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第72話|開かれなかった番号

朝、彼は端末を開いた。


一覧は昨日と同じだった。

更新時刻は並び、

異常欄は存在しない。


彼は最下部を見る。


昨日見た番号はない。


代わりに、

見慣れた形式の別の番号が並んでいる。


午前中、処理を進める。

入力は受け付けられ、

完了も正常に記録される。


何も問題は起きていない。


それでも彼は、

昨日開こうとした行のことを思い出していた。


昼前、新しい担当者が言った。


「昨日の番号、覚えてます?」


彼は少し考える。


覚えている気もする。

だが数字を思い出そうとすると、

別の番号が浮かぶ。


担当者も同じだった。


二人とも、

見た記憶はある。


だが一致しない。


午後、ログを確認する。


記録は整然と並んでいる。

欠番もない。

未処理も存在しない。


夕方、一覧を見ていると、

一行だけ選択状態になっていることに気づく。


カーソルは合わせていない。


彼はその行を開こうとする。


だがその前に、

選択状態は解除される。


定時、端末を閉じる。


今日も運用は正常だった。

異常も遅延も表示されていない。


ただ、

誰も開かなかった番号だけが、

少しずつ思い出しにくくなっていた。

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