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蹴り飛ばせ! 恋するカエル姫は愛しの王子様の元へと蹴り進む!!  作者: 功野 涼し


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冒険者のお仕事

 ギルドの依頼とは基本、ギルドで受けてから準備して依頼をこなす。この流れであるがときに突発依頼が発生する。


 これは自然災害、突然の魔物襲来。または他の冒険者が依頼中に不測の事態に陥り救助に向かうときに発生する。

 どれも突然起きるので依頼を受けるには経験と実力が問われる。それゆえ依頼を受けるのは大きな責任と覚悟が必要となる。


 ことの始まりは冒険者一行が受けた依頼はキラーモントと呼ばれるカマキリ型の魔物の調査。ボワの村にある森林で見かけたとされるキラーモントは気性が荒く、出会った人間を襲うことから危険視されている。


 ただ単体で動く生き物なので早めに退治すれば大きな問題にはならないことが多い。巨大な両手の鎌は脅威ではあるが、熟練した冒険者であればさほど苦とならない相手である。


 五人でチームを組む冒険者たちは慣れた動きで森を静かに、素早く動きやがて一つの亡骸にたどり着く。


「これは……」


 冒険者の一人が眉間にしわを寄せて地面に倒れているキラーモントを見ている。正確にはキラーモントだったもの。あちらこちらが食われ外骨格である外側だけが残った状態のキラーモントを前に、集まって来た冒険者たちも同じように眉間にしわを寄せる。


「同類で食い合うってのは聞いたことがあるが……」


「あいつらの食い方とは違う気がするな。なんていうか集団で食いちぎった、そんな感じがする」


 一人の冒険者の発言に皆が納得したのか、大きく頷いたときだった。


 突然茂みが動いたかと思うと冒険者の一人の背後から巨大な影が現れ首に噛みつく。悲鳴よりも飛び散る鮮血にまみれるそれを見た冒険者たちはそれぞれが名前を口にする。


「暴食バッタ……」


 暴食の名を持つ巨大なバッタは成人男性よりも一回り以上大きく、トゲのある脚と鎧も砕くと言われる強靭なあごに掴まれたら生きて帰れないと言われ恐れられている。


 そして何よりも恐ろしいのは彼らは集団で動く習性があることだ。


 耳を抜け腹の底まで響く重低音と共に空から現れた暴食バッタたちが急降下するなり、冒険者たちの上にのしかかって着地する。


 抵抗する間もなくあっという間に二人がやられてしまう。集団で襲いかかられ鎧をまるで紙を破るように噛みちぎり、仲間の肉を喰らう姿を前にして完全に冷静さを失わずに、体が動かせるのはベテランならではなのかもしれない。


 自分たちに襲いかかる暴食バッタの攻撃を盾で受け止めた一人の冒険者が庇った一人に向かって叫ぶ。


「リーダー! 助けを呼んでくれ! これは俺たちだけじゃ無理だ」


「くっ……」


 リーダーと呼ばれた男が苦悶の表情を見せるがすぐに背を向けその場から走り去る。残された男は小さくなる背中を見て「頼む」と一言発したあと盾をはがされ暴食バッタたちの餌食となる。


 命からがら逃げたリーダーだが、餌をみすみす逃がしてくれるはずもなく二匹の暴食バッタが追いかけてくる。上から襲われないようにと木々が多い茂った場所を選んで逃げる。

 その判断は正しく、体が大きく小回りの利かない二匹の暴食バッタは軽く跳ねながら木を避けるのでなんとか追いつかれない状況を保てる。


 それを見て逃げ切れると確信したリーダーだったが、ふと自分の視線の先を見て気づく。


「このまま行くと村が……」


 自分の行く先に村があることを思い出したリーダーは方向を変える。二匹の暴食バッタを引き連れついた先は道のない崖。背後から迫ってくる気配を感じながらリーダーは迷うことなく崖から飛び下りる。


 飛び下りてすぐに崖の下を流れる川に小さな水しぶきが上がる。


 ━━以上が生き延びた冒険者の報告書の内容でございます。


 木の枝の上に立つランロットが、同じ枝に座って足をぶらぶらさせているアメに説明をしている。説明を聞いたアメが上を見上げる。


 視線の先には巨大なバッタが羽を羽ばたかせ飛んでいるのが見える。


「大きいね」


「ええ、あそこまで育つのは大変珍しいことです。おそらく育った環境がよかったのでしょう」


「ふ~ん、ご飯いっぱい食べれたんだ」


「ええ、あれ以上成長するかは分かりませんが、ある程度数が集まると今度は繁殖を始めますゆえ、その前に駆除する必要があります。今回の作戦、アメ様が(かなめ)でございます」


「分かった。頑張る」


 アメが大きく頷いたとき周囲が騒がしくなったかと思うと、アメがいる場所を中心にして四方から音が響く。それらは太鼓だったり金属同士を叩く音。


 凶暴な暴食バッタを討伐するには一体複数に持ち込む必要があるため、バラバラに配置されたチームが自分たちの場所へ呼ぶため音を出しているのである。


 各地からする音に困惑しながらも一匹が動いた方へ残りも動き始める。


「なるほど、やはり群れで動きますか。音で分散する作戦はうまくいきませんでしたね」


「うん、でもまとまってくれた方が動きやすいかも」


 そう言って立ち上がったアメが軽くぴょんと跳ねる。


「じゃあ行ってくる」


「ええ、ご武運を」


 ランロットの言葉を聞くなりアメの姿は木々の枝を走り抜ける影となる。

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