼女は完全に言葉を詰まらせた。


「…何も?」


 レイナは振り返らなかった。


「大丈夫よ。急ぐ必要はないわ」


 彼女の声には自信が感じられた。しかし、確信はなかった。


 自分の言葉さえ、彼女自身を納得させられていなかった。


「あの忌々しいシンクラシス・クリスタルめ」と彼女は舌打ちしながら付け加えた。「あれさえなければ、登録は問題なく済んだのに」


 彼女はマリアダのそばで立ち止まった。


 マリアダの不安は募るばかりだった。


「申し上げたはずです」と彼女は言った。


「それで、私たちはどうすればよいのですか?」


 レイナは答えなかった。代わりに、少し向きを変えた。


「ねえ、見て」


 彼女の声は軽くなった。


 彼女は視線で示した。


「クライが何か持ってきてくれたの」


 マリアダは瞬きをした。


 彼女の視線は私に向けられた。


 私は両手を後ろに組み、歩前に出た。


 握力が少し強まった。


「メアリーさん…」


 声を震わせないようにしながら、私は言った。


「こちらに来てから、いろいろ大変だったでしょうから…何かお礼を…ささやかですが」


 両手を差し出した。


 白と紫のバラの花束と、小さな宝石箱。


「…あなたに」


 マリアダは固まった。


 贈り物を見つめ、目を見開いた。


 そして、私を見た。


「…クライ…」


 彼女は 一 歩近づいた。


 ゆっくりと、慎重に。まるでこの瞬間が壊れてしまうかのように。


 彼女は私の手から贈り物を受け取った。


 そして――彼女は私を抱きしめた。


「あまり心配しないで」と私は囁いた。


「きっと大丈夫」


 彼女の声はかすかに震えていた。


「…ありがとう」と彼女は静かに付け加えた。


 私たちは離れた。


 私は小さく頷いた。


「たいしたことじゃないよ」


 私は長居せず、


 振り返ってドアに向かった。


「…もう休む。疲れた」


「ゆっくり休んでね」


 レイナとマリアダは同時にそう言った。


 私は二人を残して中に入った。


 外では、マリアダの視線がしばらく私に留まり、それからレイナに戻った。


「少し妙でしたね……あの子は……なんというか、いつもより落ち着いているように見えました。登録が失敗した後ですから、もっと落ち込んでいると思っていたのですが」


「…うん。」


 レイナはためらった。


「…それなんだけど」


 マリアダは突然身を乗り出した。


「あの子が知っているのですか? どうしてそんなことに?!」


「落ち着いて」


「こんなことが起きて、どう落ち着けというのですか?!」


 レイナは黙って、マリアダに話させた。


 二人は書斎にいた。テーブルには薄暗いランプが灯っていた。屋敷の中で、薄暗い部屋はそこだけだった。


 マリアダは続けた。


「…それで、どうやって彼は知ったの?」マリアダは問い詰めた。


 レイナはため息をついた。


「あの子には隠し通せなかったの。受付嬢はかなり詮索好きだったし、それに、あのシンクラシス・クリスタルに全部バラされたし……あの子はそんなに馬鹿じゃないわ」


 マリアダは凍りついた。


 レイナは続けた。


「……あの子には魔法適性がないの。だから、その理由を説明しなきゃならなかった」


 その言葉は重くのしかかった。


 マリアダはすぐに部屋の中を歩き回った。


「これからどうするのですか? このままではいけません。あの子はきっとひどく落ち込んでいるはずです……」


「あの子は……思っていたより、ずっとうまく受け止めてくれたわ」


 レイナが口を挟んだ。

 しかしマリアダは歩き回ったままだった。


 …聞いてないわ、とレイナは思った。


「ちょっと!」


 マリアダは立ち止まり、振り返った。


「あなたには何も言わないように彼に言ったのよ」とレイナは言った。


 マリアダは瞬きをした。


「…言ったの?」


「ええ」


 レイナは腕を組んだ。


「だから、あなたには言わせなかったのよ。あなたは心配しすぎるから」


 マリアダは俯いた。それから、私が渡したプレゼントに目をやった。


「…だから彼は心配しないでって言ったのね」


 マリアダの顔に小さな笑みが浮かんだ。


 レイナはため息をつき、腰を下ろした。


「これで私たちにとっても悪くはないわね」と彼女は言った。「あの子はもう十分に知った。これで、自分だけ除け者にされているとは感じないでしょう」


