献身。
この世界に生まれ十数日。
言わば、まだ生まれたばかりの赤ん坊のようなものだ。
しかし、その無垢なはずの心に憎しみが芽生え、醜くうごめく。
抑えようもなく湧き上がる妬み。
心が黒く染まっていく・・・
キリの一言によって。
『あ、そういえば、僕、人型になれるようになったんです!!』
なに~~~~~~~!!
っていうことは、もしかしてもしかすると・・・
例のあの、素晴らしきあの、あのあのあれが!?
『肉!!!!』
急に叫んだ私に、キリが黄金の体をビクリと震わす。
『お、お肉をお食べになれるんですか?』
『え?あ、ああ、まあ』
ヨロリ。
傾くはずのない黄金の実を宿す木が、今確かにその身を大きく揺らした。
後に伝えられた話では、ミリュー大陸全土の森が、一時陰に覆い尽くされ光を失ったとか、失わなかったとか・・・
多分失ったよ!!
ナレーションさん!!(は私ですけど!!)
『キリさん、人型におなりになれるなんて、素晴らしく、尊敬の念が絶えません』
『あ、あの、カリン様、心の距離がすっごく開いてませんか?』
『いえいえ、とんでもございません。ご尊敬申し上げるキリさんに馴れ馴れしい言葉を使用できないだけでございます』
『カリン様・・・』
『カリンママ?』
大人気なくいじけまくっていると、悲しそうに二人が見つめてくる。
う、すみません。
落ち込みを加速させていると、突然、キリが真剣な声音で言った。
『カリン様、僕を食べてください』
『カリンママ、私の体を乗っ取って!!』
レンちゃんも真剣な顔だ。
え?いやいや、ちょっと待って子供たちよ。
私が悪かったから、そんなマジな感じで怖いこと言わないでください。
『二人の魔力と体を取り込めば、カリン様の望みを叶えられるはずです』
さあどうぞ!!というように、マッドな二人がずんずんと近づいて来る。
ち、ちょっと、二人とも目が本気すぎて怖いから!!
そんなホラーな展開ありの異世界ライフじゃなかったはず!!
のんきお気楽がモットーだよ!!
『お、落ち着こう?』
無表情の二人が間近に迫る。
キャー
オオカミが出たぞ〜




