真剣な問い。
死体さんは見事生還を果たした。
カルム叔父さんの持っていた上薬草のお蔭だ。
まだ若い冒険者で、弱い魔物と闘って経験値を稼いでたみたいだけど、逃げたスライムを追いかけてたら強めの魔物に襲われたそうだ。
弱肉強食とは、このことだね。
そう!!ここで俺は気付いた。
チビを襲ったの、コイツじゃない?
まあ、分かんないし仕方のないことだけど・・・
「なあ、あの冒険者、隣の国の奴なんだってさ。パーティー組んでたけど、足手まといだって言われて追いていかれたらしい」
「へ~ひどいな」
情報提供者が盗み聞きの全てを教えてくれる。
死体さんは村長の家に運ばれたから、ルラックは詳しい。
「血がいっぱい出たから、しばらく安静なんだってさ」
「血塗れだったからな~」
「おお!!すごかったんだろ?」
「ああ、で、聞いた?」
「聞いた・・・」
死体さんのせいで俺たちは大変な打撃を受けることになった。
なんと、秘密基地が壊されたのだ。
「血塗れのまま放置するのは不味いし、調度空き家だからって・・・ひどいよな~」
「俺たちが基地にしてるのがばれたせいもあるだろうけど」
「な~」
ハァ、俺たちはそろって溜息をついた。
失ったものはデカかったけど、まあ、死体さんが無事だったし仕方ないと思おう。
「じゃあ、俺、そろそろ新情報を仕入れに帰るよ」
「ああ、俺も帰る。最近、母さんの目が厳しくてさ・・・」
「ああ、俺も・・・」
「母」という生物は恐ろし過ぎる。
俺たちの頭に、自業自得、という文字がチラつくが勇敢に無視した。
そう、俺たちは、すでに悟っているのだ。
大人しそうな女の人も優しい女の人も可愛らしい女の人も、何れ「母」という強くて恐ろしい者になることを。
「女性には逆らうべからず」とフィーユ姉ちゃんもいつもその身を以て(行動で)教えてくれてる。
あれが隠れてない素質ってものだろう。
「リク、帰ろっか。チビに会いに行きたいけど、なかなか行けないな~」
足元のリクを撫でると、リクがモコモコの毛玉を押し付けてくる。
リクは魔獣だ。
魔獣といっても、凶暴な種類ではなく魔法なども使えない。
大人しく飼いやすい性質なので、人に慣らして調教したものを愛玩魔獣として貴族の家で飼われてたりする。
白くてモコモコなので、抱いて寝ると暖かいし気持ちいい。
ただ、どのようにして生まれているのかは謎で、小さい体のまま成長せず、短命だ。
俺は偶然、森で弱ってたのを拾った。
で、俺の相棒になった。
「ただいま~」
家のドアを開けると、父さんと母さん、カルム叔父さんが同時に振り返った。
みんな、固く真剣な表情だ。
ん?俺何かしたっけ?
身に覚えは、まあ、あるよ。
アレか?コレか?ん~まさかアレ!?
「みんな、怖い顔してどうしたの、かな?」
恐る恐る尋ねてみる。
「ウィル、そこに座りなさい」
お~、説教の流れだよ。
ハア、カルム叔父さんまで真剣な顔ってなんだろう?
「ウィル、おまえ、騎士になりたいか?」
唐突に父さんが言った。
は?




