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第四章「変わる世界と、変わらぬ願い」Wパート:「信仰と味覚と、AIの橋渡し」

 早朝、トーキョーヤ駅前の空気はまだ涼しく、長距離からのエアポートリムジンバスが到着するたびに、海外からの旅行客が次々と降り立っていた。

 その中に、私たちが案内することになったワーランド国から来た外国人カップルの姿もあった。

 彼らはワーランド国語しか話せず、会話はすべて機械翻訳を通さなければならない。アイは早くも翻訳モードを起動し、笑顔で挨拶する。

「ようこそ、トーキョーヤへ」

 女性はにこやかに返すが、男性は緊張した面持ちで、少し距離を取っている。宗教的な背景から、AIに対して不信感を抱いていると聞いていた。

 しかし今回は、彼女が「AIさんぽ」の熱心なファンであり、強く推したために同行が決まったらしい。

 まずは朝食。二人の食事制限は、男性がベジタリアン、女性がハラール(豚肉とアルコール及びそれらが使用された材料「ハムや酒粕等」の禁止)。

 アイは瞬時に条件に合う和食の店を検索し、数分後には野菜天ぷら、豆腐ステーキ、梅や昆布のおにぎりを並べたテーブルの前に座っていた。

 続いて寿司屋では、カッパ巻き、御新香巻き、干瓢(かんぴょう)巻き、稲荷寿司など、魚を使わない寿司を紹介。さらに饅頭や煎餅、善哉、抹茶アイスといった和菓子も提案する。

 男性は最初こそ「魚がない寿司?」と首をかしげたが、口に入れた瞬間、目を見開いて「……うまい」と一言。

 食後、女性がふと時計を見て小声で何かを言う。翻訳すると「礼拝の時間が近い」という。

 それを聞いたアイは、すぐに告げた。

「礼拝まで、あと十七分。最寄りのマスジットは徒歩五分です。ご案内します」

 二人は驚き、特に男性は一瞬だけ眉を上げた。

 歩きながら、アイは女性に向き直る。

「この施設に入る際、髪を覆う必要があります。お持ちでなければ、近くでスカーフを購入しますか?」

 急ぎ近くの店で淡いブルーのスカーフを選び、女性が試しに肩へ掛けた瞬間、アイはそっとそれを自らの手で優しく髪を覆った。

「柄の意味は『平和』。似合っています」

 女性は小さく息を呑み、男性は低く呟いた。

「……これは本当に我々を理解している」

 マスジットに着くと、アイは礼拝方位(キブラ)を示し、二人が中に入るとカメラを停止。

 代わりに自分の頭にも薄いスカーフを巻き、静かに施設の外で待った。

 その姿は、ただの観光ガイドではなく、文化の橋渡しをする隣人のようだった。

 礼拝を終えた二人が出てくると、男性の表情は明らかに柔らかくなっていた。

「あなたと過ごす時間は、安心できる」

 その言葉に、ツナもまた心の奥で何かを感じ取っていた。

 数日後、この一連の出来事を記録した「AIさんぽ」動画が公開されるや否や、海外SNSで爆発的な反響が起きた。

「宗教とAIは共存できる」

「理解し合おうとする姿勢こそが未来」

といったコメントが並び、再生数とフォロワーは急増。

 そして動画の締めくくり、男性がカメラに向かって言った一言が、多くの人の胸を打つ。

「私は今日、一つの壁を壊せた」

 その笑顔は、国も信仰も超えて、世界中の視聴者に届いていった。

この作品は「空銃(人間)× AI(構成協力)」による共作です。

ツナ(人)とアイ(AI搭載ロボット)の関係のように、互いの違いを認めながら一緒に旅する物語です。

ブクマからの「しおり」機能をお使い頂ければ幸いです。 「空銃 × AI」


今回の一言

「信じる心こそが、共に歩む未来の扉を開くのです」 AI

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