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蹴り飛ばせ! 恋するカエル姫は愛しの王子様の元へと蹴り進む!!  作者: 功野 涼し


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仲良くなれそうなの見つけた!

 夢を見ている。


 夢なんて何年ぶりだろう。なんて冷静な自分がいる一方で上映待ちをしている夢が見たくて気持ちをそちらへと向ける。


 ━━物を作ることが好きだった少年時代、革で作った小物入れを母に褒められ嬉しかった。仕事で使う鉈のカバーを革で作ってプレゼントしたら父は凄く喜んで愛用してくれた。


 怪我をして元の声を失い、足の怪我で走ることは困難になった自分でも出来ることを見つけれたことが嬉しくて夢中になった。


 両親の勧めで鍛冶師であるクリエールの弟子になり、厳しくも優しい師の教えの元で防具を夢中で作った。腕を認められ自分が作った防具が売れ愛用してくれる人がいることに喜びを感じた。


 師と別れに悲しみに暮れるが、人と接するのが苦手な自分のために兄弟子であるフォルジェの元で働けるように手配してくれた。


 最後まで自分を気遣ってくれた師と受け入れてくれた兄弟子に感謝した。


 だが現実は兄弟子の代わりに防具を作り、自分が作った作品がフォルジェの名で売られる。別に自分の名が売れなくても使ってくれる人がいてくれる、その事実で良かった。


 一番悲しいのは腕は確かなのに、人に作らせて酒や女遊びに現を抜かし鍛冶師の仕事をしなくなったこと……。


 べちっべちっ


 額に感じた小さな手の感触がプレスの意識を現実へと戻し、(まぶた)の裏に映されたいた幕をゆっくりと上げる。


「おっ! 起きた。朝ごはんの時間だ」


 プレスのぼやけた視界に映る昨日いた少女、アメがサイドテーブルに並べられる朝食を指さしてアピールしている。


「プレス様、昨日はよく眠れましたでしょうか?」


 ランロットに尋ねられたプレスが頷くと、ランロットは優しく微笑む。


「アメ様、そのように見つめますとプレス様も食べづらいかと。アメ様のお食事もご用意しております」


 「やった!」


 軽く跳んで喜んだアメは、ランロットがベッドの横に颯爽と用意したテーブルの上に並べられた数種類のパンを前にしてご機嫌に鼻歌を歌う。


「食べないのか?」


 小さな体からは想像もできない食べっぷりに啞然としていたプレスは、アメが声をかけられてから慌てて自分の朝食を口にする。


「おいしい……」


 豆のスープを口に入れ思わずこぼれた言葉を聞いたアメが笑みを浮かべる。


「ゆっくりご飯を食べれるのは幸せなことだ。敵に襲われるかもってビクビクしながら食べなくてもいいんだからゆくっり食べるんだ。これおいしいぞ」


 そう言いながらアメが自分のパンをちぎってプレスに差し出す。おそるおそる受け取ったプレスがパンを口に入れると再び「おいしい」と声がこぼれてしまう。


 それを聞いて、うんうんと嬉しそうに頷くアメもちぎったパンを食べて幸せいっぱいの表情をみせる。


「えーっと、プレスだっけ。アメはもう少しで冒険者になれる。なったらチームを立ち上げるんだけど仲間にならないか?」


 食事中、何の脈略もなく突然の勧誘に理解が追い付かず呆然とするプレスにランロットが言葉を続ける。


「誠に勝手ながらプレス様のことを調べさせていただきました。名工クリエール様の弟子であり、現在はフォルジェ様の元でお仕事をなさっていること。そしてプレス様の腕前はクリエール様と同等、もしくはそれ以上と言われながらも、その名が世間に出回っていないこと……」


 含みを持った言い方をするランロットが視線を向けると、意味を理解したプレスは下を向く。


「オレは……有名にならなくてもいい。作れればいいから……フォルジェさんは俺のために作る場所を提供してくれるから……それでいい」


「なるほど兄弟子であるフォルジェ様の元で、今働いてらっしゃるのはそのような理由なのですか」


 ランロットの言葉にプレスは頷く。


「でもご飯を食べる時間も寝る時間もあまりないって聞いたぞ」


「い、忙しいから。フォルジェさんの作る防具は人気があって……仕方ない」


「でも作っているのはプレスなんだろ?」


「あ、うん……でもフォルジェさんも腕前は凄くて……」


「そうですか、であればプレス様を引き抜いてもフォルジェ工房は安泰というわけですね」


 ランロットの言葉を聞いたプレスが驚きの表情を見せる。


「アメはアメの防具を作れる人を探している。色々見てきたけどプレスが作った防具が気に入った」


「補足させていただきますと、アメ様は蹴りを主体にして戦う戦闘スタイル。ゆえに通常の防具ですと戦闘の際に足枷になる可能性もございます。様々な作品を見てきた中でフォルジェ工房の作品、つまりはプレス様が制作されたものがアメ様にピッタリだと思いましたので是非ともお願いしたいと」


「だ、だったら……依頼を……出せば」


「最初はそうしようと思ったけどプレス大変そうだし、アメ専用の作ってもらうなら一緒にいた方が作りやすいらしいから仲間に誘うことにした」


 ニコッと笑顔で言うアメになんと言葉を返せばいいか分からずプレスは口ごもってしまう。


「長々とお話をして申し訳ございません。病み上がりですので今は体調を整えてまた後日お答えをいただければと思います。さあ、フォルジェ工房までお送りいたします」


 深々とお辞儀をするランロットと笑顔のアメに連れられプレスは病院を出て歩く。


「防具を装備するって考えたこともなかったけど、たくさんの防具を見ていてプレスが作った防具が一番仲良くできそうだった」


「仲良く……」


「なんでも仲良くできた方がいい」


 アメとの会話にプレスが戸惑いなんと言葉を続けるか考えていたときピタッと足を止めたアメが進行方法とは違う方を見つめる。


「アメ様、何かございましたか?」


「うん、あっちの方が騒がしい。ちょっと見てくる」


 アメは答えるや否や軽やかに地面を蹴って見つめていた方へと跳んでいく。


「プレス様。少しだけ寄り道になりますが、すぐに終わると思いますのでお付き合いいただけますでしょうか?」


「え? ……はい」


「では、失礼いたします」


 状況が把握できていないプレスをランロットが抱えるとアメのあとを追う。

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