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第78話|急がない順番

朝、彼は端末を開いた。


一覧はいつも通り整っていた。

更新時刻は並び、

異常欄も存在しない。


画面は何も求めていないように見える。


彼は最初の案件を開いた。


入力欄を確認し、

途中まで内容を読み進める。


そこで別の案件が通知された。


以前なら、

新しいものから処理していたかもしれない。


今日は違った。


開いた画面をそのままにして、

窓の外を一度だけ見た。


雲が流れている。


戻ってきても、

案件は待っていた。


午前中の処理は予定どおり終わった。

遅延は記録されない。

警告も表示されない。


昼前、新しい担当者が言った。


「急いでも、急がなくても、同じなんですね」


彼はすぐには答えなかった。


少し考えてから、


「同じかどうかは分からない」とだけ言った。


午後、ログを確認する。


完了の記録は整然と並んでいる。

待った時間は残っていない。


夕方、彼は何もない余白へ目を向ける。


そこは以前と変わらず空いている。


だが今日は、

空いているからこそ、

次の画面を急いで開かなくてもよい気がした。


定時、端末を閉じる。


今日も運用は正常だった。

異常も遅延も表示されていない。


ただ、

急がなかった順番だけが、

誰にも測定されないまま一日を通り過ぎていった。

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