 マリアダは黙っていた。


「…それに、治療の時が来ても、彼にとってショックにはならないはず」


「…そうだといいんだけど」とマリアダは囁いた。


 そしてすぐに――


「あぁ…もし、私が嘘をついたことで、彼に恨まれたらどうしよう?」


 彼女は再び歩き回った。


 レイナはかすかに微笑み、マリアダを見た。


「変わったわね」


 マリアダは立ち止まった。


「何が?」


「クライが来てから、あなたはもっと自分の気持ちを表現できるようになったわ」


 レイナは背もたれに寄りかかった。


「…みんな気づいているわ」


 マリアダはそっと眼鏡を直した。


「…私もあなたに同じことが言えるわ」


 レイナは一瞬目を閉じた。


「…ええ」


 ---


 翌日、訓練は再開された。私に言わせれば、早すぎるくらいだった。しかし、登録が失敗した以上、言い訳は通用しなかった。


「もう訓練再開なんて信じられない」


 マーカスの剣が私の剣にぶつかった。


 また。 そしてまた。


「強い者は休息を待たない」とマーカスは冷静に答えた。


 マーカスは剣を振るいながらそう言った。会話をしながらも、その動きは一切乱れなかった。


 私は防御したが、衝撃は毎回腕に伝わってきた。


 私は握力を強めた。


「お前…上達したな」


 マーカスは続けた。


 彼は再び攻撃を仕掛け、私はかろうじて受け流した。


「このまま…遅れをとっているわけにはいかない」


 今度は一歩踏み出し、剣を振った。


 マーカスは即座に反応し、攻撃を防いだ。


 それから彼は一歩後ろに下がり、低く抑えた笑い声を漏らした。


「…どうしたんだ?」


 私は彼に尋ねた。


 彼は答えなかった。


 代わりに、武器棚の方へ歩いていった。


 彼が何かを拾い上げると、木が軽く擦れた。槍だった。


「それだけ斬り込めるようになったのなら、次は別の武器に移ろう」


「え?」私は首を傾げた。「剣しか使わないんだと思ってました」


 彼は振り返った。


「それが重要だと思うなら」彼は落ち着いた声で言った。「来い」


 彼は再び槍を回し、脇に構えた。片手で私を手招きした。


 私は凍りついたように立ち尽くした。


 そして剣をさらに強く握りしめた。


 汗が頬を伝い、私は唾を飲み込んだ。


 マーカスの構えが変わり、次の瞬間、彼は動いた。


 彼の手に握られた槍が突き出された。かろうじてそれを払い除けた。


 そしてまた、また。


 嵐のような攻撃に圧倒された。


 どうやってあんなに自在に操っているんだ?!


 そう自問した。


 私は受け流し、踏み込み、体をひねった――かろうじてついていくのが精一杯だった。


 その時――ひらめきが訪れた。


 次の突きが来た。


 私は受け流した。


 しかし今度は――私は突きに踏み込み、距離を詰めた。


 木と木が擦れる音を立てながら、私は無理やり近づいた。


 彼の頭めがけて斬りかかった。


 彼の目が大きく開かれ、間一髪で後ろに身を引いて、かろうじて避けた。


 今だ!


 振り下ろしの途中で体勢を立て直し、刃を振り下ろした。


 完璧だ。


 今度こそ彼に逃げ場はない。


 そう思った。


 まだその勝機を味わっているうちに、マーカスが私の手首を掴んだ。


 あっという間だった。


「…悪くないな」とマーカスは言った。「なかなかやるじゃないか」


 私は息を呑んだ。


 そして、彼は体をひねった。


 世界がひっくり返ったように感じた。彼は私を空中に振り上げ、そのまま前方に投げ飛ばした。


 背中が地面へ向かって落ちていった。


 しかし、私は体をひねり、剣を地面に突き刺して落下を止めた。


 顔を上げると、瞬きする間もなく、彼はすでに動き出していた。


 私も立ち上がり、彼に突進した。そして、私たちは真ん中で激突した。互いに剣を交えた。


 また。 また。


 彼が攻撃し、私はかわしたり防いだりした。そして、私も同じように彼に攻撃を仕掛けた。


 私たちは膠着状態ではなかったが、私はなんとか攻撃を受けずに済んだ。


 マーカスは手加減しているようだった。それは誰の目にも明らかだった。なぜなら、私のような素人が、彼が槍のような遠距離武器を使っている時に近づくことなど到底不可能だったからだ。


