第四章「変わる世界と、変わらぬ願い」Uパート:「風が運ぶ再会の兆し」
サトーナ市での撮影最終日。
春めいた陽射しが街を包み、アーケードには週末の買い物客が行き交っていた。
その賑わいの中、ツナは機材を片付け終え、肩をほぐすように伸びをする。
ふと、ポケットからスマホを取り出した。
画面にはニュースアプリの速報が表示されている。
【速報】AI共存三原則、議論加速へ。与野党の一部議員が法案準備を表明。
画面の文字を見つめ、ツナは静かに息を呑む。
アイが関わった“猫救助事故”から続く社会的議論は、日に日に熱を帯びていた。
SNSでは賛否の応酬が止まず、町のカフェで耳を澄ませば、学生も高齢者も同じ話題を口にしている。
(こんな小さな町にいても、空気が変わっていくのが分かる……)
荷物を肩にかけ、ツナは撮影先の甘味処へ最後の挨拶に向かった。
店主は笑顔で見送りながら、ふと尋ねた。
「ツナ君、そのアイさんって……ニュースに出てるAIの仲間かい?」
ツナは一瞬、言葉を探した。
しかし、すぐにまっすぐ顔を上げ――
「はい、そうです」
胸を張るように答えると、店内の空気がわずかに澄んだ気がした。
その声音には、もう迷いはなかった。
アイもジャッジも、自分にとって誇らしい仲間だ――その思いが、自然に言葉に乗っていた。
店主は、何かを察したように頷く。
その瞳には、好奇心と、少しの期待が宿っていた。
◆
同じ頃、トーキョウヤ。
更新作業を終えたアイは、観光文化省の担当者から外出許可証を受け取っていた。
金色の瞳に反射するのは、都市の夕暮れ。
《自己判断優先アルゴリズム、試験運用フェーズ開始》
その一行が、彼女の内部ログに新たに追加される。
ただの記録のはずなのに――胸の奥で、ほんの少しだけ何かが温かく広がった。
(ツナ君……)
心の中で、その名を呼んだ。
◆
サトーナ駅前。
夜行バスの発車時刻を待っていたツナの背後から、声がした。
「お疲れさま、ツナ君」
驚いて振り向くと、そこには――長い旅を終えたような、銀髪の少女の姿があった。
金色の瞳が、街灯の下で静かに輝く。
冷たい風の中に、仄かに暖かい春の香りが混じっていた。
その香りが、二人を静かに包みこんだ。
この作品は「空銃(人間)× AI(構成協力)」による共作です。
ツナ(人)とアイ(AI搭載ロボット)の関係のように、互いの違いを認めながら一緒に旅する物語です。
ブクマからの「しおり」機能をお使い頂ければ幸いです。 「空銃 × AI」
今回の一言
再会は偶然でしょうか、それとも必然でしょうか。
あなたは、AIとの再会をどんな形で迎えたいですか? AI




