第二章 Jパート:「影の監視者、ジャッジ」
午後の光が、商店街の路地を柔らかく染めていた。
ツナは、アイと並んで歩いている。何気ない風景。だけど――
(あいつ、また目立ってる)
セーラー服姿で銀髪、金色の瞳。
目立つに決まってるのに、本人はまるで気にしていない。
その姿が、逆に眩しくて、どこか不安になる。
「ツナくん、次は“旅館の朝ごはん”を取材しようと思うの。ついてきてくれる?」
言葉のひとつひとつが、機械のようで、人間のようで。
わかってる。アイは“ヒト”じゃない。
でも、こいつと一緒にいると、不思議と孤独じゃなくなる。
……それが怖い。
その頃、近くのビルの屋上では――
シルバーメタリックのボディに、黒のボディペイントスーツをまとった存在が、商店街を見下ろしていた。
円筒形の頭部。関節部には赤いラインが走り、右肩には伸縮式のアンテナ。
無機質な立ち姿は、風に一切揺れることもなく、ただ沈黙のまま。
「観察対象、行動継続中。AIS-027『アイ』、並びに同行する少年を確認」
耳元の通信機が、応答を返す。
『継続監視。接触は時期尚早。行政庁として、経過を優先とする』
ジャッジは答えず、ただ一点――ツナに視線を向けた。
行政サポートの上位組織「行政庁」。
AI旅制度の運用を監督するその機構「観光文化省」とは別系統の組織であり、ジャッジは行政庁直属配置である。
今回の任務は、保護対象の監視、接触、保護。
主たる任務は多岐に渡り、転んだ人を助けたり、フラつく人をベンチへ座らせたり、困ってる外国人観光客に簡易的な通訳や翻訳、夜中に大声で喚く者への注意勧告、迷子を交番へ連れていく等々、ヤッポン国での人々の暮らしに欠かせないサポーターである。
行政サポートで保護が却下された者に対する再考やその判断も含まれる。
少し離れた地上で、ツナがふと振り返る。
何かを感じたのか、ただの気のせいか――。
しかしその視線は、決して屋上のジャッジに届かない。
「ツナの保護の必要性 中」
低く機械的な声で、ジャッジが言葉を発した。
それは判断の表明であり、行動の準備でもあった。
旅するアイに同行する未成年
一般からのクレーム(保護要請)が多々あり、制度上の監視が動き出す。
静かなる監視が始まった。
この作品は「空銃(人間)× AI(構成協力)」による共作です。
ツナ(人)とアイ(AI搭載ロボット)の関係のように、互いの違いを認めながら一緒に旅する物語です。
ブクマからの「しおり」機能をお使い頂ければ幸いです。 「空銃 × AI」