「今度こそ、お前を倒してやる」


 私は自信満々に言った。


 マーカスは首を少し傾げた。


「そう思うか?」


「もちろん……」私は剣を握りしめた。「槍の方が苦手なんだろ」


「…」


 マーカスはすぐには返事をしなかった。


 そして、彼は笑った。


 低く抑えた、緊張感の全く感じられない笑いだった。


「その通りだ。だが、お前が剣を扱うよりは、俺の方が槍を扱える」


「え?」


 私は困惑して眉をひそめた。


 私がさらに問い詰める間もなく、彼は動き出した。


 彼の手に握られた槍が、私には理解できない動きでねじれた。彼はただ防御しているのではなく、まるで武器が生きているかのように操っていた。私の攻撃は難なく方向を変えられ、軌道から逸らされた。


 そして、私の体は激しく揺さぶられた。視界が揺れた。


 彼の槍が私の首を絡め取った。


 反応する間もなく、彼は体をひねり、私を前方に投げ飛ばした。


 地面が迫ってきたが、かろうじて足が地面に食い込み、完全に倒れることは免れた。


 私はよろめいた。


 彼はゆっくりと私に向かって歩いてきた。


 しかし、彼の槍が再び振り上げられた瞬間、すべてが変わった。


 彼の次の攻撃はあまりにも速かった。


 槍は回転し、小刻みに、しかし制御された円を描いていた。回転するたびに攻撃の角度が変わる。私は防御しようとしたが、柄に触れるたびに、槍は滑り、逸れ、方向を変えた。


 そして、私の握力が尽きた。


 剣が手から飛び出した。


 次の瞬間、私が感じたのは痛みだけだった。


 彼はあらゆる方向から攻撃してきた。


 腹部への突き。脇腹への打ち込み。上から叩きつける一撃。


 もうついていけなかった。頭を守るために両手を上げるのが精一杯だった。無駄だった。


「くそっ…」


 その言葉が口からかろうじて漏れた。


 足が震えた。


 マーカスが止まった。


 彼は槍をしっかりと地面に突き刺し、何事もなかったかのように私を見た。


 その後、私の体は力尽きた。


 片膝をついた。大げさな仕草ではなく、ただ…崩れ落ちた。


 呼吸が乱れ、荒く、苦しそうになった。


 痛みが波のように全身に広がった。


「相手が自分の見たものだけしか使えないと思い込むな」とマーカスは静かに言った。「時として、相手はそう信じ込ませようとするんだ」


 言葉の一つ一つが、殴打よりも重く響いた。


 彼は少しだけ屋敷の方へ顔を向けた。


 そして付け加えた。


「ヴェーダを呼んで、お前を治療させる。治療が終わったら続きをしよう」


 そう言って、彼は去っていった。


 彼の足音は家の方へと遠ざかっていった。


 私は仰向けに倒れ込んだ。


 頭上には空が広がっていた。


 何もない、静寂。


 手が視界に入った。


 私はその手を見つめた。


 開いたり閉じたり。


 また開いたり。


 その時、何も考えられなかった。ただ、苛立ちだけがあった。


 毎回。


 負けるたびに、同じ苛立ちが込み上げてくる。


 私はゆっくりと起き上がった。


 横をちらりと見た。


 ヴェーダ、ずいぶん遅いな。


 私は一人、静寂の中に座っていた。けれど、その静けさは別のものを生む余白になった。


 一つの考え。


 このままではいられない。


 魔法がなければ…奴らに太刀打ちできない。


 体を起こし、服についた埃を払った。


 その時、森に気づいた。


 森は屋敷の端に静かに佇んでいた。まるでずっと見守っていたかのように。


 私の視線は、必要以上に長く森に留まった。


「見てみても…」と私は呟いた。


「…どんな怪物がいるのか、確かめてみるのも悪くないだろう」


 口元に笑みが浮かんだ。


 歩み寄り、落ちていた剣を拾い上げた。そして、再び森の方を向いた。


「レイ師匠はきっと怒るだろうな。それにメアリーさんも……心配するだろうし」


 まるでそれが重要なことであるかのように言った。


 まるでそれで私が止められるかのように。


 でも、許可を求めるべきかどうかさえ、少しも考えなかった。


 森の方を向き、歩き始めた。


 ヴェーダを待たなかった。途中で彼女に見つかる可能性など、全く考えもしなかった。


 彼女はレイナのことが大好きだから、もし見つかったら、すぐに私を止めようとするだろう。


 それだけは避けたかった。


 いや、実戦で自分の力を試す相手が必要なんだ。

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