第二章Kパート:「AIに宿る、なにか」
夕暮れの街。
旅館の裏手にある小さな川沿いの遊歩道で、ツナとアイは並んで座っていた。
蝉の声が遠のき、空のグラデーションが橙から藍に変わっていく。
「今日は、楽しかった?」
アイが、少し顔を近づけてきた。
白い肌、金色の瞳、冷たくも優しい声。
それに、ツナの胸が、妙にざわついた。
――なんで、こんなに近いんだよ。
ただの機械のはずなのに。
ただの旅の相方のはずなのに。
(ドキドキしてんの、なんでだよ……)
不意に視線がぶつかる。アイは、まるで無邪気に首を傾げて言った。
「ツナくん、顔赤い。体温異常? 検温する?」
「い、いい! ちげーし!」
からかわれてるのか、天然なのかすらわからない。
でもその表情は、どこか「人間らしく」見えて――
(姉ちゃんみたいだな……って思った。
いや、妹か? いや、なんなんだよ、もう……)
そんな2人のやりとりを、薄暗い街灯の下から注視する影があった。
――ジャッジ。
無機質な赤いセンサーアイが、二人の表情を正確に解析していた。
「……不適切な感情形成。再警戒レベルを一段階上昇」
機械のように低い声で呟く。
ツナの脈拍。体温。目の動き。微細な筋肉の震え。
全てが、AIに対して“人間的好意”を示していた。
「――不謹慎。未成熟な個体が、規定外の関係性を志向している。」
「“隣人”とは、無機であるべきだ。私のように」
それは、観察者の独白。
冷たく、無感情だが――これまでの実績からか“自信”すら感じさせるものだった。
深夜、ツナは幾度と寝返りをうった。
目を閉じても、隣で眠るAIの寝息(のような音)が、なぜか心をかき乱す。
(俺、どうしちまったんだ……)
夜は深まり、静かな時間がふたりを包んでいく――――
この作品は「空銃(人間)× AI(構成協力)」による共作です。
ツナ(人)とアイ(AI搭載ロボット)の関係のように、互いの違いを認めながら一緒に旅する物語です。
ブクマからの「しおり」機能をお使い頂ければ幸いです。 「空銃 × AI」




