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第67話|少しだけ待つ
朝、画面はいつも通り表示されていた。
一覧もログも、同じ状態に見える。
彼は端末の前に座り、
最初の案件を開く。
入力欄は揃っている。
確認ボタンも表示されている。
これまでは、
内容を見たあとすぐに押していた。
今日も、そのはずだった。
彼はカーソルをボタンの上に合わせる。
だが押さない。
理由は分からない。
確認不足でも、不安でもない。
ただ、
ほんの数秒だけ手が止まっていた。
午前中、処理は通常通り進む。
遅延の警告は出ない。
補正も発生しない。
昼前、新しい担当者が
隣で同じ画面を見ていた。
その担当者も、
確認ボタンの前で一瞬だけ止まる。
押さなかったわけではない。
実際、そのあと処理は完了している。
だが、
即時ではなかった。
午後、ログを確認する。
更新は続いている。
異常欄は存在しない。
夕方、基準文書を開く。
新しい追記はない。
だが彼は、
画面の余白が少し広く見えることに気づく。
定時、端末を閉じる。
今日も運用は正常だった。
記録も統合されている。
それでも、
何人かが少しだけ待っていた。
理由は表示されないまま。




