火サス。
今日はいい日、のはずだった。
ヌワールに乗せてもらえて、フレーズの実も摘めた。
しかも、カルム叔父さんのお陰で薬草が生えてるところまで行けたから、薬草も採れた。
そして、今、血塗れの死体が目の前に転がってる。
マジか!?どうしよう!?
生き物はもう拾うなって言われてるし、いや、生きてないならいいのか?
違う違う、不謹慎過ぎた。死体さん、ごめん。
混乱してまともに考えられない。
だって死体!!で、血塗れ!!
これはアレだよな。第一発見者は何か見たと思われて狙われるんだ。そんで、悪い奴らがほぼ殺されたところで探偵が崖で謎を解くっていう・・・・・・
よし、落ち着こう。
ここは村の外れで俺と村の仲間の秘密基地だ。
実はここでチビを拾った。
秘密基地は空き家になったボロい小屋だ。
チビもこの人(死体)も村の中のこの小屋に入れたってことは、村を囲ってる柵が壊れてるのかもしれない。
「う、う、ぅ」
っっ!!死体がしゃべった!!
いや、生きてる!!
ヤバい、呑気に混乱してる場合じゃなかった!!
ワウ!!
おお、リク、久しぶりの登場だな!!
忘れてたわけじゃないから安心してくれ!!
ホントだよ?
「リク、この死体さんを見ててくれ!!父さんを呼んでくる!!」
俺は大急ぎで家に駆け戻った。
バタン!!
「父さん!!死体さんが生きてる!!」
「!!生ける屍!!魔物!?」
父さんとカルム叔父さんが椅子を揺らして立ち上がった。
「違うよ!!あー、だから、ケガ人!!」
「紛らわしい言い方をするな!!どこにいる!?」
「村外れの空き家だよ」
俺が答えると、父さんとカルム叔父さんは用意を整えて戸口に急いだ。
「ウィル!!村長に知らせてきてくれ!!」
「分かった!!」
村長の家は村の中ほどにある。
人の好さそうな爺ちゃんだ。
「村長!!村の外れの小屋にケガ人がいて、今、父さんとカルム叔父さんが見に行ってる!!」
俺が庭先にいた村長に訴えると、笑顔だった顔が緊迫したものに変わる。
「なんと、よし、荷車を用意して人を向かわせよう。大事ないといいが」
「よう、ウィル!!ケガ人ってマジで!?」
村長の孫のルラックが興奮気味に聞いてくる。
「ああ!!俺たちの秘密基地で見つけたんだ!!」
「よし、行くぞ!!」
「待ちなさい。お前たちは留守番じゃ、ウィル、ジョリーが心配してるはずだ。家に戻りなさい」
ルラックが走り出そうとすると、村長の静止の声が割って入った。
「え~~祖父ちゃん、俺も行きたい!!」
「ダメじゃ、危険があるやも知れん。家にいなさい」
「え~~」
尚もごねようとすると、ルラックの母ちゃんが出てきてルラックの腕をがしっと掴んだ。
「こんにちは、ウィル、あなたもちゃんと家に帰りなさいね」
「はい」
ルラックの母ちゃんは優しく微笑んだ。
右手に項垂れたルラックが引きずられてなければ、その優しい笑顔を信じられたけど・・・大人しく頷いとこう。
「村長、多分、村外れの近くの柵が壊れてると思う。ケガした人、冒険者っぽかったけど、そこから入ってきたと思うんだ」
「なるほどの、それも調査させよう」
「じゃあ、帰るね」
「気を付けてな」
「分かった」
はあ、大人しく帰ろ。
大魔王怖いし。




