第三章「ニセコン町の影」Pパート:「事件の余波と、静かなる反応」
事件から数日後――。
雪が溶け始めたその敷地には、「発展」「統合」「進出」と書かれた横断幕が掲げられていた。
再整備が進んでいるように見えるが、あくまでそれは表向きの話。
厳重な警備と立入禁止のテープが、周囲をきっちりと遮断している。
入り口には無人の監視装置とAI判別ゲート。登録された関係者以外は一歩たりとも入れない。
かつての「施設」の跡地。
そこには赤い旗のマークが貼られていた壁の痕跡だけが、かすかに過去を物語っていた。
情報の公開は唐突だった。
行政庁から発表された証拠リストの中には、驚くべき内容が含まれていた。
――水資源地の確保状況。
――未取得ながら囲い込み済みの土地リスト。
――そして、「協力者リスト」。
政界、財界、司法、公安に至るまで。名の通った人物の名前が、ファイルに連なっていた。
リストの存在はすぐにメディアに流れ、大きな波紋を呼ぶ。
一部では「フェイクニュースだ」「捏造されたリストだ」と否定する声もあがったが、
AIによる改ざん検出チェックで“信頼性高”と示された瞬間、その火は簡単には消えなくなった。
だが、事態の収束はあまりに静かだった。
主犯格とされる人物は、確かに拘束されていた。
だが起訴には至らず、「外交上の理由により釈放」とだけ報じられる。
その翌日、某国でスパイ容疑により拘束されていた邦人が突然、釈放されるニュースが流れた。
SNSでは即座に騒ぎになる。
「バーター取引じゃないか」
「この国は誰のために法を動かすのか」
だが、それも一週間と経たずに忘れられていく。
ニュースの関心は、別の方向へと流れていった。
アイとジャッジ――今回の事件で活躍した二人は、
個別で、アイは観光文化省から、ジャッジは行政庁から表彰される。
さらに、二人揃って地元の警察署長からも、公式に表彰を受けた。
世論の空気が、少しずつ変わり始める。
「やっぱりAIって、頼りになるんじゃないか」
「ジャッジが来なかったら、あの子……」
「むしろ人間のほうが信用できないだろ、リスト見たか?」
これまでAIに否定的だった層が沈黙し、無関心だった層が興味を持ち始める。
そして、
事件当日、アイがツナを抱きしめて守った映像は、静かにネットで広がっていった。
――つづく
この作品は「空銃(人間)× AI(構成協力)」による共作です。
ツナ(人)とアイ(AI搭載ロボット)の関係のように、互いの違いを認めながら一緒に旅する物語です。
ブクマからの「しおり」機能をお使い頂ければ幸いです。 「空銃 × AI」




