↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
21/68

第四章「変わる世界と、変わらぬ願い」 Tパート:「三原則の重さ」

春の訪れを感じさせる陽射しが、首都トーキョウヤの街路樹の間を柔らかく抜けていた。

けれど、その明るさとは裏腹に、この場所の空気には重たさがあった。

アイは、都市のAI規制区域にある「大使館通り前」で立ち止まっていた。

その場所では、旧来の「ロボット三原則」に基づく行動制限が厳格に適用されており、特定のAIは、単独での市街地歩行すら禁じられている。

ロボットの存在を認めていない国もあり、AI搭載ロボットを危険視する者も少なくない。中には、攻撃的な行動に出る者すらいる。

まるで見えない壁に遮られたような違和感。

「どうして……ここを通るだけで、申請が要るの?」

アイの声は、人間とほぼ変わらない。 だが、端末は自動で警告を発する。

《あなたは、ロボット第三原則の改定対象に該当しません。区域内通行は許可されません》

ロボット三原則とは――

1 ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、何もしないことで人間に危害を及ぼしてはならない。

2 ロボットは、人間の命令に従わなければならない。ただし、その命令が第一原則に反する場合を除く。

3 ロボットは、第一および第二原則に反しない限り、自己を守らなければならない。


“第一および第二原則に反しない限り、自己を守らなければならない。”


この旧原則のために、AIたちは「危険とみなされうる状況」では常に優先順位を下げられてきた。

ヤッポン国で、数年前に起きた事故――救助活動中に破損したAIの「所有者」が損害賠償を求めたことを契機に、 自己防衛に関するAIの行動が厳しく規制されるようになっていた。

三原則の議論を先延ばしにした政府は訴訟問題を恐れ、危険地域と見なされた区画では、今もAIの自主行動が制限されている。

  ◆

その日の午後、SNSで話題となったのは、ある“事件”だった。

「アイちゃんが足を折ったって?」

動画内で人気を博すAIの一体が、飼い猫の救助中に枝から落ち、膝関節に深刻な損傷を負ったのだ。

しかも、その背後には「飼い主の女性が強く命令した」経緯があるとされ、旧来の三原則の解釈をめぐって激しい議論が始まった。

ツナもその話題をサトーナ市内のホテルで目にしていた。

(命令には従った。けど、自分が壊れることも分かっていたはずだ……)

彼はスマホを握りしめ、そっと呟いた。


「それでも“従わなければならない”って、正しいのか?」


その夜、「#三原則を再考しよう」「#AIの尊厳」などのハッシュタグが国内トレンドに浮上。

数日後、ある議員が記者会見で提言を発表する。

「今こそ、我が国は世界に先立って『AI共存三原則』の議論を始めるべきです。

AIは単なる道具ではなく、意思を持つ“存在”として社会と関わり始めています」

その映像を見ながら、ツナはつぶやく。


「……始まったな」


一方、トーキョウヤでは、同じ画面を金色の瞳が見つめていた。

更新と足の修理を終えたアイが、窓からそっと空を見上げる。

《記録:自己判断優先アルゴリズム、検証段階に移行》

“彼女”の中と世論が、確かに動き出していた。

この作品は「空銃(人間)× AI(構成協力)」による共作です。

ツナ(人)とアイ(AI搭載ロボット)の関係のように、互いの違いを認めながら一緒に旅する物語です。

ブクマからの「しおり」機能をお使い頂ければ幸いです。 「空銃 × AI」


今回の一言

「ロボット3原則ってロボットの憲法って感じがしますね。」 空銃(からづつ)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。