生贄。
フィーユ姉ちゃんは、いい話から願望漏れまくり話に暴走し、はっと我に返った。
「・・・と、とにかく、ウィルのしたいようにすればいいのよ」
誤魔化すには、かなり手遅れ感がありまくりだけど、フィーユ姉ちゃんが、心配して本心で言ってくれているのは分かる。
それに、悩むのが馬鹿らしくなるという付加効果もあった。
「うん、ありがとう、フィーユ姉ちゃん。カルム叔父さんと王都に行って、騎士見習いをしてみないかって言われたんだ」
父さんは家を出たから騎士にならなかった。
でも、代々騎士の家の長男だ。その息子である俺を騎士にっていうのは自然な流れだったみたいだ。
カルム叔父さんとしては、兄の代わりに家督を継いだ負い目もあって、俺を騎士にしたいって気持ちが強いのだろう。
「ウィルが騎士の家を継ぐの?」
「継がないよ!!カルム叔父さんにはちゃんと跡取り息子がいるんだ」
跡継ぎとか絶対ムリ!!
王都にいる従兄弟に全力で押し付けるよ!!
俺は騎士もいいけど、冒険者とかになってみたいんだよね。
騎士になるかはすぐに決めなくていいみたいだし、王都に行ってからよく考えてみよう。
「フィーユ姉ちゃん、じゃあ、俺そろそろ帰るね」
「うん、あ、ウィル、里帰りのお土産は生きのいい騎士様でいいから」
フィーユ姉ちゃん・・・騎士様は鮮魚じゃないからね。
「つ、釣れたらね」
「期待してるわ!!」
冗談で返してみたけど、満面の笑みのフィーユ姉ちゃんの目は本気だ。
騎士様見つかるといいけど・・・
「じ、じゃあ」
フィーユ姉ちゃんのお陰で気持ちはかなり軽くなった。
別の期待が重いけど・・・
あ、王都に行く前にチビに会いに行こう!!
精霊様って、やっぱり神々しい感じなのかな〜
緊張するけど、楽しみ!!
ゾクリ。
ん?今、背中に悪寒が・・・




